<ドバイターフ>◇25日=メイダン◇G1◇芝1800メートル◇北半球産4歳上、南半球産3歳上◇出走13頭

 “大魔神”佐々木主浩氏(49)の所有馬ヴィブロス(牝4、友道)が、海外G1初勝利を飾った。後方待機策から、直線で世界の強豪を力強く差し切った。約4億円の賞金を手にし、秋にはBCフィリー&メアターフ(米G1、11月3、4日=デルマー)挑戦プランも浮上。海外初挑戦でG1を勝った佐々木氏が、本紙に喜びの手記を寄せた。

 信じられない。ヴィブロスが初めての海外遠征で勝った。もう興奮しすぎちゃって、よく覚えていない。馬を目で追うのが精いっぱいだった。残り150メートルでは勝つとは思わなくて、残り100メートルの時点で「勝った!」と確信した。実は、最後は騒いでいてゴール板を見ていなかったんだ。3角で少し狭くなることがあったけど、直線で外に持ち出してからの脚には鳥肌どころか、身震いがした。

 自分にとっても海外遠征は初めて。正直なところ、競馬の方が野球より緊張が大きかったかな。野球は自分で勝負を決められるからね。厩舎はよく仕上げてくれたと思う。23日の午後に馬房へ馬を見に行ったときも、馬がふっくらしていたし、レース当日はさらに毛づやも良くなっていた。これで、いい勝負ができるな、と。良馬場がいいと思っていたけど、雨が降って馬場も向いてくれたね。

 昨年の暮れ、無理に競馬を使わなかった効果があったと思う。秋華賞を勝った後、次走はジャパンCをイメージしていたのだけど、友道調教師が「まだ成長するから思い切って休ませましょう」って言ってきたんだ。いつも言っていることだが、自分は野球のプロであって、馬に関しては素人だ。馬のプロを信じて、全てを任せている。結果的にこんなお祭りレースを勝てたわけだしね。

 友道調教師とは本当に相性がいい。彼のG1全8勝(※中央+海外)のうち、4勝が自分の所有馬。調教師としての腕はもちろん、人間的にも尊敬しているから信頼して馬を預けられる。あまり頭数を持っていない馬主にもかかわらず、ここまで成績を挙げられるのは縁みたいなものがあると思っている。

 縁という点では、お母さんのハルーワスウィートにも感謝しないといけない。ヴィルシーナもシュヴァルグランも出してくれたし、その他の子も思い入れのある馬ばかり。ヴィブロスは顔、体のバランスを見たときに「これだ!」って思えた馬だった。やっぱり他の兄姉全てを上回る可能性を秘めていたんだ。

 普段から気にかけてくれる「アドマイヤ」の近藤利一オーナーも喜んでくれた。レース後、泣きながら電話をくれたんだよ。昔、ネクタイをもらったことがあって、レース当日はそれを締めて競馬場に行ったんだ。(近藤オーナーの所有馬で07年覇者の)アドマイヤムーンの力を借りようと思ってね。夜も遅いのに、しっかり見ていてくれたみたい。すぐに連絡をいただいたのはうれしかった。

 それから、これだけは言っておきたい。今回はモレイラ騎手で勝ったけど、ヴィブロスの主戦はやっぱり福永騎手だと思っている。日本人として、日本の馬、日本の騎手、日本関係者で海外のG1を勝ちたいというのが本音。次に遠征に行くならこの秋のBCフィリー&メアターフなのかな。半兄のシュヴァルグランもBCターフ(米G1、芝2400メートル、11月4日=デルマー)に行く予定なので、この2頭を中心に国内外の競馬を盛り上げていきたいね。(馬主)【松田直樹】

 ◆佐々木主浩(ささき・かずひろ)1968年(昭43)2月22日、宮城県生まれ。横浜ベイスターズ、シアトルマリナーズでクローザーとして活躍。引退後の06年にJRA馬主資格を取得し、13年ヴィクトリアMではヴィルシーナでG1初制覇、翌年には連覇を飾った。JRA重賞は9勝(うちG1・3勝)。

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