ドゥラメンテの気持ちに乗ったミルコ/ダービー

<5月31日東京10R:ダービー>

 デムーロ騎手はドゥラメンテの気持ちに乗った。何番手とか、どの馬をマークするとかは考えない。まったくのノープラン。それが勝因だ。「この馬のイメージはころころ変わる。いつもテンションが大事」。皐月賞はスタートで接触して、最後方まで下げた。気性的に型にはめるとリズムを崩す。だからゲートを出た感触でポジションを決めていく。


 うまかったのは1コーナーの入り方。隣のリアルスティールが頭を振って掛かり気味なのを見ると、迷わず前へ出た。リアルとの併走状態を避け、コスモナインボール、タガノエスプレッソの後ろへ。2頭を壁にした8番手でコーナーに入った。折り合いを欠いた馬の近くでは、つられて力む恐れがある。このあたりの危機回避能力もさすがだ。


 デムーロは「1、2コーナーで少し掛かった」と言うが、そこで無理に抑えずスピードを上げながら気持ちをコントロール。車でいうならブレーキの遊びをうまく使った。暴走は許さないが、ある程度馬の行く気に任せて、リラックスさせる。前半1000メートル通過は58秒8。速めの流れも手伝って、3コーナーでは完ぺきに折り合った。


 今週の追い切りでは3頭併せの真ん中で、どんな動きを見せるのか実際に乗って最終チェック。これも実戦で生きた。堀師は「ミルコ(デムーロ)は、馬のしぐさや表情に敏感で、コミュニケーションの取り方がうまい」と評価した。だからこそ、返し馬で雰囲気を読み取り、気持ちに乗ることができる。人馬の絶妙な呼吸が、直線の爆発力を生んだ。【水島晴之】

第82回日本ダービーがスタート。ドゥラメンテは7枠14番
第82回日本ダービーがスタート。ドゥラメンテは7枠14番
1コーナーでのドゥラメンテはリアルスティールとの併走を避け前へ出た
1コーナーでのドゥラメンテはリアルスティールとの併走を避け前へ出た
各馬4コーナーを回り直線へ。ドゥラメンテは前を射程圏内にとらえる
各馬4コーナーを回り直線へ。ドゥラメンテは前を射程圏内にとらえる
残り300メートルで先頭に立ったドゥラメンテはゴールへ駆け抜ける
残り300メートルで先頭に立ったドゥラメンテはゴールへ駆け抜ける
レースレコードの2分23秒2で2冠達成したドゥラメンテ
レースレコードの2分23秒2で2冠達成したドゥラメンテ