“せん馬”あれこれ 世界では幸せな余生も

 こんにちは。先週の日曜日は、せん馬のノンコノユメがフェブラリーSを勝ち、小倉で行われた小倉大賞典も、せん馬のトリオンフが勝利しました。同日に行われたグレードレース2つでせん馬が勝つことは、日本では大変珍しい出来事でした。という事で、今週はせん馬についてお話をしたいと思います。

 せん馬とは、簡単に言うと去勢した牡馬のことを言います。日本では、気性難が競走能力の邪魔をしている馬たちに行うことが多いですが、他の理由として種馬を引退した馬や乗馬をせん馬にすることで、長生き出来るようになると言われています。ただ、去勢により急激なホルモンバランスの変化が起こるため、体重や筋肉などに変化が見られ、必ずしも競走能力アップにつながらないことも多々あります。それ以外にもせん馬になり気性の改善が見られ、競走馬として強くなっても、使うことが出来ないレースがあります。例えば、強い血を残すことを目的として作られたレースであるクラシック戦線は、せん馬には出走資格がありません。世界的に有名なレースである凱旋門賞にも出走出来ません。

 一方、世界では日本よりも、多くの国でせん馬の活躍を見ることができます。例えばオーストラリアは生産頭数が世界トップレベルですが、多くのせん馬が活躍しています。アメリカでも、同じことが言えます。

 香港やシンガポールは、生産活動を行っていないので、種牡馬としての将来を期待するという考え方が少なく、ほとんどの馬がせん馬です。

 香港で活躍したスーパーホースたちは、繁殖することが出来なくなっても、生まれ故郷のオーストラリアなどに戻り、余生を過ごしています。せん馬になり血を残すことは出来なくなっても、名馬にはいつまでも名馬としての、素晴らしい余生が保証されているのです。

 今後日本でもそのような環境が増えてほしいと思いますが、現実には難しいかもしれません。

 今、引退馬の余生についていろいろな活動が行われています。もし今後、馬が身近な存在になれば、せん馬となった多くの名馬たちと触れ合える機会が増えるかもしれません。(レースホースコーディネーター)

英国のせん馬レッドカドー。12年香港ヴァーズを制し、12年ジャパンC8着、13年天皇賞・春3着の成績
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サイレントウィットネスの勝利したレース一覧。最後の勝利は05年の日本のスプリンターズS(表の一番上)
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世界的に有名なせん馬の1頭サイレントウィットネス
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フェブラリーSを勝ち、ウイナーズサークルに向かうせん馬のノンコノユメ
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