伏兵サクラアンプルール金星、秋盾挑戦へ/札幌記念

ナリタハリケーン(右)の猛追を首差抑え札幌記念を制したサクラアンプルール(撮影・村野早祐)
ナリタハリケーン(右)の猛追を首差抑え札幌記念を制したサクラアンプルール(撮影・村野早祐)

<札幌記念>◇20日=札幌◇G2◇芝2000メートル◇3歳上◇出走13頭

 夏競馬唯一のG2戦は、6番人気の伏兵サクラアンプルール(牡6、金成)がキャリア20戦目で重賞初制覇を飾った。勝ち時計は2分0秒4。直線、外から豪快に伸び、人気馬をのみ込んだ。管理する金成貴史師(47)は初のJRA平地重賞制覇、札幌出身の蛯名正義騎手(48)も05年のクイーンS以来、12年ぶりの地元重賞Vとなった。北都で遅咲きのサクラが咲いた。

 予感があった。返し馬でサクラアンプルールから伝わる気配に、蛯名は自信をみなぎらせた。「前回(函館記念=9着)はおとなしかったが、今回は気合が入って一変していた」。道中は中団に構え、直線は手応え通り、抜群の伸び。人気馬を外からのみ込むと、最後は迫るナリタハリケーンを首差で退けた。愛馬に初の、管理する金成師に平地での初タイトルを贈った。

 札幌出身の鞍上は05年にレクレドールで勝ったクイーンS以来、12年ぶりの地元重賞制覇。「モレイラ旋風」が吹き荒れる中、懸命に追い続け、愛馬を勝利に導いた。「抜け出してから遊ぶところもあったが、何とかもってくれと一生懸命追った。地元で勝てて良かった」。北都で浴びる久々の大声援が心地よかった。

 アンプルールにとっては20戦目、6歳夏でつかんだ初タイトル。一時は道営に転厩するなど苦労を重ねたが、陣営は焦らず成長を促してきた。さくらコマースの全尚烈オーナー(66)は「さくらは大事に使うのがポリシー。厩舎の人たちがよくやってくれました」とスタッフをたたえた。

 この1勝を足掛かりに、偉大な先輩の背中を追う。金成師は海外出張中で不在だったが、全オーナーは「ぜひチャレンジしたい」と、10月29日の天皇賞・秋(G1、芝2000メートル、東京)への挑戦を明言した。当日は自身の67歳の誕生日で、同日開催だった22年前、サクラチトセオーがG1初Vを飾った思い出の日でもある。「1度あることは2度ある」と全オーナー。遅咲きの「サクラ」のサクセスストーリーには、まだ続きがある。【松末守司】

 [2017年08月21日 09時28分 紙面から]

ニュース一覧

一覧へ