<G1プレーバック:2014年フェブラリーS>

 プレーバック日刊スポーツ! 過去のフェブラリーSを紙面で振り返ります。2014年は最低人気のコパノリッキーが抜け出し勝利。単勝2万7210円はG1史上2位の高額配当と報じています。

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<フェブラリーS>◇2014年2月23日=東京◇G1◇ダート1600メートル◇4歳上◇出走16頭

 大波乱の決着に、東京競馬場が沸いた。最低人気のコパノリッキー(牡4、村山)が2番手からまんまと抜け出し、13年の最優秀ダート馬を争った人気の2頭を封じた。単勝の2万7210円は、G1史上2位の高額配当。デビュー13年目の田辺裕信騎手(30=小西)、オーナーの Dr.コパこと小林祥晃氏は、うれしいG1初制覇となった。

 追っても追っても差が縮まらない。統一G1・5勝馬ホッコータルマエの猛追を封じて、単勝272・1倍の最低人気馬がゴールに飛び込んだ。コパノリッキーと田辺裕信。スタンドが揺れて、外れ馬券が宙に舞い散る。単勝は89年エリザベス女王杯(サンドピアリス4万3060円)に次ぐG1史上2番目の高額払い戻しとなった。

 ゴールの瞬間、田辺はスタンドに向けて突き出した右の拳に喜びを込めた。「ただでさえ長い東京の直線が、さらに長く感じました。ホッコータルマエのメンコがずっとちらついていたので、もう少し、もう少しと思いながら追っていました」。直線残り1ハロンからは一騎打ち。外から激しいプレッシャーをかけられたが、右ムチで鼓舞すると初コンビの相棒は力強い末脚で応えてくれた。最後は半馬身差。「やっと勝てました!」。25回目の挑戦で初めてG1のお立ち台に上ったデビュー13年目は、誇らしげに声を張り上げた。

 福島競馬場からほど近い、福島県二本松市で生まれ育った30歳。競馬好きの父に連れられて、幼いころから競馬場に通った。関係者に血縁はおらず、乗馬も未経験。動物が苦手で、競馬学校入学当初は初めてのサラブレッドに戸惑った。今でこそ関東のホープだが最初から環境に恵まれていたわけではない。騎乗馬は先約を優先。周囲との縁を大切に育み、1歩ずつ階段を上がってきた。コパノリッキーは当初騎乗予定だったテスタマッタが引退となったために回ってきた手綱だ。ケイアイレオーネとの2分の1の抽選で、16番目の枠に滑り込んだ運も生かした。「僕は直線までの流れをつくっただけ。あとは馬の能力です」と常に馬をたたえることを忘れない。

 88勝を挙げた11年を機に、主戦場をローカルから東京、中山に変更。先を見据えて腕を磨いた経験がここで結実した。その11年には騎乗停止で乗れなかったエイシンアポロンがマイルCSを勝つ不遇も味わった。ようやくつかんだ初G1。「G1は何回もチャンスがあるわけじゃない。今回は運があったし馬の状態も良かった。ありがとうって感じです。うれしいです!」。ゴールから1時間が過ぎてもなお、最高の笑顔が光っていた。

※記録と表記は当時のもの

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