アウォーディー芝スタートで砂王/フェブラリーS

 東京マイルで行われるフェブラリーSは、芝スタートが鍵を握る。水島晴之記者が分析する「G1前哨戦その一瞬」は、古豪アウォーディー(牡8、松永幹)に注目した。芝では4勝を挙げ、14年目黒記念(4着)でも入着と実績は断然。初距離だがダッシュを利かせて流れに乗れば、古豪復活も十分ある。

ダッシュ利かせ前めで「ため」

<川崎記念>◇1月31日=川崎◇統一G1◇ダート2100メートル◇出走10頭

芝で4勝の実績があるアウォーディー
芝で4勝の実績があるアウォーディー

 川崎記念のアウォーディーは、前半でもたついたのが敗因だ。武豊騎手は「スタートが悪くて、外からしぼられた。やりたい競馬ができなかった」と振り返った。深い砂に脚を取られたのか。スタート直後は後方3番手。1周目3角で5番手まで取り付くのにかなり脚を使っている。逃げたケイティブレイブ、2番手アポロケンタッキーがワンツーを決めた先行有利の流れでは3着もやむを得ない。

 それでも、2100メートルだから挽回できたが、1600メートルなら致命的な不利になっていただろう。今回は距離短縮に加え、初の東京ダート。条件は厳しいがプラス材料もある。それが芝スタートだ。東京のマイル戦はダートコースに入る前に約150メートル芝の上を走る。ここでスムーズに加速できれば、その後の展開が楽になり、末脚の威力も増す。

スタート地点に芝がある東京ダート1600メートルで行われるフェブラリーS
スタート地点に芝がある東京ダート1600メートルで行われるフェブラリーS

 アウォーディーは芝で4勝。最後に勝った1000万(15年5月31日、京都2000メートル)では、前半1000メートル59秒2の速い流れを4番手から抜け出した。芝をしっかりとらえ、トップスピードに乗るのが速い。ダートスタートに慣れている馬に比べ、芝実績は大きなアドバンテージだ。ダッシュを利かせて理想のポジションで「ため」を作る。コーナー4つの中距離戦より、むしろ競馬はしやすいかもしれない。

 また、気性的にもソラを使う面があり、忙しいくらいの方が集中力は増す。8歳という年齢、7戦連続勝利なし。マイナス材料ばかりに目がいくが、芝スタートのマイル戦が刺激になる可能性はある。

 一方、勝ったケイティブレイブは、東京ダート1600メートル【0012】。連対実績はないが、芝スタート自体は苦にしない。それより距離短縮が問題。最近は2000メートル前後でゆったり先行する形が合う。1年ぶりのマイル戦(昨年フェブラリーS6着)でリズム良く走れるかがポイントだ。

不安多いテイエムジンソク

<東海S>◇1月21日=中京◇G2◇ダート1800メートル◇4歳上◇出走16頭

東海Sを制したテイエムジンソク
東海Sを制したテイエムジンソク

 テイエムジンソクが主導権を奪い逃げ切った。2着コスモカナディアンとは小差だが、3着は6馬身離れており完勝といえる。これで7戦連続連対中。先行力には安定感があり、2走前のチャンピオンズCでもゴールドドリームと首差の接戦を演じ、コパノリッキーを競り落とした。問題は初めての芝スタート。芝の競馬も経験がなく、スムーズに加速できるか。また、コーナリングが上手な馬で、馬場を1周する1700~1800メートルが合う印象。ワンターンでスピード負けしないか。不安材料も多い。

ノンコノユメ上積み期待

<根岸S>◇1月28日=東京◇G3◇ダート1400メートル◇4歳上◇出走13頭

 ノンコノユメが2年2カ月ぶりの勝利を挙げた。1400メートルは忙しいと思ったが、完全復活を印象づける上がり34秒2の脚で鼻差勝ち。馬体がふっくらして本来の活気が戻ったし、砂をかぶらない大外へ持ち出したのも勝因だろう。芝スタートの東京1600メートルは4勝と得意の舞台。条件的にさらなる上積みが期待できる。2着サンライズノヴァも長く脚を使った。今回1ハロン延びるが、東京マイルは馬混みで気負った武蔵野S12着以外は新馬、ユニコーンSを勝ち【2001】。適性は高く、こちらも芝スタートでの割引はない。