ドバイの応援、ありがとうございます!

 こんにちは。ドバイに遠征した日本馬は全馬、無事に遠征が終了しました。馬たちは三木ホースランドの国際検疫厩舎に1週間滞在後、それぞれの牧場へと帰ります。私も今日、日本に帰国しました。

 今回のドバイ遠征を振り返ると、とにかく天候が悪く、気温もそこまで暑くはならず、日本の梅雨のような感じでした。レース当日は前日からの雨で、開催すら危ぶまれるほど馬場が悪く、全ての関係者は冷や冷やしていたと思います。

 ここからは、私が印象に残ったレースをピックアップしてお話をしたいと思います。

 まず、私が担当したカフジテイクについてお話をしたいと思います。ゴドルフィンマイルは第1レースということもあり、ダートコースにシーリングという雨による砂の流れや水たまり防止のためのローラーをかけました。その影響もあり、日本では考えられないほど、硬いパンパンな馬場でした。このような馬場は絶対的に先行馬有利となるので、後方から行くカフジテイクには向かない競馬となりました。それでも最後の直線で怒濤(どとう)の追い込みを見せてくれました。最後は届かず5着となりましたが、このような苦しい環境の中での5着はたたえられる結果だと思います。レース後、私はこの馬にはドバイのダート適性があると実感しました。ぜひ良馬場で走らせてあげたかったと思います。

 UAEダービーに出走したエピカリスは、際どい2着でした。何とか勝ってほしかったです。この馬はまだ3歳馬なので、このような特殊な馬場を経験できた事は、将来につながると思います。

 次はドバイターフを勝ったヴィブロスです。芝コースは重と発表されていましたが、私が歩いた感触は重より不良に近い軟らかさでした。決してヴィブロス向きの馬場ではありませんでした。モレイラ騎手の好騎乗で勝利しましたと言われていますが、直線ではかなり強引に進路を変更するなど、ヴィブロス自身がそれに応えた精神的、肉体的強さを評価してあげたいと思います。そしてドバイでは、日本の牝馬はよく走ると改めて感じました。「暑い時の牝馬」は今後も頭に入れておいた方がいいですね。

 最後にメインイベントのドバイワールドカップですが、大本命のアロゲートの強さを、あらためて世界のホースマンに強烈に印象付けるレースでした。スタートで他馬に挟まれて、最後方からの競馬。それでも最終コーナーでは、もうすでに先頭の馬とマッチレースのような形になり、どんどん後続を引き離していきました。レース2日後に検疫厩舎で直接アロゲートに対面しましたが、まだ性格的に子供っぽいところもあり、肉体的にももう1つ上のランクに成長できそうな感じなので、今後も動向が気になります。

 最後になりましたが、やはりドバイ遠征は素晴らしいものでした。今後も日本馬が勝利する姿を生で観戦できればと感じました。ドバイは世界最高峰の馬たちを体感できる機会。また来年も挑戦できることを祈りたいです。応援ありがとうございました。

(レースホースコーディネーター)

ゴドルフィンマイルのパドックで、カフジテイクに付き添う安藤です(右)
ゴドルフィンマイルのパドックで、カフジテイクに付き添う安藤です(右)
メイダンの検疫厩舎を出発するカフジテイクと安藤(左)、山本助手(左から2番目)。そして現地サポーターのウタさん(右)です
メイダンの検疫厩舎を出発するカフジテイクと安藤(左)、山本助手(左から2番目)。そして現地サポーターのウタさん(右)です
ドバイターフの終了直後。勝ったヴィブロスが引き揚げてきました!
ドバイターフの終了直後。勝ったヴィブロスが引き揚げてきました!
ワールドカップを勝ったアロゲートと記念撮影!
ワールドカップを勝ったアロゲートと記念撮影!