香港・豪州の検疫問題を考える

 こんにちは。今週は、香港ジョッキークラブが先日発表したオーストラリア・香港間の検疫ルール変更についてお話をしたいと思います。


 その変更とは、競走馬が香港からオーストラリアへ渡航するには、第三国で180日の検疫を受けなくていけなくなったことです。この変更により、オーストラリア調教馬が香港で行われる国際レースに出走する事が極めて難しくなりました。香港からの帰国時に1度他国へ移動して検疫を180日も受けるということは、その馬の競走生活を奪うに等しいからです。


 今まで香港競馬は、自国で競走馬の生産が行われていないことから、オーストラリアの馬を中心に、調教師や騎手もともに発展してきました。しかし、今になってなぜこのようなことが起きるのか? それは、来年から稼働する日本のトレセンを見本とした調教場を中国の広州に建設しているのが大きな理由です。


 今、香港競馬は世界中から注目を浴びるまでに成長し、シャティン競馬場の調教場だけでは手狭になっています。香港競馬のさらなる発展を目的として、広州に作られる施設が、ここまでの影響を与えるとは誰が想像したでしょうか?


 今現在、香港で有力なオーストラリア人調教師は、香港では放牧をする場所がないので、オーストラリアへ空輸して放牧することが普通となっています。これは香港とオーストラリアだけの関係だった今までは検疫的な問題はありませんでした。しかし、今度は中国の調教場が入ることで、さまざまな病気を懸念しなければいけないと、オーストラリア政府が判断をしたのだと思います。


 10月14日に開催される、オーストラリアで新たに設立された世界最高賞金スプリンター決定戦レース「ジ・エベレスト」に香港馬の出走は難しく、そして、香港ジョッキークラブが発表した、香港ジョッキー所属騎手の参加も認められないという事実は、今後このレースへの意義も分かりにくくなりそうです。


 私はさまざまな馬とともに海外遠征を行いましたが、常に検疫問題はつきまといます。今後、日本の競馬界は香港馬に対してどのような対応をするか注目したいと思います。そして、日本におけるさまざまな検疫問題もこれを機に改善してもらえるよう、心から願いたいと思います。

(レースホースコーディネーター)