勝因はブラックの長所を生かした豊マジック/ジャパンC

<11月27日東京11R:ジャパンC>

 武豊騎手が後続を幻惑した。キタサンブラックが刻んだスタート後の3ハロンは13秒3-11秒3-12秒6。2秒上げて1秒3落とす。この“山切りラップ”が、マイペースの逃げと驚異のラストスパートを生んだ。

 2ハロン目の11秒3で「逃げる」と意思表示をして、並びかけてきたワンアンドオンリーの田辺騎手をけん制。そして隊列がほぼ決まったところで、今度は12秒6に減速。長距離戦ではいったん折り合いがつくと、遅いと分かってもなかなか動けない。この緩急の使い分けが、実に見事だった。

 中間の1000メートルは無理にペースを落とさず12秒2から12秒7で推移。リズム良く走らせることで、しっかりスタミナを温存した。ここまで理想的に進むと、ぎりぎりまで脚をためたいところだが、残り800メートルから再び11秒台に上げた。このあたりもさすがだ。平均に速い脚は使えるが、ヨーイドンの瞬発力勝負では分が悪い。後続を早めに動かすことで、切れを奪った。

 4角手前では2着サウンズオブアース、5着リアルスティールの方が、先に手応えが怪しくなった。ラスト3ハロンは11秒2-11秒4-12秒1。高速ラップを続けることで、いい脚を長く使うキタサンブラックの長所を生かした。馬の能力はもちろん、その力を最大限引き出したユタカマジックが、3つめのG1制覇をもたらした。【水島晴之】

東京競馬11R スタート良く飛び出したキタサンブラック右(端)(撮影・酒井清司)
東京競馬11R スタート良く飛び出したキタサンブラック右(端)(撮影・酒井清司)
東京競馬11R 1・2コーナー、キタサンブラック(左端)が主導権をとる(撮影・酒井清司)
東京競馬11R 1・2コーナー、キタサンブラック(左端)が主導権をとる(撮影・酒井清司)
東京競馬11R 直線入り口、キタサンブラック(右端)がラストスパート(撮影・酒井清司)
東京競馬11R 直線入り口、キタサンブラック(右端)がラストスパート(撮影・酒井清司)
東京競馬11R ゴール前100メートル、キタサンブラック(右端)がラストスパート(撮影・酒井清司)
東京競馬11R ゴール前100メートル、キタサンブラック(右端)がラストスパート(撮影・酒井清司)