レッドファルクス変身!豪脚マイラー/安田記念

 安田記念はレッドファルクス(牡7、尾関)の巻き返しが怖い。水島晴之記者が分析する「G1前哨戦その一瞬」は、2年連続で出走した高松宮記念の走りに注目。前半からスピードに乗った昨年と、後方に置かれた今年。年齢を1つ重ねてマイル仕様に変わった可能性を指摘した。

後方置かれるも上がり最速 レッドファルクス

<高松宮記念>◇3月25日=中京◇G1◇芝1200メートル◇4歳上◇出走18頭

レッドファルクス高松宮記念ここ2年の前半3ハロン比較
レッドファルクス高松宮記念ここ2年の前半3ハロン比較

 今年の高松宮記念は逃げたセイウンコウセイが、前半3ハロン33秒3で飛ばした。8着のレッドファルクスはこの速い流れについて行けず後方2番手。先頭からは推定1秒9も離された。M・デムーロ騎手は「スタートは出たけど、全然進んで行かなかった」と振り返り、ポジション取りの悪さを敗因に挙げた。

 一方、昨年3着はラインスピリットの逃げ(前半33秒8)を中団7、8番手で追走。先頭から推定0秒6差で流れに乗った。この違いが着順に表れている。以前は短距離でもある程度ついていけたが、今年は1400メートルの阪急杯も4角を15番手で回った。「後ろからしまいを生かす指示」とはいえ、ダッシュ力が鈍っているのは否定できない。

 スピードの乗りは遅くなったが決め手は健在だ。阪急杯が33秒4、高松宮記念が33秒7。ともにメンバー最速。これまで1200メートルのG1を2勝するなど、全10勝はすべて1400メートル以下だが、前走の走りを見る限り「スプリンター」から「マイラー」へシフトチェンジした印象は強い。短距離で前半もたつけば脚はたまらない。マイルならペースダウンする4ハロン目から直線にかけて末脚を温存することができる。

 前走は直線で進路が2度詰まる不利もあった。昨年の安田記念は3着と結果を残しており、よりマイラー色が強くなった今なら、前走の敗戦を度外視して狙ってみる手はある。

ダッシュ疑問 スワーヴリチャード

<大阪杯>

 スワーヴリチャードは、2角15番手から向正面で一気にまくった。先頭に立った後半1000メートルを推定56秒台で走ったスピードは評価するが、ゲートからダッシュ良く飛び出していけるかは疑問だ。金鯱賞が39秒0、大阪杯も38秒0(ともに前半3ハロンの時計、推定)と、ゆっくり出す競馬が続いている。今回は33秒台が必至。この激流に戸惑ってリズムを崩す不安はないか。中・長距離G1で好成績を挙げていた馬が、敗退するケースも珍しくない。前半の位置取りが鍵になる。2着ペルシアンナイトは、昨秋のマイルCSを制したように距離適性は高い。流れを考えたら、こちらに分がある。

すごい瞬発力 サングレーザー

<マイラーズC>

 前半33秒9、後半34秒1というタフな流れを、サングレーザーが上がり33秒2で差し切った。2番手追走の2着モズアスコット、早めに仕掛けた3着エアスピネルをかわして1馬身1/4差をつけた瞬発力はすごい。折り合いに不安があったが、最近は進境を見せ、ある程度ポジションを取れるようになっている。左回りは3着に敗れた新馬戦(中京)以来。克服できるかが鍵だ。

1F延長カギ ムーンクエイク

<京王杯SC>

 ムーンクエイクが1分19秒5のレコードで勝った。馬群をさばいて伸びてきた勝負強さは光るが、前半少し掛かっていたように、1ハロンの延長がどう出るか。外枠から外を回って先頭に立ったキャンベルジュニアは、勝ち馬にマークされた分の2着。内容的には一番強い競馬をしている。3着サトノアレスはいったん下げて、大外からメンバー2位の32秒7で差してきた。折り合えば切れることが分かったのは収穫だ。