<G1プレーバック:1995年天皇賞・春>

 プレーバック日刊スポーツ! 過去の天皇賞・春を紙面で振り返ります。1995年は的場均騎手騎乗のライスシャワーが直線で猛追するステージチャンプをハナ差抑え一昨年の春以来、2度目の盾制覇となりました。

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<天皇賞・春>◇1995年4月23日=京都◇G1◇芝3200メートル◇出走18頭

 ライスシャワー(牡7、飯塚)が2度目の栄冠に輝いた。18頭で争われた古馬日本一決定戦は、2周目3角手前で早々と先頭に立った的場均騎手(38)騎乗のライスシャワーが直線で猛追するステージチャンプ(牡6、矢野進)をハナ差抑え3分19秒9のタイムで一昨年の春以来、2度目の盾制覇。単勝1番人気のエアダブリン(牡5、栗東・伊藤雄)は折り合いを欠いて5着と敗れた。

 2周目3コーナー、山の頂上でライスシャワーが先頭に躍り出る。「ゆっくり上り、ゆっくり下らなければいけない」といわれる京都の難所。的場は8万観衆のどよめきを遠くに聞きながらライスシャワーにゴーサインを送った。前を行くクリスタルケイを馬なりでかわし、17頭を引き連れるように最終コーナーを回る。あのミホノブルボン、メジロマックイーンを豪快に差し切った394メートルの直線を、この日は先頭で栄光のゴールへ突き進んだ。

 こん身の力で愛馬の首を押しまくる的場。それにこたえるように末脚を伸ばすライス。緑のジュウタンの上を激しく疾走する姿は、2年前の天皇賞をほうふつさせる。最後はさすがに脚色が鈍ったものの、復活を期待するファンの大声援に後押しされ、ステージチャンプの強襲をハナ差退けた。これまで“マーク屋”というありがたくない称号を与えられたライスだが、自力勝負という型で、出走メンバー中、唯一のG1ホースの意地を見せつけた瞬間だ。

 もし差されていたら、早仕掛けと非難を浴びたかもしれない大胆騎乗も、的場にすれば計算通りだった。「今回はスローペースになるのは分かっていたので、早めに動くことは考えていた。ゴールではギリギリ残ってくれたと思ったんですが蛯名(正)君が、随分、自信を持っていたようだから」と笑う的場だが、この鮮やかな読みが728日ぶりの勝利に結び付いた。

 「先頭に立つのが早かったのでヒヤヒヤしたね。これほど直線が長く感じたことは初めてだよ」。スタンドで観戦していた飯塚好次師(62)はホッと胸をなで下ろすが、復活までの道程は本当に長かったに違いない。これまで坂路調教に見向きもしなかった飯塚師が、ライス復活のためにプライドまでかなぐり捨てた。坂路調教を進言する的場に首を縦に振ったのは昨年の有馬記念の前のことだった。

 「こんなはずではない、という気持ちはずっとありましたからね。いろいろ試した結果が天皇賞で出てうれしい」と笑みをこぼす。菊花賞、2年前の天皇賞と早めに栗東入りさせたライスを今回は馬に走る気を起こさせるため直前入きゅうに切り替えたのもプラスに作用した。

 今後は6月4日の宝塚記念(G1、芝2200メートル=京都)が当面の目標になるが、復活したライスに望まれるのは打倒ナリタブライアン。三つ目の勲章を手に入れた陣営の合言葉は「秋の天皇賞で怪物退治」だ。

※記録と表記は当時のもの

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