切れにこだわったルメールが勝利もたらす/有馬記念

<12月25日中山10R:有馬記念> 

 ルメール騎手は、1周目ゴール地点でポジションを上げた。サトノダイヤモンドを9番手の外からキタサンブラックの背後、3番手まで押し上げる。1、2コーナー中間のラップは(12秒1→)13秒4。「ずっと大外を回ってはきつい」。流れが落ちたところで、集団の前へ出たのはさすが。しかし、これが勝因ではない。勝負を分けたのは、3コーナーから直線にかけての動きだ。

 再び11秒台にペースが上がると、いったん5番手に下げた。これには2つの思惑がある。高速ラップで脚をためる。そしてもう一つが、内のゴールドアクターにプレッシャーをかけにいく。吉田隼騎手にすれば逃げたマルターズアポジーの後ろは避けたい。外からかぶされた状況で、前が下がってきたら行き場を失う。どうしても早め、早めの仕掛けになるのはやむを得ない。それをルメールは見越していたかのように、いつでも交わせる態勢を取りながら相手を動かした。

 直線入り口では前2頭にケンカさせ、自身はワンテンポ仕掛けを遅らせる。この絶妙な間が、坂を上がってからの力強い伸びにつながった。キタサンの後ろに忍び寄ることで武豊騎手に意識させ、勝負どころでは逆に1歩引く。「最後もう1回ハミを取って、すごく頑張った。ハートが強かった」と馬をたたえたが、位置取り、仕掛け、すべて完璧に導いたルメールの手腕によるところが大きい。

 もし、残り800メートルから強気に動いていれば、なし崩しに脚を使ってキタサンの術中にはまっていたかもしれない。積極策の中でも最後まで“切れ”にこだわった騎乗が、首差の勝利をもたらした。【水島晴之】

中山10R 4コーナーを先頭で回るキタサンブラック(左から2頭目)。右から5頭目がサトノダイヤモンド、左から3頭目がゴールドアクター(撮影・鈴木みどり)
中山10R 4コーナーを先頭で回るキタサンブラック(左から2頭目)。右から5頭目がサトノダイヤモンド、左から3頭目がゴールドアクター(撮影・鈴木みどり)
中山10R ゴール前残り200メートルでキタサンブラック(左)を猛追するサトノダイヤモンド(左から3頭目)。中央は3着となったゴールドアクター(撮影・神戸崇利)
中山10R ゴール前残り200メートルでキタサンブラック(左)を猛追するサトノダイヤモンド(左から3頭目)。中央は3着となったゴールドアクター(撮影・神戸崇利)
中山10R ゴール直前でキタサンブラック(奥)を捕らえ、クビ差で有馬記念を制するサトノダイヤモンド。右は3着となったゴールドアクター(撮影・神戸崇利)
中山10R ゴール直前でキタサンブラック(奥)を捕らえ、クビ差で有馬記念を制するサトノダイヤモンド。右は3着となったゴールドアクター(撮影・神戸崇利)