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競馬

水島晴之「前哨戦その一瞬」

超2強の盾ブラックvsダイヤ/天皇賞・春

 ベテラン水島晴之記者が天皇賞・春の出走予定馬を前哨戦の内容から分析します。今回の対象は阪神大賞典、大阪杯、日経賞です。前哨戦の着順だけではない、プロの視点をチェックして下さい。

背後で脚ため直線でかわす サトノダイヤモンド

<阪神大賞典>◇3月19日=阪神◇G2◇芝3000メートル◇4歳上◇出走10頭

圧倒的な力で阪神大賞典を制したサトノダイヤモンド(左)。右は2着シュヴァルグラン(撮影・前田充)
圧倒的な力で阪神大賞典を制したサトノダイヤモンド(左)。右は2着シュヴァルグラン(撮影・前田充)

 サトノダイヤモンドは、福永シュヴァルグランを目標にきっちり差し切った。注目したのは2周目向正面の動きだ。

 ルメール騎手はシュヴァルの外から並びかけ、プレッシャーをかけた。ゴールまで1000メートル地点。仕掛けるには早すぎる。福永騎手は「サトノの動きに合わせて動いた」と振り返るがライバルがペースを上げるとサトノは逆に控えて後ろについた。直線はあっさり抜き去り1馬身半差。まさに計算ずくの勝利だった。

 相手を動かして、その後ろで脚をためる。有馬記念も同じ。2角から早めにポジションを上げてキタサンブラックの後ろにつくと、3角ではゴールドアクターを先に動かして息を入れた。上位3頭では仕掛けが一番遅い。自分で動くのと、ついて行くのでは消耗度が違う。前2頭に勝負させて、ひと呼吸置いて追いだす。この絶妙な仕掛けが、逆転につながった。

 3000メートルを使ったことで、長距離戦への不安は消えた。今回も勝負は2周目。武豊キタサンブラックのリズムで競馬をすれば術中にはまる。どう切り崩すか。ルメールの「ヘッドワーク」に注目したい。


他馬つぶす早仕掛け キタサンブラック

<大阪杯>◇4月2日=阪神◇G1◇芝2000メートル◇4歳上◇出走14頭

大阪杯は武豊騎手のキタサンブラックが完勝(撮影・外山鉄司)
大阪杯は武豊騎手のキタサンブラックが完勝(撮影・外山鉄司)

 キタサンブラックが3コーナー過ぎでペースを上げた。大逃げするマルターズアポジー、2番手ロードヴァンドールとの差を一気に詰める。ゴールまで800メートル地点。武豊騎手は「普通の馬なら仕掛けが早いけど『この馬なら』と思って」と積極的に出ていった。このロングスパートがキタサンの強みだ。

 ハロン10秒台の速い脚はないが、11秒台のラップタイムを3ハロン以上続けられる。この馬が早めに動けば、後続も引っ張られて動かざるを得ない。瞬発力勝負ではなく消耗戦に持ち込むことで差し馬の体力を奪った。実際、キタサンをマークして進んだサトノクラウンは、なし崩しに脚を使わされ6着。「いい位置につけられたが、最後はジリジリになってしまった」というM・デムーロ騎手のコメントが、すべてを物語っている。

 早仕掛けについて行けばつぶれる。かといって追い出しを遅らせれば、マカヒキ(4着)、アンビシャス(5着)のように、33秒台の末脚を繰り出しても届かない。武豊騎手はどこから仕掛ければゴールまで持つか。この微妙なサジ加減が分かっている。もちろん鞍上の意のままに動く操縦性の良さがあるから、安心して動いていけるわけだが。

 「肉を切らせて、骨を断つ」。キタサン自身もリスクを負うが、それ以上に相手にダメージを与える。ボディーブローのような有効打。自分のタイミングで動いた時は、無類の強さを発揮する。これは2000メートルでも3200メートルでも同じ。名手はどこで動き、ライバルをどう動かすのか。天皇賞・春も、このコンビがレースを支配する。

 

着差以上の強い競馬 シャケトラ

<日経賞>◇3月25日=中山◇G2◇芝2500メートル◇4歳上◇出走16頭◇1着馬に天皇賞・春優先出走権

直線一気に抜け出して日経賞を制したシャケトラと田辺騎手(左)(撮影・丹羽敏通)
直線一気に抜け出して日経賞を制したシャケトラと田辺騎手(左)(撮影・丹羽敏通)

 シャケトラは着差(2着と3/4馬身)以上に強い競馬。大外を回って進出したが、残り800メートルからのラップタイムは11秒9―11秒8―11秒8(ラスト1ハロンは12秒6)と速い。内回りのきついコーナーで外から追い上げるには厳しい状況。いとも簡単にやってのけるあたりが能力の証明。折り合いの不安はなく、3200メートルもプラスだろう。5着ゴールドアクターは前に届かず、後ろからも差された。先行有利の展開だけに不満。6着ディーマジェスティは復調途上か。ダイヤの後ろから大外を回って脚を測った3着トーセンバジル、目標になって差されたシュヴァルの方が内容はいい。

 [2017年04月25日]

水島晴之
 水島晴之(みずしま・はるゆき)1960年(昭和35年)10月25日、東京都生まれ。0歳から東京競馬場で英才教育。カタカナを覚えるのは早かった。小3の時、競馬専門紙の「ダービー観戦記」に応募。佳作に選ばれスポーツ新聞の取材を受ける。15年後、その道へ。タケシバオー最強説を唱える。
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