来年米3冠はバファート厩舎が台風の目に/コラム

 3冠馬ナリタブライアンが朝日杯FS(当時は朝日杯3歳S)を制したのは24年前の93年のこと。かつてはダービーの登竜門と呼ばれていた朝日杯FSもレース体系の整備とともに2400メートルのダービーとの縁は薄れ、最近は「2歳王者決定戦」とともに種牡馬を選抜するレースへ変化してきました。

 欧米でも同様です。英デューハーストS(G1、1400メートル)の勝ち馬が英ダービー馬になったのは10年前のニューアプローチが最後。後に欧州を代表する名馬となったフランケルは、2歳王者を決めた後、名マイラーへの道を選んで進みました。

 米BCジュヴェナイル(G1、ダート1700メートル)の勝ち馬もケンタッキーダービーでは不振です。距離は本番と300メートルしか違わないのでハードルは高くないように思えますが、この2つを制したのはストリートセンス(06年BC、07年ケンタッキーダービー)だけです。

 米国では先月末に来年のケンタッキーダービーの第1回前売りが行われました。有力とみられる23頭と「それ以外の馬」を対象にしたもの。例年のように1番人気は「それ以外の馬」の2・2倍。注目の2番人気? は3連勝で臨んだBCジュヴェナイルで3着だったボルトドーロ(牡2)の8倍となっています。

 9日に行われたキャッシュコールフューチュリティ(G1、ダート1700メートル)では、BCジュヴェナイル2着馬でB・バファート厩舎のソロミニが直線抜け出しましたが、内のインスティルドリガードの進路を妨害したとして3着に降着。2位入線だった同厩舎のマッキンジー(牡2)が繰り上がり優勝で、デビュー戦から2連勝で米国最後の2歳G1をものにしました。

 父に続くダービー制覇を視野に入れたマッキンジーは10月のデビュー戦で後続を5馬身半ちぎって評判になった馬。降着とはなりましたがソロミニの末脚にも見どころがあり、来年のクラシックも2年前に3冠馬アメリカンファラオを送ったバファート厩舎が台風の目になりそうです。(ターフライター)

【奥野庸介】(ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)

 [2017年12月13日 08時05分 紙面から]

ニュース一覧

一覧へ