手前緩急自在アーモンドアイ/オークス

 オークスは「1強」ムードが色濃くなった。水島晴之記者が分析する「G1前哨戦その一瞬」は、桜花賞馬アーモンドアイ(牝3、国枝)の走りを検証。並ぶ間もなくラッキーライラックを差し切った走りに、底知れぬ強さが隠されている。

名馬の切れ馬力 アーモンドアイ

<桜花賞>◇4月8日=阪神◇G1◇芝1600メートル◇3歳牝◇出走17頭◇

桜花賞で鞍上のルメ-ルはアーモンドアイの頭の良さを感じた
桜花賞で鞍上のルメ-ルはアーモンドアイの頭の良さを感じた

 桜花賞のアーモンドアイは、上がり3ハロン33秒2の脚で差し切った。2番目に速い4着トーセンブレスの34秒2を、1秒も上回る凄い切れ味。絶妙のタイミングで抜け出した2着ラッキーライラックに、最後は流して1馬身 3/4 差だから楽勝といっていい。

 86年以降、芝G1を上がり最速の脚で優勝した馬の中で、同2位に1秒以上のタイム差をつけた馬は4頭いる。97年朝日杯3歳Sのグラスワンダー(35秒4=2位は36秒4)、05年ダービーのディープインパクト(33秒4=34秒4)、12年オークスのジェンティルドンナ(34秒2=35秒2)、13年有馬記念のオルフェーヴル(36秒0=37秒3)だ。

 これらの名馬に切れ、馬力で肩を並べたアーモンドアイは、同世代の牝馬では抜けた存在といえる。しかし、それだけではない。最後の直線で7回(通常は1回か2回が多い)も手前を替えた。これがどういう意味を持つのか。人が片足跳びする場合、同じ足ばかりだと疲れてくる。それと同じでサラブレッドも手前を替えた時に伸びる。

 1週前に騎乗したルメール騎手は「手前を替えて加速した。でも、前の馬をかわしたら、もう1度替えて力を抜いた。すごくリラックスしているし、頭のいい馬」と話す。走りの中でオン、オフを切り替えられる賢さ。国枝師が「セルフキャリッジ(馬が自分でバランスを取ることが)できている」と表現した体幹の強さが、バランスのいい走りを生んでいる。陣営が距離克服に自信を見せるのも、そういった理由からだろう。

 手前を何度も替えるのは余裕? 若さ? それとも自分で走りやすい体勢を作っているのか。いずれにせよ、右手前でも左手前でもトップスピードを維持できる筋肉の強さ、柔軟さが強烈な末脚の原動力になっている。

 ★手前 馬が走る際、右脚か左脚どちらかを前に出して走る。この時右脚を前に出す時が右手前、左脚の時は左手前という。右回りのコーナーでは右手前で走り、左回り時は左手前で走る。故障をかかえていたり、不器用な馬だと、手前をうまく替えない時もある。

二四はプラス ラッキーライラック

 桜花賞2着のラッキーライラックは1番枠ということもありスタートから積極的に出していった。3番手から満を持して追いだしたが、勝ち馬に1秒3も速い上がりで走られては仕方ない。3着リリーノーブルとは半馬身差だが、前半1000メートル58秒7の速い流れで先行したことを考えれば着差以上に開きがある。跳びが大きくゆったり走るので2400メートルもプラスに出そうだ。

 4着トーセンブレスは直線入り口で包まれたのが痛かった。あそこがスムーズなら3着馬との差は詰まっていたはず。ただ、血統的に2400メートルは長い。緩い流れの「よーい、ドン」になれば面白い。5着マウレアは外枠がこたえたが、やや切れ負けした印象も。距離延長でその差を縮められる可能性はある。

展開はまれば サトノワルキューレ

 フローラSのサトノワルキューレは、最後方から差し切った。メンバー最速33秒4の脚は、レースの上がり(34秒5)を1秒1も上回る。前半のスピードの乗りが遅く、2400メートルに延びるのも歓迎。まだ自分から動いてG1を勝ち切る体力はないが、展開がはまれば桜花賞馬を脅かす存在になりそう。2着パイオニアバイオは、相手なりに走るしぶとさがある。距離延長も問題ない。