クリストフ・ルメール騎手(37)が、ダービー1、2着馬で世界と日本制覇に挑む。今週は菊花賞TR神戸新聞杯(G2、芝2400メートル、25日=阪神、3着までに優先出走権)で、ダービー2着サトノダイヤモンド(牡3、池江)に騎乗。そして来週は、ダービー馬マカヒキ(牡3、友道)で凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月2日=シャンティイ)日本馬初制覇の偉業を狙う。ダービー1、2着馬両方で同年秋の大レースに臨むのは極めて異例。他の騎手がうらやむ幸運をさらにハッピーにする。

 JRA騎手冥利(みょうり)に尽きる2週間だ。柔らかな笑みを浮かべながら、ルメールが胸を高鳴らせる。今週は日本でサトノダイヤモンド、来週はフランスでマカヒキ。ダービー1、2着馬の主戦を務めるという異例の大役だ。世界を股にかける男は、ともにディープインパクト産駒の両雄に多くの共通点を見いだしている。

 「両方、似てる。同じ感じ。とても乗りやすい。賢い。レースの時にリラックスしてる。瞬発力がある」

 まずはサトノダイヤモンドだ。今秋は菊花賞で日本のクラシック初制覇を狙う。ダービーではわずか8センチ差で惜敗。道中では左後肢の落鉄というアクシデントがあった。トライアルとはいえ、神戸新聞杯では負けられない立場にある。

 「ダービーは残念でした。ラスト150メートルはあまりバランスが良くなかった。ポテンシャルがとても高い。G1を勝てると思う。いっぱいスタミナがある。マカヒキもいないし、秋は自信あります」

 そしてマカヒキだ。世界中で栄冠を手にしてきた名手も、凱旋門賞では06年プライドの2着が最高。当時はディープインパクト(3位入線失格)に先着しながら、首差でレイルリンクに屈した。今回は初めてJRA騎手として挑む。前哨戦のニエル賞を制し、悲願への手応えは十分だ。

 「ニエル賞では80%のコンディション。ペースが遅かった。反応がとても良かった。ラスト400メートルの時計(ハロンごとのラップは11秒10-11秒03)がめちゃ速かった。首差だけ勝ったけど、インプレッションはとても良かった」

 母国でリーディング上位常連の地位を手放してまで異国への移住を決断した理由は、ここにある。昨年2月に通年免許を取得した際に「凱旋門賞を勝ちたい。フランス人が日本の騎手として日本の馬で勝てれば、すばらしいこと」と夢を語った。その実現は目前。燃えないわけがない。【太田尚樹】

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