1番人気ゴールドアリュールが中央初制覇/G1復刻
<G1プレーバック:2003年フェブラリーS>
プレーバック日刊スポーツ! 過去のフェブラリーSを紙面で振り返ります。2003年は、ゴールドアリュールが追いすがるビワシンセイキを首差抑え、JRAのG1初制覇と報じています。
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<フェブラリーS>◇2003年2月23日=中山◇G1◇ダート1800メートル◇4歳上◇出走16頭
直線半ばで先頭に立った1番人気のゴールドアリュール(牡4、栗東・池江)が、追いすがるビワシンセイキを首差抑えて優勝した。昨年、統一G1を3勝して最優秀ダート馬に選ばれたが、JRAのG1は初制覇。武豊騎手(33)は16年連続でG1勝利を飾った。2頭出しの松田博きゅう舎勢は、ビワシンセイキ(牡5)が2着に健闘したが、2番人気のアドマイヤドンは2度の不利が響き11着に敗れた。
直線半ばでゴールドアリュールが逃げるカネツフルーヴを捕らえた。ゴールまで200メートルだ。追撃してきたイーグルカフェは伸び切れない。だが、今度は横山典のビワシンセイキが1完歩ごとに外から差を詰めてきた。「我慢してくれ」。武豊が懸命に左ムチを打ち込む。それに応えたアリュールが首差こらえてゴールを切った。ステッキを持ったまま、左手を振りかざす派手なガッツポーズで喜びを爆発させた。
「最後はいっぱいだった。よく我慢してくれた。身体能力が高い本当にいい馬」と、会心の勝利にユタカの口もとには笑みがこぼれた。最優秀ダート馬に選出されたが、昨秋のジャパンCダートではアドマイヤドンとの競り合いに敗れ5着に沈んだ。あれから3カ月。同じ舞台で雪辱を果たし、JRAのG1初優勝へ導いた。
戦前からカネツとスマートボーイの逃げ争いが予想されていた。好スタートを切ったアリュールは3、4番手のインでピタリ折り合った。過去、3勝した統一G1は、すべてスピードの違いで逃げていた。「控える競馬で優勝できたのは今後の収穫。ここを勝ったのでドバイへ胸を張って行ける」とユタカ。さらに自身が続けているG1連続勝利を16年に更新し「立派ですね。続けることは難しい。自慢できると思う」と言葉に力を込めた。
次ぎはいよいよ3月29日のドバイワールドC(G1、ダート2000メートル、UAE・ナドアルシバ競馬場)で世界の強豪に挑戦する。池江泰郎師(61)は「今日の勝ち方は収穫だが、もうひとつ力をつけないと世界に通用しない」とさらなるパワーアップを課題に挙げた。武は池江きゅう舎のトゥザヴィクトリーで01年に挑戦し2着に惜敗している。今度こその気持ちだろう。「昨秋よりも力をつけている。今日みたいな競馬ができればチャンスはある。日本一の次ぎは世界一を目指して頑張る」と力強く宣言した。ゴールドアリュールは今まさに伸び盛り。名手とのコンビなら世界制覇は決して夢ではない。
※記録と表記は当時のもの