日曜中山メーンは、弥生賞(G2、芝2000メートル、8日、3着まで皐月賞優先出走権)が行われる。

 コメート(牡3、土田)の嘉藤貴行騎手(33)が初重賞制覇に燃えている。今年で16年目。中堅の域に達したが、まだタイトルには恵まれていない。「いい馬に乗せてもらえるし、1つくらいは(重賞を)取りたいですね。気張らずに自然体で。注文の付かない馬なので、それができると思います」と口元を引き締めた。

 デビューした00年には19勝を挙げて関東の新人賞を獲得。その後も18勝、19勝と順調に勝ち星を伸ばしたが、減量が取れると競馬の厳しさに直面した。騎乗数が激減し、勝ち星も1桁に低迷。「なんで、って思いはありました。でも、当然ですよね。考えが甘かったんです」。10年は1勝。助手に転身することも真剣に考えた。

 「すでに採用してくれる厩舎も決まってました」。それでも現役に踏みとどまれたのは、11年9月にスーパー未勝利を勝ったダーリブという馬との出合いが大きい。「あの1勝で苦しみが吹っ飛びました。勝つ喜び。これからは死に物狂いでやろう。今はやめなくて良かったと思います」。

 コメートの馬主(ケンレーシング組合)とはチーフテン(古馬500万)に乗った縁で、声をかけてもらった。「悔いの残らない騎乗で恩返ししたい」。どん底を味わった男が、30回目の重賞挑戦で結果を出す。【水島晴之】

 ◆嘉藤貴行(かとう・たかゆき)1981年(昭56)11月5日、東京都生まれ。00年に騎手免許取得。デビュー日にリアルヴィジョン(3戦目)で初勝利。この年、19勝を挙げて関東新人賞を獲得。JRA通算118勝(2日現在)。

  1. お得な新入会プラン登場! 競馬情報サイト【極ウマ・プレミアム】
  2. 競馬予想に【ニッカンAI予想アプリ】