消耗連戦、気になる反動キタサンブラック/宝塚記念

 宝塚記念(G1、芝2200メートル、25日=阪神)でキタサンブラックの春G13連勝を阻むのは―。水島晴之記者が独自の視点でステップレースを分析する「G1前哨戦その一瞬」は春のG12戦が消耗戦だったことに注目。天皇賞・春12着で反動の少ないレインボーライン(牡4、浅見)が浮上した。2戦2勝の阪神で大駆けがあるか。

惨敗レインボー浮上

<天皇賞・春>◇4月30日=京都◇G1◇芝3200メートル◇4歳上◇出走17頭

1着のキタサンブラック(左端)と12着レインボーライン(右端)
1着のキタサンブラック(左端)と12着レインボーライン(右端)

 天皇賞・春はキタサンブラックが3分12秒5の驚異的なレコードで勝った。武豊騎手が「しばらく破れないと思っていたディープインパクトの時計を大幅に更新するとは」という高速時計で、あらためて強さと進化を証明した。問題は走りすぎの反動だ。

 ラップを検証する。大逃げしたヤマカツライデンの前半600メートルは35秒6。この時点で2番手ブラックとは1秒2差。そこから11秒3、11秒4と短距離並みのペースを刻み、1000メートル通過は58秒3。2番手との差は2秒近くに開いたが、後続の60秒台でもかなり速い。よどみない流れで13秒台に落ちたのは1回だけ(13秒0)。上がり3ハロンも11秒6―11秒7―12秒2と速く、息の入らない消耗戦となった。

 秋も天皇賞、JC、有馬記念の3戦皆勤はきついと言われるが、今春は大阪杯が昇格して短期間にG1が3戦続く。しかも、夏場にさしかかる時期だけに、どこかで抜かないと疲労の蓄積は秋以上。ブラックが他馬を圧倒する心肺機能の持ち主とはいえ、やはり大阪杯、天皇賞を強い競馬で連勝した反動は気になる。2着シュヴァルグランも、3000メートル級連続2着の疲労がどう出るか。

 巻き返しがあれば好走組より惨敗組。中でも12着レインボーラインは、外枠で競馬にならなかった。前半から流れに乗れず、2コーナーでは離れた最後方。しまいも伸びず、勝ち馬から1秒8遅れでは消耗も少ない。58キロが影響したか、距離なのか。明確な敗因は不明だが、フレッシュな状態で2戦2勝の阪神なら、大駆けがあっていい。

 もう1頭は7着ゴールドアクター。ゲート内で落ち着かず、狙ったポジションが取れなかった。切れるというより、平均に速い脚を使うタイプ。後方集団では良さが生きない。しっかり走り切れていない分、反動より上積みの方が大きい。たたき3戦目で反発がある。


発射決めるか ミッキーロケット

<大阪杯>◇4月2日=阪神◇G1◇芝2000メートル◇4歳上◇出走14頭

キタサンブラックと武豊騎手が直線抜け出して大阪杯を制する
キタサンブラックと武豊騎手が直線抜け出して大阪杯を制する

 大阪杯からの直行組は約3カ月間隔が空く。サトノクラウン、ミッキーロケットはともに京都記念をステップに6、7着だった。前半59秒6、後半59秒3のイーブンペースで息の入らない流れ。しっかり疲れを取るにはいい休養だ。

 特にロケットは日経新春杯(1着)からの始動で、今年すでに3戦を消化。もともとゲートに課題はあるが、ここ2戦はタイミングが合わず流れに乗れていない。使い込んで精神的に苦しいところがあったのか。大阪杯はそれほど遅れたように見えなかったが、和田騎手によれば「体勢がねじれて出たので、思ったほどダッシュがつかなかった」という。

 前々で勝負根性を生かす馬が、4角13番手では話にならない。それでも上がり3ハロンはメンバー3位タイの33秒9で0秒5差まで詰めてきた。互角に出ていたら、際どい勝負になっていただろう。フレッシュな状態でスタートが決まれば上位争いする力はある。クラウンは、キタサンブラックをマークする形で、なし崩しに脚を使わされたのが痛い。1ハロンの距離延長は歓迎。ゆったりした流れで浮上する。