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村田破ったブラントが初防衛濃厚、どうなるミドル級トップ戦線

昨年10月、村田諒太(33=帝拳)を大差の12回判定で破ってWBA世界ミドル級王者になったロブ・ブラント(28=米)の初防衛戦が15日(日本時間16日)、同級8位のカーサン・バイサングロフ(21=露)を相手に米国ミネソタ州ヒンクリーで行われる。バイサングロフは17戦全勝(7KO)のホープだが、村田に勝って自信を増しているブラントの防衛が濃厚とみられる。

ブラントは村田戦では9対2のオッズで不利とみられていたが、試合では巧みな位置どりと手数でポイントをかき集めた。パンチの多くは軽打だったが、放った総数は1262発、ヒット数は356発だった。ミドル級の世界戦では12回まで戦った場合、600発前後が平均といわれるなか、いかにブラントが多くのパンチを繰り出したのかが分かるデータといえる。敗れた村田も774発を打ち、そのうち180発を当てたが及ばなかった。

村田戦後、新王者のブラント(25戦24勝16KO1敗)には、12年ロンドン・オリンピック(五輪)決勝で村田に惜敗したエスキーバ・ファルカン(29=ブラジル)との初防衛戦プランが浮上したが、これは見送りとなった。ブラントの地元での試合をファルカンが嫌ったためとも伝えられる。

代わりに挑戦することになったのがバイサングロフだ。このロシア出身の21歳は185センチの長身で、ガードを比較的高く上げた構えから左ジャブを突き、右フックや左ボディブローに繋げる攻撃パターンを持っている。機をみて左構えにスイッチすることもある。

ただ、41パーセントのKO率が示すようにパワーには欠ける。12対1というオッズが出ているように、ブラントが手数とテクニックで試合を支配したすえ中盤から終盤でストップする可能性が高そうだ。

試合以上に注目したいのは、ブラントとミドル級トップ戦線の今後である。現在、ミドル級ではWBAレギュラー王者(ブラント)の上にスーパー王座が設けられており、そこにサウル・カネロ・アルバレス(28=メキシコ)が君臨している。WBCには正王者アルバレスと暫定王者ジャモール・チャーロ(28=米)がおり、IBFではダニエル・ジェイコブス(32=米)、WBOではデメトリアス・アンドレイド(30=米)がそれぞれ王座に君臨している。このうちアルバレスとジェイコブスは5月に統一戦を行うことが決まっている。その勝者がアンドレイドとの4団体統一戦に向かうというプランがある。この3人はDAZNと試合放映の契約を交わしているため、マッチメークの面で壁が少ないのだ。

アルバレスと2度にわたって大接戦を演じた元3団体統一王者のゲンナディ・ゴロフキン(36=カザフスタン)も返り咲きを狙っている。そのゴロフキンにはDAZNがアンドレイド戦とアルバレスとの第3戦で合計約50億円という条件で契約を持ちかけており、その行方が注目されている。

一方、WBC暫定王者のチャーロと契約しているPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンシップ)もゴロフキンに条件提示をして接近していると伝えられる。また、村田とファルカンを擁するトップランク社&ESPNチームは、村田戦後にブラントと契約を交わして王座の一角を占めている。

ゴロフキンの例が示すように米国ではボクシングを放送する前出3グループがトップ選手の囲い込みに躍起になっており、契約下の選手同士でカードを組んでいく傾向が顕著になっている。したがって、たとえば「アルバレス対チャーロ」は、よほどのウルトラCがない限り実現は難しいのが現実だ。

リング外が巴戦の様相になっている現在、ブラントの今後の対戦候補は自ずと絞られてくる。したがって、再起戦で勝利を収めることが大前提になるが、村田が王座奪回を狙ってブラントと再び拳を交える可能性は決して低くはないのだ。そういった意味でも、まずは15日(日本時間16日)に行われるブラント対バイサングロフに要注目といえる。

平成の終わりと白鵬時代の潮目、若手台頭で変革の時

大相撲初場所13日日、貴景勝に突き落としで敗れた白鵬(2019年1月25日撮影)

「平成」の元号が終わりを告げる年、初場所で時代の潮目を感じた。担当歴2年弱の新米で、相撲のなんたるかもまだ分からんのですが、確かに感じるものはありました。

数年後に「あれが引き潮やったんか」と思うかもしれん出来事は、14日目に起こった。横綱白鵬の休場。驚いた。初日からの10連勝後、御嶽海、玉鷲、貴景勝に3連敗した翌朝、白鵬の朝稽古を見ようと訪れた宮城野部屋前で一報が入った。確かに玉鷲に1差リードを許したが、残り2日で逆転Vの可能性はあった。なのに休んだ。それまで途中休場は5場所あったけど、場所が最も押し迫ったタイミングは関脇やった05年名古屋場所の9日目。優勝争い最中の14日目の休場なんて初めてのことでした。

診断内容は「右膝血腫、左足関節炎で約1週間の加療を要する」。額面通りに受け取れば重症ではない。ただ、右膝は昨秋に骨片除去手術をして、昨年九州場所全休の要因になった箇所でもある。13日目の取組後、左膝の違和感を問われて「(初日から)ずっとだからね」とこぼしていた。

残り2日、無理を押して相撲をとって、症状が悪化する怖さがあったのかもしれない。白鵬も33歳。11年以上も横綱を張った者にしかわからない疲労や、体への不安もあるんでしょう。41度も賜杯を手にした、絶対的な強さは揺らいでいるのかもしれません。

逆に「あれが上げ潮やったんか」と思う現象は、やはり若手の台頭です。優勝は34歳の関脇玉鷲が手にしたものの、26歳の小結御嶽海が3横綱1大関を破り、途中4日も休みながら殊勲賞に輝いた。22歳の関脇貴景勝が、昨年九州場所初優勝の勢いを持続させ、千秋楽まで2場所連続優勝の可能性を残した。平幕で2桁白星を残したのは3人いたが、32歳の魁聖を除いて、残る2人は28歳遠藤と24歳阿炎でした。また9勝に終わったものの、26歳北勝富士が西前頭2枚目で9勝し、春場所の新三役を濃厚にした。

千秋楽に御嶽海はこう言いました。「時代が動いてるな、と感じますか?」と聞くと「時代は動いてますよね」。おうむ返しのようなやりとりですが、かみしめるような口調は印象的でした。

春場所は3月10日から始まります。貴景勝は自他ともに認める大関とり。御嶽海も自信を深め、体調を整えてくるはず。貴景勝の躍進に燃える同世代の阿武咲、阿炎もいれば、御嶽海をライバル視する同学年の北勝富士もいる。そんな20代の勢いを、白鵬が受け止められるのか。

平成最後の本場所は、まさに待ったなしです。【加藤裕一】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

大相撲初場所で殊勲賞と敢闘賞を受賞した玉鷲(中央)左は殊勲賞の御嶽海、右は技能賞の貴景勝(2019年1月27日撮影)

V3の渡辺桃、林下詩美組、次期挑戦者に叫女指名

ゴッデス・オブ・スターダム選手権で岩谷、星輝組を下し3度目の防衛を果たした渡辺桃(右)、林下詩美(左)の王者組

<スターダム:後楽園大会>◇17日◇後楽園ホール

メインでゴッデス・オブ・スターダム選手権が行われ、渡辺桃、林下詩美の王者組が、挑戦者の岩谷麻優、星輝ありさ組を下し3度目の防衛を果たした。

序盤は、星輝の強烈な蹴りと、岩谷との絶妙なコンビに渡辺が捕まり苦戦した。しかし、キック力で上回る渡辺が、徐々に盛り返し、星輝を攻め立てる。

林下も、岩谷をうまく抑えサポートすると、最後は渡辺が星輝にピーチ・サンライズを決め勝利した。試合後、渡辺は自らが保持するワンダー・オブ・スターダム王座について「次の防衛で、防衛回数の新記録(11回)になるんですよ。その相手、私はもう決めています。ジャングル叫女。私はあなたに最初の防衛戦で勝ちました。その後、あなたも成長しているんじゃないかと思うので、次の防衛戦であなたに勝って新記録をつくりたい」と、次期挑戦者にジャングル叫女を指名。

叫女の地元名古屋で防衛戦を行うことを宣言した。同じクイーンズ・クエスト(QQ)の小波が、岩谷のアーティスト・オブ・スターダム王座への挑戦を表明。一方、林下は「これからQQはベルト総取りを目指す。自分たちもどんどん防衛していく」と話していた。

デイビーボーイ・スミスJrが4月に米で完全決着戦

デイビーボーイ・スミスJr.

新日本プロレスの鈴木軍の一員デイビーボーイ・スミス・ジュニア(33=カナダ)が、4月に米国でKO・ギブアップの完全決着戦に望むことが決定した。

元UFCヘビー級王者ジョシュ・バーネット(41)が主催する「ブラッドスポーツ」大会に参戦。4月4日にニュージャージー州ジャージーシティで開催される。ルールはノーロープでKOかギブアップで勝負を決める。対戦相手は後日発表となる。

この大会には鈴木軍のボス、鈴木みのる(50)も参戦するだけに、ボスの前で負ける訳にはいかない。

また、デイビーボーイ・スミス・ジュニアはバーネットに師事し、総合格闘技の指導を受けており、師匠の前でも敗北は許されない大事な一戦になる。

デイビーボーイ・スミス・ジュニアの父は日米で人気を博した名プロレスラーで、05年5月に39歳で亡くなっている。(デーブ・レイブル通信員)

村田戦の裏でWBO王座決定戦 どうなるミドル級トップ戦線

20日(日本時間21日)、米国ネバダ州ラスベガスで村田諒太(32=帝拳)対ロブ・ブラント(28=米)のWBA世界ミドル級タイトルマッチが行われるが、同じ日、マサチューセッツ州ボストンでは同じ階級のWBO王座決定戦が挙行される。ドーピング違反が発覚したビリー・ジョー・サンダース(29=英)が11日に王座を返上したため、急遽、1位のデメトリアス・アンドレイド(30=米)と2位のウォルター・カウトンドクワ(33=ナミビア)が拳を交えることになったのだ。20日、リングのなかではどんな動きがあるのだろうか。

ミドル級では9月15日、サウル・カネロ・アルバレス(28=メキシコ)が、8年間に20度の防衛を誇ったゲンナディ・ゴロフキン(36=カザフスタン)を僅差の判定で破ってWBAスーパー王座とWBC王座を獲得したばかりだ。そのアルバレスは12月15日に1階級上のスーパーミドル級でWBA王座に挑戦することが内定しており、その結果しだいでは転級も考えられる状況といえる。

こうしたなか20日にWBAとWBOのミドル級タイトルマッチが行われるわけだが、2試合ともすんなりと挙行にこぎ着けたわけではない。村田対ブラントはWBAが義務づけたカードで、8月には興行権入札が行われたが、村田側は参加せず、ブラント側が落札。

一時は村田が王座を返上する可能性まで浮上したが、その後、両陣営が条件合意に達したという経緯がある。

それ以上に慌ただしかったのがWBOタイトルマッチだ。サンダースのドーピング違反が表面化したのが9月下旬で、試合を管理するマサチューセッツ州のコミッションがサンダースの出場を不可と決めたのが試合10日前のことだった。これを受けサンダースに挑戦する予定だったアンドレイドは、待機状態にあった2位のカウトンドクワと暫定王座決定戦を行うことが決定。その後、11日になってサンダースが王座を返上したためアンドレイド対カウトンドクワ戦が正王座の決定戦になったという経緯がある。

アンドレイドは08年北京五輪ウェルター級ベスト8の実績を持ち、プロではスーパーウエルター級でWBO王座とWBA王座を獲得している。身長185センチ、リーチ187センチの大柄な技巧派サウスポーで、25戦全勝(16KO)と負け知らずだ。カウトンドクワは5年前のデビュー戦で判定勝ちのあと16連続KO中の強打者だが、世界的強豪との対戦経験は皆無で、アフリカ大陸を出て戦ったこともない。17戦全勝(16KO)とKO率は高いが、実力そのものは未知といえる。順当にいけばアンドレイドが2階級制覇を成し遂げそうだが、カウトンドクワがKOで戴冠を果たすようなことがあるとミドル級トップ戦線は大荒れ状態に陥る可能性もある。

村田対ブラント、そしてアンドレイド対カウトンドクワ。日本時間の21日、米国からどんなニュースがもたらされるのだろうか。

3階級制覇か大番狂わせか NYのリングに熱視線

今年9月、39戦無敗だったWBA、WBC世界ミドル級王者のゲンナディ・ゴロフキン(37=カザフスタン)を僅差判定で破って戴冠を果たしたサウル・カネロ・アルバレス(28=メキシコ)が15日(日本時間16日)、米国ニューヨークで1階級上のWBA世界スーパーミドル級王者、ロッキー・フィールディング(31=英国)に挑む。11年と16年にスーパーウエルター級王者になっているアルバレスにとっては3階級制覇を狙っての挑戦となる。大方の予想は「アルバレスのKO勝ち」だが、体格で大きく勝るフィールディングは「スーパーミドル級は私の階級だ」と強気だ。

アルバレスは身長173センチ、リーチ179センチで、72・5キロが体重リミットのミドル級でも小柄な部類に入る。その分、胸板は厚く耐久力もあるが、身長183センチ、リーチ184センチの前WBA王者、村田諒太(32=帝拳)らと比較しても体格面での不利は否めない。以前は70キロ弱のスーパーウエルター級が主戦場だったほどだ。それでも最近の3戦は74・3キロ、72・5キロ、72・3キロと72キロを超す体重で戦い、馴染んできた印象が強い。

こうしたなか9月にはゴロフキンに競り勝ち、ミドル級で2度目の戴冠を果たした。1年前の初戦ではゴロフキンの馬力に押され気味だったが、再戦では体力負けすることなく戦い抜き、自信を深めた様子だ。戴冠後、アルバレスはDAZN(ダゾーン)と「5年間に11試合、合計3億6500万ドル(約412億円)」という“驚額”の契約を結んだ。いま最も稼ぐプロボクサーといってもいいだろう。その初戦として今回のフィールディング戦が組まれたことになる。

今回の試合は、ゴロフキンにも勝ち戦績を53戦50勝(34KO)1敗2分に伸ばしたアルバレスが圧倒的有利とみられているが、これはフィールディングが世界王者でありながら知名度が低いためともいえる。身長185センチ、リーチ190センチと大柄なフィールディングは今年7月にドイツで戴冠を果たしたが、それまでは英国外で戦ったことがなかった。もちろん今回が初の米国のリングとなる。戦績は28戦27勝(15KO)1敗と高い勝率を誇るが、唯一の敗北が3度のダウンを喫して1回TKO負けで、耐久力に課題を抱えている。それでもアルバレス戦の打診を受けた際は迷わず「イエス」の返事をしたという。相手は世界的なスター選手だが、フィールディングは「彼が優れたボクサーであることは認めるが、ミドル級よりも4キロ重いスーパーミドル級では私の方が強い」と自信をみせる。長い左ジャブで突き放しておき、それをかいくぐって相手が懐に入ってきたところを得意の左右アッパーで迎え撃つつもりだ。

だが、オッズは14対1で挑戦者のミドル級王者有利と出ている。アルバレスが左右に動きながら揺さぶりをかけて飛び込み、ボディと顔面に強打を打ち分けて攻め落としてしまうとみられているのだ。

アルバレスが超大型契約の初戦を華々しく飾るのか、それともフィールディングが大番狂わせを起こすのか。15日(日本時間16日)、ニューヨークのリングに要注目だ。

無敗の双子世界王者チャーロ兄弟が7度目の“共演”

22日(日本時間23日)、米国ニューヨークでWBC世界ミドル級暫定王者のジャモール・チャーロ(28=米)と、双子の弟でWBC世界スーパーウエルター級王者のジャーメル・チャーロ(28=米)が揃って防衛戦に臨む。兄のジャモールは27戦全勝(21KO)、弟のジャーメルは31戦全勝(15KO)と、ふたりとも無敗をキープしている。弟がセミ、兄がメインで戦う予定だが、揃って王座を守ることができるか。

130年を超す近代ボクシングの歴史上、兄弟で世界王者になった例は過去に30以上あるが、双子の世界王者となるとカオサイ&カオコーのカオサイ兄弟(タイ)、チャナ&ソンクラームのポーパオイン兄弟(タイ)、ラウル&ラモンのガルシア兄弟(メキシコ)、そしてチャーロ兄弟の4組しかいない。そのなかで、このチャーロ兄弟は16年5月から17年2月にかけて「双子で同時期に同階級(スーパーウエルター級)で世界王座に君臨」という珍しい記録を打ち立てている。

米国テキサス州ヒューストン出身のチャーロ兄弟は、ふたりともアマチュアの経験があり、兄が71戦65勝6敗、弟が64戦56勝8敗の戦績を収めている。プロデビューは弟が07年12月で、兄は9カ月遅れで初陣に臨んだ。体格は兄ジャモールが身長183センチ/リーチ187センチなのに対し、弟ジャーメルは180センチ/185センチで、わずかに兄が大きい。

戦闘スタイルも異なる。78パーセントのKO率を誇る兄のジャモールがパンチの破壊力を売りにする強打者なのに対し、弟のジャーメルはスピードを生かした技巧派として知られる。それでも最近の5試合で4KOをマークしており、兄に似たパンチャー型に変貌しつつあるといえるかもしれない。

ふたりはこれまで同じイベントに6度出場しており、ともに6勝(3KO)という戦績を残している。16年5月21日にはセミに出場した弟がWBC世界スーパーウエルター級王座を獲得し、メインでは兄がIBF世界スーパーウエルター級王座を防衛して前出の記録をつくっている。

7度目の“共演”となる今回はコイントスによって出場順が決められ、兄がメインを務めることになった。WBA世界ミドル級暫定王者のジャモールはウィリー・モンロー(32=米)を迎え撃つはずだったが、相手のドーピング違反が発覚。そのため5日前になって、前座に出場予定だったマット・コロボフ(35=露/米)に相手が変更された。アマチュア時代に世界選手権連覇、08年北京五輪出場の実績を持つコロボフ(29戦28勝14KO1敗)を派手に倒すようだと、混戦のミドル級戦線でチャーロの存在感はさらに増すはずだ。

弟のジャーメルは、29戦27勝(21KO)2敗のトニー・ハリソン(28=米)を相手にV4戦に臨む。この難敵を下せばWBA、IBF王者のジャレット・ハード(28=米)との3団体王座統一戦が具体化しそうだ。そのためにもKOか大差判定での勝利がノルマといえる。

米国で開催される2018年最後の世界戦で、双子のチャーロ兄弟がどんな戦いをみせるのか注目したい。

19年はどんなドラマが…注目階級&期待のホープは

新年最初の今回は、2019年に実現が期待される海外のカードや注目のトップ選手、さらに躍進が見込まれるホープなどを挙げてみたい。

19年で注目すべき階級を三つ挙げるとすれば、最重量級のヘビー級、人気者サウル・カネロ・アルバレス(28=メキシコ)を軸にしたミドル級、そしてスター選手が揃ったウエルター級ということになる。ヘビー級はWBA、IBF、WBO3団体の統一王者、アンソニー・ジョシュア(29=英)とWBC王者のデオンタイ・ワイルダー(33=米)の頂上対決の実現が期待されている。他団体王者との統一戦を含めて6度の防衛を重ねている22戦全勝(21KO)のジョシュアと、41戦40勝(39KO)1分のV8王者ワイルダー。ジョシュアの次戦が4月13日に英国で行われる予定だが、現時点ではここに頂上決戦が組み込まれる可能性は低い。ワイルダーは昨年12月に元3団体王者のタイソン・フューリー(30=英)と引き分けており、その再戦が優先されそうだからだ。フューリーも28戦27勝(19KO)1分の無敗戦士で、2強に割って入るかたちとなっている。この1年で大きな動きが出そうだ。

ミドル級はアルバレスがトップを走っているが、前3団体王者のゲンナディ・ゴロフキン(36=カザフスタン)、WBC暫定王者のジャモール・チャーロ(28=米)、IBF王者のダニエル・ジェイコブス(31=米)、WBO王者のデメトリアス・アンドレイド(30=米)らがピッタリとついている。さらに村田諒太(32=帝拳)からWBA王座を奪ったロブ・ブラント(28=米)、捲土重来を期す村田を含め、トップ戦線の行方から目が離せない状況だ。

ウエルター級もおもしろい。実績では6階級制覇のWBA王者、マニー・パッキャオ(40=比)が飛び抜けているが、現時点の総合力ではWBO王者のテレンス・クロフォード(31=米)やIBF王者のエロール・スペンス(28=米)の方が高い評価を受けている。

ファイター型のWBC王者、ショーン・ポーター(31=米)、ケガからの復帰が決まったWBAスーパー王者のキース・サーマン(30=米)を加えた5人の王者たちの統一戦が実現するか要注目だ。

このほか、軽中量級の核となっているWBA、WBO世界ライト級王者、ワシル・ロマチェンコ(30=ウクライナ)の快進撃がどこまで続くのか、さらに井上尚弥(25=大橋)が参戦している「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」のバンタム級戦線にも注目したい。

また、スーパーウエルター級のハイメ・ムンギア(22=メキシコ)、スーパー・フェザー級のジャーボンタ・デービス(24=米)、スーパー・ライト級のホセ・ラミレス(26=米)、ライト・ヘビー級のドミトリー・ビボル(28=キルギス/露)、スーパー・ミドル級のカラム・スミス(28=英)といった比較的若くて無敗の世界王者たちの活躍も楽しみだ。

19年に戴冠が期待されるホープとしては、17戦全勝(14KO)のスーパー・フェザー級、ライアン・ガルシア(20=米)、14戦全勝(12KO)のスーパー・ライト級、ジョシュ・テイラー(27=英)らがいる。さらに16年リオデジャネイロ五輪出場組も成長してきており、世界のリングを賑やかなものにしてくれそうだ。

2019年のボクシング界には、どんなドラマが生まれるのだろうか。

どうなる? 19年世界を狙う日本のホープたち

2018年の日本のボクシング界は、WBA世界バンタム級王者、井上尚弥(25=大橋)の衝撃の連続1ラウンドKO勝ちと弟・拓真(23=大橋)の戴冠、田中恒成(23=畑中)の3階級制覇、37年ぶりに米国で世界王座を獲得した伊藤雅雪(27=伴流)の活躍、さらに拳四朗(27=BMB)がV5を達成するなど華やかな話題が多かった。一方で村田諒太(32=帝拳)が世界ミドル級王座から陥落するという喜べないニュースもあった。

さて、7人の世界王者を擁してスタートした2019年の日本ボクシング界はどうなるのだろうか。現時点では無冠だが、今年、世界戦線に絡みそうな選手たちをピックアップしてみよう。

1月26日(日本時間27日)、先陣をきるかたちでWBOスーパーウエルター級3位の井上岳志(29=ワールドスポーツ)が米国テキサス州ヒューストンで同級王座に挑む。

王者のハイメ・ムンギア(22=メキシコ)は31戦全勝(26KO)の戦績を誇る強打者で、これが3度目の防衛戦となる。地域王座を獲得して上位に進出してきた井上も14戦13勝(7KO)1分と無敗だが、厳しい戦いになりそうだ。

IBFフライ級王座への優先的な挑戦権を持つ黒田雅之(32=川崎新田)は、同級王者のモルティ・ムザラネ(36=南ア)へのチャンレンジを狙う。交渉しだいでは夏までに挑戦が実現するかもしれない。

IBFスーパーフライ級1位の船井龍一(33=ワタナベ)も指名挑戦の機会を待っている。V6王者のジェルウィン・アンカハス(27=比)は米国でも評価と知名度を上げているサウスポー。この高い壁を破れるか。

12年ロンドンオリンピックバンタム級銅メダリストで、プロ転向後は8戦全KO勝ちを収めている長身サウスポーの清水聡(32=大橋)は、フェザー級で挑戦を狙う。スター選手が揃う階級だけに対戦交渉が難しそうだが、挑戦が実現すれば大きな話題になるはずだ。

スーパーライト級の岡田博喜(29=角海老宝石)は2月10日(日本時間11日)に米国カリフォルニア州フレズノで次戦が計画されている。相手は元WBOライト級王者のレイムンド・ベルトラン(37=メキシコ)が有力だが、これをクリアすれば大舞台が用意されるものと思われる。

このほかミニマム級の小浦翼(24=E&Jカシアス)、谷口将隆(24=ワタナベ)も遠からず挑戦の機会を得そうだ。さらにフライ級で17戦全勝(12KO)の戦績を残している中谷潤人(21=MT)、2度目の挑戦を狙うスーパーバンタム級の和氣慎吾(31=FLARE山上)も控えている。

村田をはじめ返り咲きを狙う元世界王者も多い。すでに3階級制覇を成し遂げているホルヘ・リナレス(33=帝拳)と八重樫東(35=大橋)、井岡一翔(29)は4階級制覇に照準を合わせている。田中恒成への挑戦を狙う田口良一(32=ワタナベ)、昨年9月に田中に王座を明け渡した木村翔(30=青木)も捲土重来を期している。

スーパーフェザー級の元王者、小国以載(30=角海老宝石)、岩佐亮佑(29=セレス)も王座奪回に意欲的だ。さらにミニマム級の福原辰弥(29=本田フィットネス)、フェザー級に転向した久保隼(28=真正)もいる。

計量で体重超過のためWBCフライ級王座を剥奪された比嘉大吾(23=白井・具志堅)、ドーピング検査で陽性反応を示したためIBFスーパーフェザー級の戴冠を取り消された尾川堅一(30=帝拳)も名誉回復と王座奪回に動き出す予定だ。

今年も国内外のボクシングに要注目だ。

佳境に入る“ウェルター級ウォーズ”最強は誰だ

147ポンド(約66.6キロ)を体重リミットとするウェルター級が年初から賑やかだ。すでに1月にWBAレギュラー王者のマニー・パッキャオ(40=比)とWBAスーパー王者のキース・サーマン(30=米)が防衛に成功しており、遠からず団体内の統一戦が期待される状況といえる。このあと3月、4月にも他団体王者たちの試合が組まれており、スター選手が集結している「ウェルター級ウォーズ」は佳境に入っていくことになる。

1月19日、6階級制覇の実績を持つパッキャオ(70戦61勝39KO7敗2分)は元4階級制覇王者のエイドリアン・ブローナー(29=米:39戦33勝24KO4敗1分1無効試合)を大差の12回判定で退け、昨年7月に獲得した王座の初防衛を果たした。パッキャオは昨年12月に40歳になったが、ブローナー戦では最後まで手数もスタミナも落ちず、まだまだトップで十分にやっていけることを証明した。

その1週間後の26日、WBAスーパー王者のサーマン(30戦29勝22KO1無効試合)はホセシト・ロペス(34=米:45戦36勝19KO8敗)に12回判定勝ちを収め、暫定王者時代からの防衛回数を8に伸ばした。17年3月以降、肘や拳の負傷で2年近くを休養に充てることになったサーマンだが、この試合でリングに戻ってきた。

このあと3月9日にはWBC王者のショーン・ポーター(31=米:32戦29勝17KO2敗1分)が、08年北京オリンピック銅メダリストのヨルデニス・ウガス(32=キューバ:26戦23勝11KO3敗)を迎え撃つ。攻撃型のポーター、技巧派のウガスという組み合わせだけに激しいペース争いが展開されそうだが、プロでの経験値と馬力で勝るポーターが9対2のオッズで有利とみられている。

その1週間後、3月16日にはエロール・スペンス(28=米:24戦全勝21KO)対マイキー・ガルシア(31=米:39戦全勝30KO)のIBFタイトルマッチが行われる。すでにスーパースターへの道を歩み始めている王者のスペンスと、勝てば5階級制覇となる正統派パンチャーのガルシア。4対1のオッズが出ているように体格とパワーで勝るサウスポーのスペンスが有利とみられているが、ガルシアの右ストレートが番狂わせを起こす可能性もある。

4月20日にはWBO王者のテレンス・クロフォード(31=米:34戦全勝25KO)が、元スーパー・ライト級王者のアミール・カーン(32=英:37戦33勝20KO4敗)の挑戦を受ける。左右どちらの構えでも戦えるスイッチヒッターのクロフォードと、スピードと右ストレートの切れに定評のあるカーン。3階級制覇を成し遂げているクロフォード有利は不動だが、カーンの右ストレートには注意が必要だろう。オッズは6対1でクロフォード有利と出ている。

これだけのスター選手が集結しているだけに、ファンの注目は「ウェルター級で誰が最強なのか」という点に絞られている。各団体の思惑に加えマネージメントやプロモーターの問題もあり王座統一戦は容易ではないだろうが、選手と関係者はファンの要望に耳を傾け最大限の努力をするべきだろう。3月と4月の試合を楽しみに待つと同時に、5月以降にどんなカードが組まれていくのか、大いに期待したい。