ガルボ乗馬予定も“父”になれた「愛されキャラ」

 愛され続けて10年-。「極ウマくん」誕生10周年記念の特別連載「10years」の第2回は、日刊スポーツ賞シンザン記念を制した現10歳馬ガルボ(牡)にスポットを当てる。重賞4勝を挙げて北海道新ひだか町のアロースタッドで種牡馬入り。今年に初年度産駒が誕生した。周囲の人々の愛情に包まれ、静かに幸せをかみしめている・・・はずだ。

 ガルボは今も愛されている。静かに種牡馬生活を送るアロースタッドには、見学期間(7~12月)になると数多くの人々が訪れる。内面から輝くような青毛の馬体は、見る者を魅了する。中には1時間以上も馬房を眺め続ける人もいるという。管理するジェイエスの松田拓也氏は「ファンの多い馬ですね。ガルボ目当てに来る方も多いみたいです。短距離馬なので気の強さはあるんですが、ファンの前ではおとなしくしてくれますね」と目を細める。

 「愛されキャラ」だからこそ、種牡馬になれたともいえる。15年末に引退が決まった当初は乗馬になる予定だった。だが、石川一義オーナーをはじめとする関係者の熱意と尽力で、父になることができた。種付け料は10万円、翌16年の交配は11頭。同期のスターホースたちに比べればわずかだが、種牡馬になること自体が至難の業でもある。

 ひたむきな走りが人々の心を引きつけた。2歳時に朝日杯FSで4着と好走して、3歳初戦の日刊スポーツ賞シンザン記念で重賞初制覇。7歳夏の函館スプリントSで重賞4勝目を挙げるなど、ずっと一線級で活躍を続けた。42戦中27戦で人気以上の成績を挙げ、12、13年の阪神Cでは14、10番人気で2年連続の2着。穴党のファンも多かった。チョコレート菓子と同じ名前にも親しみを持たれた。

 今年に入り、その血を受け継ぐ産駒たちが次々と生まれた。松田氏は「自身は大きな馬ではなかったですが子供は小さく出てない。楽しみです。2歳から長く活躍しましたし、同じぐらい頑張ってくれる子供が出てくれれば」と期待。周りからの愛情に包まれた10年間。今度は父として、その思いに応える番だ。【太田尚樹】

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