飛躍の1年にする-。昨年、JRA16年ぶりの女性騎手としてデビューした藤田菜七子騎手(19=根本)。JRA以外でも海外、地方競馬でも騎乗した。社会現象としてワイドショーなどでも取り上げられる激動の1年間を過ごした。JRA6勝、地方8勝の計14勝の勝ち星に決して満足することなく、17年は結果にこだわる決意を表明した。【取材・構成=松田直樹】

 -デビュー1年目を終えて

 藤田 あっという間でした。1つずつ挙げるとしても、ありすぎて・・・。ホッとしたとかは全くありません。もう1年が終わってしまったなという感じです。今年も5日から競馬が始まりますし、3月になったら1つ下の後輩たちもデビューします。ライバルが増えるという意味でも、もっともっと頑張らないといけないと思っています。

 -16年を振り返ると

 藤田 満足のいく競馬は1度もありません。勝ったレースでも必ず「もっとこうした方が良かったかな」と思うことが多かったです。乗れば乗るほど、その気持ちは強くなってきます。

 -JRA6勝、地方8勝。16年最終週(12月24日中山4R)にはシルヴァーメテオで勝ち星を挙げた

 藤田 (JRA6勝目は)たまたまです。馬群の中にいて、前の馬の影響を受けてどんどん位置が下がってしまって、想定外の競馬でした。それでも、外に出したら、馬がしっかり伸びてくれました。馬のおかげで勝つことができました。1年を通じて大きなけがもせず競馬に乗れたことで、騎乗に対する“幅”は、多少出てきたとは思います。

 -川崎で同期よりいち早くデビュー。精力的に地方へも遠征をした

 藤田 いろんな場所で騎乗依頼をいただけたのは感謝しています。私自身も、いろんな競馬場でレースに乗せていただいて、いい経験になりました。(名古屋競馬所属の)木之前葵騎手など、会いたかった人にも会えて、すごく勉強になりました。

 -16年ぶりの女性騎手誕生。周囲の関心も集中した

 藤田 今までと同じことをやっていても、注目されていたので最初はびっくりして、驚きました。葛藤も少しはありましたね。なんでここまで・・・って(笑い)。でも、たくさん注目していただけることが、ありがたいと思っていました。今後もたくさん女性騎手が増えたらいいなと思います。

 -私生活でも注目された

 藤田 それが、全然ないんです(笑い)。私自身もあまり感じないんですよね。もちろん競馬場で勝負服を着ているときは皆さんに認識していただけるのですが、私服で出歩いているときは分からないですし、声をかけられたこともないんです。

 -今後はそのあたりを変えたい

 藤田 もちろんジョッキーとして(藤田菜七子を)知ってもらいたいですし、競馬はギャンブルではなくてスポーツとして魅力があるものだということも知っていただきたいです。自分が技術を上げて勝ち鞍を残すことで、競馬にみなさんが興味を持ってもらえたら一番いいと思います。

 -勝つことが最大のアピールになる

 藤田 私としても、勝つことができたときに一番、ジョッキーになって良かったと思います。そこが楽しいと思えるところですからね。逆に、勝てないときが長く続いたりとか、なかなか思うように乗れないときが多いと、つらいなと考えるときもありました。

 -気持ちの切り替えはどうしていた

 藤田 願掛けとか、ルーティンは特にないんです。競馬が終わった直後のことは考えないというか、すぐに次のレースが控えているので、その場では引きずらないようにしていました。(競馬のあった)その日が終わってから、レースをよく見直すようにして、研究をしていました。

 -体調管理は

 藤田 意外と丈夫なんです、私(笑い)。疲れも1回寝れば取れます。去年も1年間、風邪をひきませんでしたから。体重も余裕がある方なので、体力や筋力をつける意味でも、食事の量を増やして管理してきました。(同厩舎所属の)丸山騎手や野中騎手には競馬のことや調教についても、教えていただくことが多かったです。

 -息抜きは

 藤田 全休日は寮にいることも多いですが、買い物にも結構行きます。たまに都内に出ることがいい気分転換になったりしています。あと、車の免許を取ったことで行動の範囲は広がりました。美浦トレセンの周りは本当に何もないので(笑い)。自分でどこへでも行けるのは便利です。

 -騎手になって迎える初めての正月

 藤田 2日から調教が待っているので、あまり気持ちは休まりませんけどね。初詣に行く予定がないので、早いうちに行きたいです。

 -17年にはさらなる飛躍を期す

 藤田 今年からはトレーナーをつけて体を鍛えることにしました。今までは競馬学校時代に教わったことに加えて、自分で足りないと思う部分を鍛えていたんですけど、区切りもいいですし、体幹などを見つめ直そうと思っています。自分だけでやるよりは、専門家の方に見てもらう方がいいと思うので。

 -プライベートでは

 藤田 できるかどうかはわかりませんが、料理にはいつか挑戦したいです。寮には食堂はあるんですけど、部屋にはガスこんろがなくって・・・。いずれやってみたいです。

 -最後に17年の抱負を

 藤田 結果にこだわることのできる騎手になりたいです。今の段階で数字は決めないようにしていますが、1つずつ勝ち鞍を重ねたいです。

<藤田菜七子(ふじた・ななこ)アラカルト>

 ◆生まれ 1997年(平9)8月9日、茨城県守谷市生まれ

 ◆騎手を志したきっかけ 小6で見た競馬中継。その後、すぐに乗馬を始める

 ◆特技 弟の付き添いで始めた空手は小6で黒帯、中学まで続けた剣道は2段の腕前

 ◆習い事 水泳、ピアノ、フラダンスなど

 ◆目標 ニュージーランドの女性騎手リサ・オールプレス

 ◆甘党 スイーツ好きでチョコレートはミルク派

 ◆座右の銘 日進月歩

 ◆趣味 読書と音楽鑑賞。好きな作家は伊坂幸太郎、好きな歌手はOne Direction

 ◆好きな馬 ダイワスカーレット

 ◆思い出のレース ウオッカが優勝した08年天皇賞・秋

 ◆サイズ 157.4センチ、45.6キロ

 ◆血液型 A型

 ◆家族構成 両親と弟

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