<桜花賞>◇9日=阪神◇G1◇芝1600メートル◇3歳牝◇出走17頭

 乱れ桜が舞い落ちた。牝馬クラシック第1弾は8番人気のレーヌミノル(牝3、本田)が勝利。1番人気のソウルスターリング(牝3、藤沢和)は押し切られ、3着に敗れた。勝ち時計は1分34秒5。池添謙一騎手(37)は昨年2着の悔しさを晴らした。開業11年目で初ビッグタイトルの本田優調教師(58)は、史上4人目の騎手とのダブル制覇。今後は5月7日東京のNHKマイルC(G1、芝1600メートル)か、同21日東京のオークス(G1、芝2400メートル)で2つ目の栄冠を目指す。

 満開の桜をバックに、馬場の真ん中から抜け出したのはレーヌミノルと池添騎手だ。抜群の手応えで直線に入り、先頭に躍り出た栗毛の馬体。すぐ左後ろには2歳女王ソウルスターリングがいた。レーヌは抜け出すと気を抜く癖があったため、鞍上は我慢、我慢・・・と心に言い聞かせながら、いざ追い出す。外からソウル、リスグラシューが強襲するも「何とか踏ん張って! 早くゴール来てくれ!」。見せムチを使いながら最後まで集中させ、半馬身差で押し切り。左手で小さく拳を握りしめた。

 涙、涙の検量室前・・・。うっすら目に涙を浮かべる本田師、体を震わせて号泣する担当の中井助手の姿が目に入った。池添騎手は「みんな涙ぐんでいて、もらい泣きしそうになった。僕にとっても思い入れのあるレース。本当に良かった」。02年アローキャリー以来、15年ぶりの桜花賞Vに、顔を紅潮させた。

 1年前の自分を乗り越えた。ゴール前は、悪夢がよみがえった。シンハライトで挑んだ昨年の桜花賞は、ゴール寸前で差されての2着。「勝ったと思ったんですけどね・・・」。最後は首の上げ下げで、着差はたったの2センチ。誤算は早く抜け出してしまったことで「もう少し自分の気持ちが冷静になっていれば・・・」。その夜はなかなか寝付けないほど、悔しかった。同じ過ちはしない。2着が4回ある桜花賞の舞台で、成長した姿を大観衆の前で披露した。

 クラシック第1弾を制し、夢が広がった。次走はNHKマイルCとオークスの両にらみとなるが、池添騎手は「マイルなら牡馬相手でも十分やれると思う」と自信。馬名の通り女王(フランス語でレーヌ)となり、人馬ともに、さらに飛躍する。【平本果那】

 ◆2センチ差に涙、昨年の桜花賞VTR 池添騎乗の2番人気シンハライトはゴール寸前でM・デムーロ騎乗のジュエラーに差され、2着に敗れた。道中は中団で流れに乗り、残り100メートルで先頭。ゴール板を同時に通過し、池添騎手は「ゴールの時はどっちか分からなかった」と声を絞り出した。検量室前に引き揚げて2センチ差で敗れたことを知り「先頭に立ったのが思ったより早かった」と悔やんだ。

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