<オークス>◇24日=東京◇G1◇芝2400メートル◇3歳牝◇出走17頭

 クイーンが女王に輝いた。桜花賞を3分の2の抽選で除外されたミッキークイーン(池江)が、上がり最速34秒0の豪脚で牝馬2冠目を制した。浜中俊騎手(26)のエスコートで、直線は1番人気ルージュバックとのたたき合いを制した。池江泰寿調教師(46)は、牝馬で初のG1制覇。今後は未定だが、秋の大目標である10月18日京都の秋華賞(G1、芝2000メートル)に向け、ローテを組んでいくことになりそうだ。

 1度は見放した勝利の女神が、振り向いた。浜中騎手は、全身でパートナーを鼓舞する。残り150メートル。ミッキークイーンは、前で競り合う2頭を一陣の風のごとく抜き去った。坂を上り、前に見えるのは待ちこがれた樫のゴール。34秒0の最速上がりに、2冠連続1番人気のルージュバックもなすすべはない。「実力を証明できてよかった」。浜中騎手は馬上でスタンドにゴーグルを投げ入れ、高らかに最強宣言をした。

 立つことさえ許されなかった桜花賞の舞台。3分の2の抽選に外れ、無念の除外となった。「出られなかったのは自分の責任」。失意のどん底。浜中は自分を責めた。デビューから全ての競馬に騎乗し、初めてまたがったその日から牝馬3冠を意識した馬。中間は、雑念を捨てた。「オークスでは結果を出したい。素質にほれ込んでいるから」。後ろ向きな発言を頭から消し、自らの言葉で自身を鼓舞。無念を晴らすべく、気持ちを高めてきた。

 鞍上の意気込みに厩舎も最高の仕上げで応えた。2走前の東上で20キロも減った体重はこの日、4キロ増。「当時は歯替わりのストレスで体重が減った」と斉藤助手。もともと輸送減りはしない。飼料の配合を変え、カイバを食わし込んで2冠目に照準を合わせてきた。

 根底にあるのは池江師の父であり師匠である泰郎氏の言葉。同師は「父に言われるのが、ディープインパクトの子どもは中身で走るんだということ」と振り返る。体重は牝馬でも小柄な430キロ前後。だが、体重さえ戻れば、互角以上に戦える確信があった。「ミッキークイーンにずっと携わって、それが分かりました」。

 陣営は早くも2冠目に意欲を燃やす。池江師は「オークスを勝ったので(世代)最強とみていいのでは。最後のもう1冠はきっちり勝たせたい」とキッパリ。浜中騎手も「とにかく秋に向かって順調にいけば」と笑顔で秋華賞制覇を見据えた。この日の勝利は陣営の執念の集大成だった。【松田直樹】

<オークスアラカルト>

 ★忘れな草賞勝ち馬の優勝 11年エリンコート以来4頭目。

 ★池江師 オークスは初勝利。これまでの最高は11年ハブルバブルの9着。

 ★ディープインパクト産駒 12年のジェンティルドンナ以来2勝目。

 ★浜中騎手 4度目の挑戦で初勝利。これまでの最高着順は11年メデタシの11着。

 ★馬主 野田みづき氏は初勝利。JRA・G1は14年NHKマイルC(ミッキーアイル)以来、2勝目。

 ★関西馬 13年メイショウマンボ以来の勝利で、通算成績は関西馬35勝、関東馬42勝となった。

 ★優勝タイム 2分25秒0は、レースレコードの2分23秒6(12年ジェンティルドンナ)に次ぐ歴代2位。

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