春の盾は馬場状態が鍵

 こんにちは。G1レースの中で最も歴史の古いレースである天皇賞・春が、今週の日曜日に京都競馬場で行われます。例年、天皇賞・春は好メンバーが出走します。今年はその中でも話題が豊富ですが、私は少し違う観点で天皇賞・春についてお話をしたいと思います。

 皆さん、今まで天皇賞・春に外国馬が出走したことがあるのをご存じでしょうか? 2005年、オーストラリアからマカイビーディーヴァという6歳牝馬が挑戦しました。彼女は、オーストラリアでメルボルンCを3連覇した伝説的名馬で、彼女が天皇賞・春を挑戦したときはメルボルンCを2連覇中でした。帰国後に偉業を達成しましたが、天皇賞ではこの時期の京都独特な高速馬場が合わず、7着という結果でした。

 2011年にはフランスからジェントゥーという7歳のセン馬が挑戦しました。彼は天皇賞・春に挑戦する前年にフランスの長距離G1を2連勝。天皇賞前にフランスで前哨戦を使って挑戦してきた点からも勝ちに来た印象でしたが、マカイビーディーヴァ同様の理由で、9着と残念な結果に終わりました。

 2013年、14年にはイギリスからレッドカドーというセン馬が挑戦しました。13年には7歳、14年は8歳での来日でした。レッドカドーについては、以前のコラムで紹介したことがありましたね。

 G1勝ちは香港ヴァーズの1度のみですが、世界で一番遠征をした馬で、さまざまなな馬場状態の中で常に善戦し、10億円以上を稼ぎました。メルボルンCには5度も挑戦。そして、彼にとって最後のレースが5度目のメルボルンCでした。彼はレース中の故障が原因で、メルボルンで悲劇の死を遂げたのです。

 13年、彼にとって初めての天皇賞は3着に善戦しました。それまでの海外遠征での経験値があるので、馬場に対応できたのです。ただ、その翌年は前年よりも馬場が硬く、超高速馬場が合わずに14着と惨敗でした。

 天皇賞・春は世界各国からさまざまな長距離のスペシャリストが挑戦しましたが、この時期の京都競馬場の馬場は、とても難しい高速馬場なのです。その点を考えると、今年の凱旋門賞に挑戦するサトノダイヤモンドにとって、最大の試練は馬場状態かもしれません。ここを乗り越え、秋の凱旋門賞制覇にぜひ近づいてほしいと思います。前年の覇者キタサンブラックとの有馬記念以来の再戦が今から楽しみでなりません。

(レースホースコーディネーター)

メルボルンCの行われる豪フレミントン競馬場には伝説の名馬マカイビーディーヴァの銅像が
メルボルンCの行われる豪フレミントン競馬場には伝説の名馬マカイビーディーヴァの銅像が
メルボルンCで会ったレッドカドー君。右は担当厩務員。左は安藤です
メルボルンCで会ったレッドカドー君。右は担当厩務員。左は安藤です