今週の新潟メインは新潟2歳S(G3、芝1600メートル、28日=新潟)。デビュー23年目の岩部純二騎手(40=萱野)は、オーバースペック(牡、南田)とのコンビで17度目の重賞騎乗。2戦連続最速上がりをマークしている愛馬の末脚を武器に、自身初の重賞Vを決めたい。

 デビュー23年目の岩部騎手が、自分で決めた舞台で自身初の重賞取りに挑む。

 オーバースペックが福島の短い直線で大外一気を決めた未勝利勝ち後、オーナーサイドから次走選択を任された。札幌2歳Sか新潟2歳Sか-。福島と同じ小回りで距離も1800メートルの札幌を推す声も聞こえてきた。だが、直感は違った。「器用さはないから直線の長い新潟の方が合うと思ったけど、こういう経験があまりないので迷いましたね。未勝利を勝った日の夜にノリさん(横山典騎手)にも相談したら、新潟の方が合うんじゃないかと言ってくれて」。先輩の助言も自分のイメージと一致。背中を押されるように新潟2歳Sを選んだ。

 同馬には競馬のある土日を除き、デビュー前からほぼ毎日またがってきた。「これだけ付きっきりで1頭を任せてもらったのは初めて。重賞はなかなか乗せてもらえないですし、チャンスをもらえて本当にありがたいです」。重賞騎乗は今回が17回目と決して多くない。だが、パートナーと積み重ねてきた時間の濃さは他のコンビ以上だ。

 昨年は自身2度目の年間0勝に終わっただけに、今年は期する思いはある。「家にいると長男はケツばっかり走ってるとか、結構厳しいことを言うんですよ(笑い)。でも去年0勝だから、今年初めて勝った時はテレビの前で泣きそうになっていたみたい」。25日現在、今年はわずか3勝だが、関係者、家族の思いに応えたい。

 まだ見ぬ重賞の表彰台からの景色も、この馬とならたどり着けるかもしれない。「競馬だから結果はどうなるか分からない。でも悔いのないように乗ります」。659メートルの長い直線を、オーバースペックの末脚を信頼して、追い続ける。【高木一成】

 ◆岩部純二(いわべ・じゅんじ) 1976年(昭51)3月25日生まれ。北海道恵庭市出身。94年に美浦・成宮厩舎所属でデビュー。競馬学校10期の同期は吉田豊、幸英明、渡辺薫彦(現調教師)らがいる。09年から萱野厩舎に所属。25日現在でJRA通算3506戦131勝。家族は妻美穂さん、長男光汰(こうた)君(8)、次男壮吾(そうご)君(5)。趣味はゴルフでスコアは「100を切るぐらい」。

 ◆重賞初勝利にキャリアを要した騎手 デビューから20年以上を要したのは2人だけ。91年にデビュー23年目の佐藤正雄騎手がニシノフラワーで札幌3歳S(G3)を制したのが最長。今回の岩部騎手が勝つとこれに並ぶ。大江原隆騎手はデビュー22年目の99年、中山GJ(J・G1)をメジロファラオで勝っている。

 ◆前走福島で走った馬の新潟2歳S成績 マイル戦になった02年以降は【0 1 2 16】で勝ち星はないが、昨年は福島芝1800メートルの未勝利戦を勝ったウインファビラスが12番人気2着に好走した。

  1. お得な新入会プラン登場! 競馬情報サイト【極ウマ・プレミアム】
  2. 競馬予想に【ニッカンAI予想アプリ】