<追い斬り激論:AJCC>

 伝統の古馬G2、AJCC(芝2200メートル、22日=中山)だが、今年は傑出馬不在の混戦ムード。「追い斬り激論」も意見が割れた。栗田記者はG1好走歴のあるタンタアレグリア(牡5、国枝)が一押しも、水島、高木、松田の各記者は休み明けで半信半疑の面もあるよう。それぞれ、異なる注目馬を挙げた。

 高木 伝統のG2だけど今年はちょっと手薄な感じもしますね。

 栗田 そうだな。ここなら、菊花賞4着、天皇賞・春4着のタンタアレグリアの実績が一枚上だろう。追い切りは見てたか?

 松田 ウッドコースで長めから追われて6ハロン84秒8-12秒6。ディープジュエリー(古馬1000万)の内からしっかり半馬身先着しました。

 栗田 かわす時の反応が鋭かった。前に出てから脚色が一緒になって少々心配したが、最後まで差を詰められることなくゴール。いかにも長距離馬という走りで、上々の仕上がりに見えたぜ。

 水島 以前は1頭になると頭を上げてふわふわする印象だったが、今朝は前へ出た時も集中して走っていた。最後は相手に合わせた印象だが仕掛けたら突き放す手応えを感じた。メンタル面で大人になった感じ。

 高木 国枝師は「心身とも良くなった感じ。牧場で体調が整わず休みが長くなったが今は順調。自分から動いていくタイプではないが、いい追い切りだった」と合格点を出しました。レースでは抜きそうで抜かなかったりエンジンの掛かりが遅かったりもどかしい面があった馬。その辺が解消していればいいんですがね。

 松田 いや、先輩方。「調教と実戦は違う」って言葉をご存じですか。僕は間隔の空きすぎた点が気になります。またがった蛯名騎手は「まずは競馬勘をつかんでほしい」って。慎重な性格なのを差し引いても、引っ掛かります。実際、8カ月程度のブランクがあって平地重賞を勝った馬はあまりいないわけですし。

 高木 データは大事だが、頼りすぎはよくないぞ。と言いつつ、俺も今回は本命ではないかなと思ってるけど。

 栗田 俺の◎候補にけちをつけるか。じゃあ何が良かったんだ。

 高木 ルミナスウォリアーは前走より上向きムード。3頭縦列で先頭の馬には無理して並びかけませんでしたが、2番手の馬にきっちり先着。和田郎師は「欲目かもしれないけど休み明けの前走以上の動き」と好感触です。1度たたかれているこっちが軸向きかな。

 水島 ミライヘノツバサは走りが硬い印象のあった馬だけど、今回は間隔が短いのに柔らかみがあった。伊藤大師は「強い相手と戦ってきたことが、いい経験になっている。前走は目イチの仕上げではないし上積みも見込める」。昨年の夏まではゼーヴィントやタンタアレグリアと開きがあったが、だいぶその差は埋まっている。

 松田 僕はナスノセイカンが面白いと思います。最後は少しもたついた感じですが、前半の時計が速くなった分。全体の動きとしては及第点以上です。矢野師も「フワッとすることがなくなった。スッと加速できるようになった」と本格化を確信したそうです。

 栗田 みんな上がり馬を推してきたか。甘いな。「格より調子」は夏の格言。冬場は実績が大事だってことを、格上の俺が証明してやるよ。

 水島、高木、松田 ・・・。

 ◆長期休養明けでの重賞V 12年以降の平地重賞で、半年以上の休養を挟んだ馬が勝利は6例しかない。大きく分けてパターンは2つ。1つはG1馬の始動戦で、14年大阪杯のキズナ、ドゥラメンテの16年中山記念などが該当する。もう1つはアドマイヤデウスの15年日経新春杯、バウンスシャッセの16年愛知杯といったハンデ戦。8カ月ぶりのタンタアレグリアは天皇賞・春4着の実績こそあるが、どちらにも該当しない。

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