<追い斬り激論:天皇賞・春>

 最前線で取材する記者が注目馬について意見を戦わせる「追い斬り激論」。天皇賞・春(G1、芝3200メートル、5月1日=京都)では東西の記者が論戦を繰り広げた。関東の大将格ゴールドアクター(牡5、中川)を猛プッシュした美浦の栗田文人記者だったが、昨年の菊花賞馬キタサンブラック(牡4、清水久)を推す栗東の岡本光男記者のトークに心が大きく動いた様子で・・・。

 栗東・岡本 ゴールドアクターはどうでした。

 美浦・栗田 申し分なかったよ。美浦ウッドでトーセンアーネスト(古馬1000万)を2馬身ほど追走していたけど4角で内に入れてからはスーッと伸びて併入した。すごく軽快だったなあ。文句なしのSだ。

 岡本 馬なりですか・・・。

 栗田 馬なりだけど、それがなにか。

 岡本 3200メートルのG1ですよ。時計が出ているのも5ハロンだけみたいだしラストも13秒4。もう少し強くやってもいいんじゃないかと思うんですよ。

 栗田 十分だろう。1週前追い切りでは重馬場で6ハロン80秒2-12秒4としっかりと追っている。美浦の調教はだいたいこんなパターンだよ。

 岡本 確かに栗東でも1週前追い切りの方がハードなことが多いけど、古馬の牡馬ならレース週もしっかりと追う馬が多い。今回もキタサンブラックやサウンズオブアース、サトノノブレスなどは長めから時計を出しました。その方がレースにいって、息のもち方が違う気がします。

 栗田 ただ、関東馬は追い切り後に京都への長距離輸送がある。その点も考慮しているのは間違いない。特に今回はGWの最中だ。渋滞の影響もあって、輸送時間が読みづらい。

 岡本 確かに中山が舞台の日経賞の最終追い切りはもっとやっていましたね。

 栗田 久々だったしな。今回、軽めで済ませたのはもう強くやる必要がないぐらい仕上がっているということ。吉田隼騎手も「状態はいい」と。

 岡本 じゃあ、やっぱり重い印は必要かな。

 栗田 そうだろう。で、関西馬はどうなんだ。

 岡本 キタサンブラックがいいですね。

 栗田 俺も重い印を打とうと思っているが、見た目は良くなかったそうだな。

 岡本 良くなかったですね。Cウッドでクールヤシャマル(3歳未勝利)に頭差遅れたし、ゴールした後もすぐに失速しました。

 栗田 6ハロン81秒2は速いけど、未勝利馬に遅れてたんじゃなあ。長めから攻めてきたし、もしかして、まだ仕上がりの途上? じゃあ、今回は厳しいな。

 岡本 いや、この馬はこれでいいんです。セントライト記念(1着)のときもこんな感じ。いつも地味。直線でフワフワとしているから併せ馬で格下に遅れもする。ただ、終わってみれば時計は速いし、レースでも結果を出す。こんなタイプだから長距離をこなすんです。今回も時計や動きだけならサウンズオブアース(S評価)やサトノノブレス(A評価)が上。でも、3200メートルのレースという視点で考えれば、この追い切りが生きるんです。

 栗田 距離適性を力説するのは分かるけど、有馬記念ではアクターと力の差を感じた。俺が知りたいのは、逆転できるだけの出来かどうかなんだ。

 岡本 遅れた分だけA評価止まりでしたが、出来は確実にいいですよ。追い切りに騎乗した黒岩騎手は「呼吸の乱れもなく、息の入りはいい。有馬記念は多少(状態が)落ち気味かと思っていたし今回の方がいい」と言っていました。

 栗田 サウンズは日経賞でアクターに完敗しているし、関西馬じゃ、やっぱりキタサンブラックか・・・。

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