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高嶋仁名誉監督が環太平洋大特任教授に4月就任へ

あいさつに立つ智弁和歌山・高嶋名誉監督(撮影・堀まどか)

昨年8月に勇退した智弁和歌山・高嶋仁前監督(72=現名誉監督)を囲む会が、大阪市内のホテルで行われた。

明徳義塾(高知)・馬淵史郎監督が発起人代表を務め、横浜(神奈川)・渡辺元智前監督、PL学園・中村順司元監督、大阪桐蔭・西谷浩一監督、日本高野連の竹中雅彦事務局長ら高校、大学関係者ら292人が出席。馬淵監督は「勝利への執念をもっと吸収させていただきたかった」とあいさつ。06年夏の甲子園で追いつ追われつの死闘を演じた帝京(東京)の前田三夫監督は「高嶋監督に“前田監督がやめるまではやめない”と言われ、この方をやめさせるわけにはいかないと思ってぼくは頑張ってきたのですが」と、退任を惜しんだ。

会の最後にあいさつに立った高嶋名誉監督は、春夏甲子園で数多くの名勝負を繰り広げたライバル監督らを前に「穴があったら、入りたいです」と苦笑い。「甲子園で勝ったのは選手が頑張ったからで、ぼくはグラウンドで彼らを絞っただけ」と48年間にわたる指導を振り返った。今後については「日本各地を回って、どういう野球をしているのか見て回りたい」と、減少傾向が懸念される野球人口を支えるために貢献していく決意を新たに。また4月から環太平洋大の特任教授に就任することも明らかに。卒業後に指導者を目指す学生に対し、月に1回講義を行う予定。

発起人代表としてあいさつをする明徳義塾の馬淵監督(左から1人目)を見つめる高嶋監督(左から8人目)ら(撮影・堀まどか)

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智弁和歌山・中谷監督の1度は切れた甲子園との縁

センバツ出場が決定し、握手をする高嶋名誉監督(左)と中谷監督(撮影・白石智彦)

第91回選抜高校野球大会(3月23日開幕、甲子園)の選考委員会が25日に行われ、出場32校が決定した。

2年連続13度目の出場となる智弁和歌山の中谷仁監督(39)は「初陣優勝」を目標に掲げた。昨年8月に全国最多勝の高嶋仁監督(72、現名誉監督)からチームを引き継いだ新監督は、97年夏以来となる母校のユニホームでのベンチ入り。プロでは97年ドラフト1位の虎戦士として甲子園を本拠地にした中谷監督は「昨年取れなかった旗を取りにいく」と、主将時代の夏の大優勝旗に続く春の大旗を目指す。

初陣監督は、大志を抱く。高校2年の春、あと1勝で逃した大旗を、昨年あと1勝でつかめなかった教え子たちと取りにいく。

中谷監督 昨年取れなかった旗をしっかり取りにいくというのをチーム全体の目標として、僕も持ってやってます。

練習中のグラウンドに吉報は届いた。「甲子園というのは独特の雰囲気があって、あそこで起こる歓声は、本当に武者震いというか、プレーヤーが身震いするような、心に響くような球場。そこでまた、こういう形で戻ることができるとは」と喜びをかみしめた。

1度は切れた縁だった。高校時代から恩師の後継筆頭候補と言われ、教職を取って母校に戻る将来像を自身も描いていた。だが女手一つで育ててくれた母が病に倒れた。母と姉は「母ちゃんは最近、夜も働いてるんや」と、手術を隠した。事実を伝えられたとしても何もできない子どもの自分が、情けなかった。家族を守れる男でありたい、とプロに進路を切り替えた。

阪神で左目負傷の不運に見舞われ、選手としての実績では球団の期待に応えられなかった。だが移籍した楽天で野村克也、星野仙一、巨人原辰徳らに人間力を重用され、名将の野球を学んだ。母校の専任コーチを経て、昨夏の甲子園後に監督に着任。近畿4強で2年連続甲子園をつかんだ。

監督時代にベンチ中央で仁王立ちしていた恩師、高嶋名誉監督とは対照的に「僕は緊張しいの、マイナス思考の人間なもので。細かく細かく動き回ると思います」と中谷スタイルを貫く。名誉監督は「狙うたら、ええ。明徳義塾も大阪桐蔭もおらん」と好敵手の不在を惜しみながら、新監督の背中を押す。試合に出れば史上8、9人目となる5季連続に王手をかける黒川史陽(ふみや=2年)西川晋太郎(2年)の二遊間コンビら昨春準優勝チームから5人が残る。「どういう試合展開になったとしても、粘り強さで最後には勝つ」。中谷仁の野球で、再び聖地に臨む。【堀まどか】

春のセンバツ出場が決定し、帽子を高々く投げて喜ぶ智弁和歌山ナイン(撮影・白石智彦)

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智弁和歌山・中谷監督が甲子園再デビュー「優勝を」

春のセンバツ出場が決定し、帽子を高々く投げて喜ぶ智弁和歌山ナイン(撮影・白石智彦)

第91回選抜高校野球大会(3月23日開幕、甲子園)の選考委員会が25日に大阪市内で開かれ、智弁和歌山が選出された。

智弁和歌山・中谷仁監督(39)が、甲子園に再デビューする。深紅の大優勝旗を手にした18歳の夏から、智弁和歌山のユニホームでは22年ぶりのベンチ入り。1997年夏の優勝キャプテンは、プロ3球団を経験し、母校のコーチを経て、全国最多勝監督、高嶋仁監督(72)の後継者に。昨秋近畿4強の実績をつかみ、甲子園に戻って来た。

「優勝を狙います。センバツの目標としたら優勝。それだけです」

昨年のチームがあと1勝で逃した大旗を、ひたすら目指す。

昨年8月に監督に就任し、選手1人1人に野球ノートをつけさせることを始めた。練習開始前の熟読が、中谷監督の日課になった。コーチに就任したときから「年の離れたキャプテン」を自認してきた。年の離れた後輩たちが何を考え、何を疑問に思って野球に打ち込んでいるのか? それを文面から読み取る。びっしり書き込まれたページがあり、驚き、喜びながら文字を追う。

阪神時代の不幸な左目の負傷もあり、グラウンドで思うような結果は出せなかったが、周囲の意図をくめる人間であったからこそ、楽天時代に野村克也、星野仙一、巨人時代に原辰徳と、名だたる指揮官に重宝された。現役引退後、監督として母校に戻る幸運に恵まれた。自分で考え、成長できる選手を育てていきたい-、後輩たちにとって、この春の甲子園がそういう場所になれば-。吾妻純平捕手(2年)、黒川史陽(ふみや=2年)、西川晋太郎(2年)の二遊間コンビは、4季連続の甲子園。胸をときめかせ、聖地のグラウンドに立つ。【堀まどか】

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広島ドラ3林、恩師・高嶋名誉監督の色紙持参で入寮

4つのグラブや3本のバットなどの用具に囲まれる林

広島の新人8選手が6日、広島・廿日市市にある大野寮に入寮した。

ドラフト3位・林晃汰内野手(18=智弁和歌山)は、高校の恩師・高嶋仁名誉監督(72)にもらった色紙を持ち込んだ。「努力は一生 栄光は一瞬」と書かれており、4日に手渡されたという。「しっかり練習してこいと言われました。思い切ってやるだけなんで、バッティングでアピールしたい」と意気込んだ。

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高嶋氏、西谷監督ら横浜渡辺前監督祝いに名将集結 

横浜高校の恩師・渡辺前監督(右)の育成功労賞受賞パーティーに訪れたDeNA筒香(撮影・金子真仁)

横浜(神奈川)渡辺元智前監督(74)の育成功労賞受賞を祝う集いが8日、横浜市内で行われ、甲子園優勝監督がズラリと登壇した。

来賓紹介ではまず、今夏で勇退した智弁和歌山・高嶋仁前監督があいさつ。その後、大阪桐蔭・西谷浩一監督、PL学園(大阪)中村順司元監督が壇上に上がり、明徳義塾(高知)馬淵史郎監督、浦和学院(埼玉)森士監督、花咲徳栄(埼玉)岩井隆監督、作新学院(栃木)小針崇宏監督らが続々と紹介された。

350人の関係者で埋め尽くされた会場からは「全員で甲子園何勝?! 」との声が飛び交った。今年、2度目の甲子園春夏連覇を飾った大阪桐蔭・西谷監督には記念品が贈呈され、プレゼンターとして同い年の東海大相模(神奈川)門馬敬治監督が登場すると、会場が湧いた。

駆け付けたDeNA筒香ら多くのプロを育てた渡辺元智前監督は「選手に恵まれた。卒業生が私の財産。これからもOBを大事にしていきたい」と感謝を述べた。また、孫で明大の佳明内野手(4年=横浜)が今年楽天入りを決めた。「プロは甘くない。オヤジとしての縁は今日で切るぐらいのつもりでいる。自分の力で立ち上がってほしい。でも…2月1日のキャンプはこっそり見に行こうかなと思います」と冗談交じりに話し、会場は最後まで盛り上がった。

自身の「育成功労賞受賞を祝う集い」で鏡開きを行う横浜高校の前監督・渡辺元智氏(右から2人目)

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ロッテ2位東妻「長く続ける」勇退高嶋監督へ恩返し

契約を終えポーズをとる日体大・東妻(撮影・久永壮真)

ロッテから2位で指名を受けた日体大・東妻勇輔投手(22)が2日、千葉市内のホテルで契約を行い、契約金7000万円、年俸1200万円で合意した。「やっとプロ野球の世界に入ってきたと実感が湧いてきた。素直にうれしい」と表情を崩した。

中継ぎの即戦力として期待がかかる。「セールスポイントは気持ちが強いとこ。しっかり腕を振って投げられるのが自分の良いところ。最終的には守護神を任されるように頑張りたい」と力を込める。17年秋の首都大学リーグでは、無安打無得点試合を記録。同年の明治神宮大会では、自身初の日本一を達成。優勝投手に輝いており実績十分だ。

戦友の存在が刺激になる。西武から1位で指名された日体大・松本航投手は「一番身近なライバル」だった。東妻は大学1年時からマウンドに立つ松本をスタンドで見ていた。自身も同じ舞台で投げるようになってからは「追いつけ追い越せ」と努力してきた。「同一リーグなのは、何かの縁。あいつが活躍すれば、自分も活躍したいという気持ちになる。大学野球で勝てなかったが、やり返すというか勝てるチャンスがある」と闘志を燃やした。

恩師への恩返しも忘れない。今年8月に、母校である智弁和歌山の高嶋仁監督が勇退。「高嶋先生に出会って人生が変わった。活躍することもそうだけど、プロで長く続けることが恩返しになると思う。(自身と同じ高嶋氏が)教えた後輩にも勇気になるというか目標になると思うので、長くやっていきたい」。後輩の手本になるよう、息の長い選手を目指す。

小さい頃から阪神藤川球児に憧れる。「最終回に出てきたら相手があきらめる。自分が出るだけで影響を与えられる選手になりたい」と力強く言った。最速155キロの即戦力右腕は、日本を代表する守護神を目指し、勝利のために腕を振る。(金額は推定)

笑顔の日体大・東妻勇輔とロッテの菓子(撮影・久永壮真)

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中日岡田10年目の活躍を勇退恩師・高嶋仁氏に誓う

中日岡田が1日、智弁和歌山時代の恩師、高嶋仁氏(72)の監督勇退記念パーティーに出席した。

岡田は高嶋監督のもとで、甲子園に4度出場。高校時代の恩師の表情を思い起こし「きょうは肩の荷を下ろしたような顔をしておられました」としみじみ。「来年は僕もプロ10年目。もっともっと頑張りますので、お時間があれば名古屋まで野球を見に来ていただければと思います」と区切りのシーズンの奮闘を恩師に誓った。

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名将高嶋仁氏“甲子園デビュー”センバツNHK解説

中谷監督(右)から花束を贈られた高嶋氏(撮影・柏原誠)

8月に智弁和歌山の監督を退いた高嶋仁氏(72)が来春の選抜大会でNHKのテレビ解説を務めることが分かった。1日に和歌山市内で行われた勇退パーティーで明かした。

歴代最多の甲子園通算68勝を誇る名将は「“甲子園デビュー”ですわ。ワクワクした気持ちを持って行きたい」。パーティーには同校や智弁学園(奈良)のOBが約200人集結。ほぼ全員が教え子で「こんなに来てくれるとは。長くやっていてよかった。甲子園は人生そのもの」としみじみ語った。

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高嶋仁氏パーティーでアンジャ渡部ら芸人メッセージ

中谷監督(右)から花束を贈られた高嶋氏(撮影・柏原誠)

今年8月に智弁和歌山の監督を退いた高嶋仁氏(72)の勇退パーティーが1日、和歌山市内のホテルで行われた。同校や智弁学園(奈良)のOBが約200人集まり、名将の48年にわたる功績をたたえた。

宴の途中で、テレビ朝日系の人気バラエティー番組「アメトーーク」の人気企画、高校野球大好き芸人たちから寄せられたビデオメッセージが流れた。アンジャッシュ渡部建、かみじょうたけし、トータルテンボス藤田憲右が競うように博識ぶりを披露。思い出の一戦も挙げた。

渡部は数年前に高嶋氏に技術面の話をした際に「野球のことは分からん!」と言われたエピソードを披露。思い出の一戦はアメトーークでも紹介された、逆転に次ぐ逆転劇の06年夏の準々決勝・帝京戦。

かみじょうは高嶋氏の走り方を模写する細かすぎるものまねで、会場の爆笑を誘った。好きな一戦は「逆転伝説」の代表的な1つといわれる00年夏の準々決勝・柳川戦を挙げた。

藤田は、監督就任当初は一方的な指導だった高嶋氏が、次第に選手の気持ちに寄り添う指導に変わったと解説。相方の大村に「何で知ってんだよ!」と突っ込まれると「すんごい好きなの…」と照れ笑いした。好きな試合は97年夏の2回戦・日本文理戦。右肩痛に苦しむエース高塚のために打線が奮起し、結果19点も奪ったインパクト十分の一戦だ。

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智弁一筋48年、高嶋仁氏が爆笑勇退あいさつ40分

中谷監督から花束を贈られた高嶋氏(撮影・柏原誠)

今年8月に智弁和歌山の監督を退いた高嶋仁氏(72)の勇退パーティーが1日、和歌山市内のホテルで行われた。同校や智弁学園(奈良)のOBが約200人集まり、名将の48年にわたる功績をたたえた。

15分を予定していた高嶋氏のあいさつは40分におよんだ。プロで阪神高代延博2軍チーフコーチ(64)や中日岡田俊哉投手(26)日本ハム西川遥輝外野手(26)も出席した。

「こうして顔を見ていると、俺より年上がおるんちゃうかという人もいる。48年間の思いはただ1つ。何とかこいつらを甲子園に連れて行きたいという一心だけだった。68勝は監督ではなく、選手たちが積み上げた勝利です。でも勝ったのは選手だけど、その選手たちを作り上げたのは私。それは忘れないで」。名調子で爆笑をとった。

智弁学園の監督を経て、智弁和歌山へ。甲子園歴代最多の38度出場、103試合、そして68勝。全国制覇も3度成し遂げた。今春も準優勝し、今夏の100回大会出場を最後に勇退した。名誉監督の肩書で部に残り、教え子の中谷仁監督(39)とともにグラウンドに熱い視線を注いでいる。

来春の選抜大会ではテレビ解説の予定も入っているという。「“甲子園デビュー”ですわ。ワクワクした気持ちを持って行こうと思う。テレビは見ないでほしいです。『誰でも捕れるやないか!』と言ってしまいそうで。『難しいバウンドでしたね~』と言えるように、しっかり勉強したい。そうしたら長いこと解説をできるでしょう」。新たな野球人生も大きな注目の的になりそうだ。

OBに囲まれて笑顔の高嶋氏(中央)(撮影・柏原誠)

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智弁和歌山・中谷監督 指揮官として初聖地に大前進

大阪桐蔭に勝利し喜ぶ智弁和歌山ナイン(撮影・清水貴仁)

<高校野球秋季近畿大会:智弁和歌山5-2大阪桐蔭>◇28日◇準々決勝◇ほっともっとフィールド神戸

高校野球秋季近畿地区大会の準々決勝3試合が28日、ほっともっとフィールド神戸で行われた。智弁和歌山(和歌山1位)が、今年の甲子園で春夏連覇を果たした大阪桐蔭(大阪2位)に勝ち、4強入り。来春のセンバツ出場に当確ランプをともした。

勝利の瞬間、智弁和歌山・中谷仁監督(39)は両手で力強くガッツポーズした。今年の8月に監督に就任し、指揮官として初の聖地に大きく前進。「本当に高嶋先生が育ててくれた選手が躍動して勝って、高嶋先生のチームが勝ったのと同じです」。試合後真っ先に出てきたのは、前任の高嶋仁名誉監督(72)の名前だ。試合を見守った名将は「今しか勝てんからなあ」と言いつつも笑みをこぼした。

初回に先制を許すも、2回に一挙4得点のビッグイニングを作りそのまま逃げきった。大阪桐蔭には、17年春の近畿大会から今春の近畿大会まで5連敗。主将の黒川史陽内野手(2年)は、広島にドラフト3位で指名された林晃汰内野手(3年)から「勝てよ」と託されていた。「やっと勝てたというか、一番勝ちがいのあるチーム」と待望の勝利となった。

阪神や楽天などで活躍した中谷監督について、黒川は「いろいろな角度から教えてくださる。準備はプロ野球選手も怠らないと教えてもらいました」と話す。「(大阪桐蔭は)当確ラインの大きな壁だと、組み合わせを見た時に思っていたので、勝てて良かったなと思います」と中谷監督。ライバル相手に大きな1勝をあげた。【磯綾乃】

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智弁和歌山、大阪桐蔭に土!中谷監督が高嶋氏に感謝

大阪桐蔭対智弁和歌山 大阪桐蔭に勝利し喜ぶ智弁和歌山・中谷監督(撮影・清水貴仁)

<高校野球秋季近畿地区大会:智弁和歌山5-2大阪桐蔭>◇28日◇準々決勝◇ほっともっとフィールド神戸

智弁和歌山(和歌山1位)が大阪桐蔭(大阪2位)に勝利し、4強入り。

センバツ出場に当確ランプがともった。今年の8月に就任した元阪神の中谷仁監督(39)は「本当に高嶋先生が育ててくれた選手が躍動して勝って、高嶋さんのチームが勝ったのと同じです」と真っ先に高嶋仁前監督(72)の名前をあげた。

初回に先制を許すも、2回2死二、三塁から8番池田泰騎投手(1年)の内野安打で追いつくと、続く9番綾原創太内野手(1年)の中前打で勝ち越し。3連続四死球で2点を追加し、4得点のビッグイニングを作った。

大阪桐蔭とは、17年春の近畿大会から今春の近畿大会まで5度対戦し、5連敗中だった。主将の黒川史陽内野手(2年)は全ての試合に出場し「やっと勝てたというか、一番勝ちがいのあるチーム」と笑顔を見せた。中谷監督は「智弁和歌山という看板はありますが、新米監督ですし、大阪桐蔭さんは日本一の監督、部長、チーム。対等に話をさせていただけるとは思っていませんし、いろいろ勉強しながらぶつかっていくという気持ちでした」。監督として初めての聖地が大きく近づいた。

大阪桐蔭対智弁和歌山 9回に登板する智弁和歌山・池田陽(撮影・清水貴仁)
大阪桐蔭対智弁和歌山 大阪桐蔭に勝利し喜ぶ智弁和歌山ナイン(撮影・清水貴仁)

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広島3位指名の智弁和歌山・林「ビックリしてます」

広島から3位指名され、高嶋名誉監督(左)、中谷監督(右)と握手する智弁和歌山・林(撮影・柏原誠)

<プロ野球ドラフト会議>◇25日

広島は3位で智弁和歌山・林晃汰内野手(3年)を指名した。

和歌山市の同校で中継を見守り、会見した林は「まさか3位とは思わずビックリしています。一緒に戦ってきた(同級生の)9人に伝えたい」と喜んだ。野球部グラウンドで仲間たちに胴上げされた。

高校通算49本塁打。今夏まで3季連続で出場した甲子園でも2発放り込んだ。力強いスイングから全方向に長打を打てる左の長距離砲だ。「筒香選手や柳田選手のように自分のスイングができている選手にあこがれる」とスラッガーとしての高い志を示した。

この夏で勇退し、名誉監督になった高嶋仁前監督(72)も会見に同席。「やるしかないでしょう。人と同じことをやっていてはダメ。2倍、3倍も練習する気持ちを忘れずに」と厳しいエールを送った。

元阪神ドラフト1位の中谷仁監督(39)は「僕は失敗談をいっぱい持っている。じっくり話していきたい。プロがゴールじゃなくて、ここからがスタートの気持ちを持ってほしい」と助言した。

広島から3位指名され、チームメートに胴上げされる智弁和歌山・林(撮影・柏原誠)

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元阪神中谷監督の智弁和歌山逆転V「第1関門突破」

智弁和歌山対市和歌山 優勝を決めベンチから駆け出す智弁和歌山ナイン(撮影・磯綾乃)

<高校野球秋季近畿地区大会和歌山県予選:智弁和歌山9-6市和歌山>◇決勝◇9日◇紀三井寺

智弁和歌山が逆転勝ちで、2年連続15回目の優勝を決めた。

今夏の甲子園を最後に高嶋仁監督(72)が勇退。コーチから就任した元阪神の中谷仁監督(39)は、監督として初優勝となった。

5回までに5点差をつけられる苦しい展開だった。5回終了後の整備中、中谷監督は選手たちに「絶対甲子園行くんやろ、ここで負けられへんぞ!」とゲキ。「高嶋先生ほど鋭いゲキは飛ばせないですが」と中谷監督は笑ったがナインは発奮するかのように、0-6の6回に2番西川晋太郎内野手(2年)の右越え二塁打から一挙5安打5得点を奪った。5-6と1点差に追いついた7回1死一塁で、4番東妻純平捕手(2年)が左中間へ決勝本塁打。終盤の猛攻で逆転勝利を決めた。

中谷監督は試合後「(敗戦を)覚悟しました」と苦笑いしたが「この夏から出ていた主力メンバーも残っている。高嶋監督が育てた選手たちが引っ張っていってくれるので頼もしいです」と話した。

次に臨むのは3年連続23回目の出場となる近畿大会。「まず和歌山で1番になって、近畿大会で優勝することが目標だった。第1関門を突破しました」と近畿大会でも目指すのは優勝だけ。主将の黒川史陽(ふみや)内野手(2年)は「先を見ずに1戦1戦戦っていって、大阪桐蔭と近江(滋賀)を倒して神宮大会に行きたいです」とこれまでの甲子園で敗れた2校に雪辱を誓った。

智弁和歌山対市和歌山 優勝を決め表彰式を見守る智弁和歌山・中谷仁監督(撮影・磯綾乃)

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馬淵監督が西谷監督に電話した「高嶋さんは不死鳥」

明徳義塾・馬淵史郎監督(2017年8月16日撮影)

今夏限りでの退任を発表した智弁和歌山の高嶋仁監督(72)について、「盟友」の明徳義塾・馬淵史郎監督(62)がコメントした。

「目標がなくなったわ。勝ち星とかじゃなく、あれだけの大監督に近づきたいと思ってやってきた。寂しいわ。もう1回甲子園でやりたかった」としんみり。「(大阪桐蔭監督の)西谷に電話した。シーズンオフに勇退のパーティーをやらなあかんと。でも高嶋さんはフェニックス(不死鳥)だから、分からんぞ」と話した。

24日朝に高嶋監督から電話があり「100回だし、ええキリやろ」と話していたという。一番の思い出には、02年に馬淵監督が監督、高嶋監督がコーチとしてともに臨んだ米国での日米親善高校野球を挙げ「いろんな楽しいことがあった」と懐かしんだ。

「酒を飲んで野球の話をするのが、高嶋さんが一番楽しかった。あの勝負師としての高嶋さんが一番大好きだった。苦労人というか、エリート畑を歩んできたわけじゃないから余計に好きだった」とこれまでの高嶋監督とのあらゆる思い出が浮かんでいる様子だった。

今後については「今後、野球界にずっとおってほしい。『THE高校野球』みたいな人やから」と望んでいた。

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西谷監督、高嶋監督退任は「間違いであってほしい」

大阪桐蔭・西谷監督

今夏限りでの退任を発表した智弁和歌山の高嶋仁監督(72)について、交流のある大阪桐蔭・西谷浩一監督(48)がコメントした。

「びっくりしています。本当なのかなと。間違いであってほしいと思いました。いつか辞められる時が来るかなと思っていましたが、いざその日が決まると本当に寂しいです。お世話になった大目標の監督」と驚きを隠せない様子だった。

大阪桐蔭が春夏連覇を果たした今夏の甲子園決勝に、高嶋監督は訪れており「優勝してその日の晩に『おめでとう。春よりも強くなってたな』とメールをいただきました。夏の甲子園でお会いした時は、そんな様子がなかったので、正直びっくりしています」と話した。

ここ2年間は対戦することが多く、17年春の近畿大会から今春の近畿大会まで5度対戦し大阪桐蔭が5連勝。高嶋監督は「打倒大阪桐蔭」をずっと掲げていた。「『大阪桐蔭を倒すまでずっと辞めない』とおっしゃっていた。それまでは甲子園をかけた試合や、甲子園で当たったことがなかなかなかったのに、一気に当たり出しました。今思えばセンバツ決勝でやらせてもらったのは、恩返しというか、ありがたいという気持ちです」と今年のセンバツ決勝を思い返した。

現在、西谷監督は春夏甲子園通算55勝で、最多68勝を誇る高嶋監督の背中を追いかけている。「勝ちへの執念というか、何が何でも勝つんだという強い思い、執念がある。最上級の強さと勝ちへのこだわりは、若い時から今現在も変わらず、僕らも見習わないといけないと思います」と話した。

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智弁和歌山高嶋監督と帝京前田監督の対談/15年

監督初優勝の本紙を手に「懐かしいなあ」と笑顔を見せる智弁和歌山・高嶋監督(左)と帝京・前田監督(撮影・田崎高広)

甲子園大会で歴代最多監督勝利数68勝を持つ智弁和歌山・高嶋仁監督(72)が25日、退任を発表した。日刊スポーツでは15年4月に高嶋監督と帝京・前田三夫監督(69)の対談を掲載した。その指導法や人柄をうかがい知ることができるこの対談の全文をあらためて掲載する。【取材・構成=堀まどか、前田祐輔】

 ◇  ◇  ◇

熱い高校野球の話が始まる。そんな期待感でいっぱいだった名将対談は、意外な幕開けをする。約1年半ぶりの再会。お互いの携帯電話を確認すると、ガラケーの65歳前田監督に対して、68歳の高嶋監督はスマホを使いこなしていた。「高嶋さん、すごいね~」と突っ込む前田監督に対して、高嶋監督が口火を切る。

高嶋 海外旅行に行ったときに便利ですよね。レストランのメニューとか分からないじゃないですか。

前田 海外旅行行くんですか。余裕ですね。余裕じゃないですか(笑い)。奥さま孝行ですか。はー。どこ行ったですか、最近は。

高嶋 オーロラを見に、カナダに。あとマチュピチュとかね。変わりますよ。マチュピチュ行った時は。もう野球なんてやってられないと思いましたよ。

前田 地球の反対側じゃないですか。そんな時間ありますか。さすが余裕が違いますね~。

もう20年来、旧知の仲の2人。あいさつ代わりに前田監督が“先制攻撃”すると、話題は、次第にあの試合にシフトする。

06年夏、準々決勝の智弁和歌山-帝京。まずは帝京が4点を追う9回表2死から、6連打で8点を奪って逆転した。この回、9番の主戦大田(現DeNA)に代打・沼田を送るも凡退。だが、2死一、二塁から4番中村(現ソフトバンク)が右前適時打を放つと、4連打で1点差、杉谷(現日本ハム)の2点適時打で逆転。さらにこの回2度目の打席に立った沼田が3ランを放ち、一挙8点を挙げて12-8と逆転した。甲子園は異常な興奮に包まれた。

9回表の開始前、帝京のベンチ前で起きた出来事を述懐した。

前田 もうあと3つアウト取られたら負けですから。僕は選手に問い掛けたんです。そうしたら「(代打)沼田行こう」と、そういう声が出ましたから。僕は迷わなかったですね。大田を下げると9回裏は(中堅手の)勝見というのが投げることになるんですけど、彼は2年生の時にエース番号をあげた選手。ピッチャー練習もさせてましたし、勝見で勝てると。100%裏付けはありましたけどね。100%の裏付けが、やっぱり、誤算でしたよね。

3年生になって公式戦登板がなかった帝京・勝見の制球は定まらない。逆に4点を追う智弁和歌山は9回裏、2四球後に橋本良平(元阪神)の3ランで1点差に迫った。

高嶋 前田監督がピッチャーを使い、代打を出し、ピッチャーを出し、最後ピッチャーおらんようになった。ここが誤算じゃなかったかと思うんですけどね。うちが勝つとすると、4点差を1回にひっくり返そうと思ったら、ランナーをためるしかないんですよね。打って、打ってためたんじゃなくて、フォアボールでためてくれたっていうのが大きかったですね。

前田 あのゲームというのはピッチャーがいなくなったと、皆さん言ってますけど、僕自身はあの8点で勝ちだと。監督としてベンチに入れば、監督同士の戦いがありますから。高嶋さんはベンチ前で仁王立ちしていますけど、僕は数えましたけど、2回崩れているんです。よーし、これで勝ったと。高嶋さんのあの姿を崩すのが、他の学校の1つの目標ですからね。ただ、勝負は甘くなかった。

帝京は8回までに3人の投手を使い果たしていた。甲子園史に残る熱戦をひもといても、投手がいなくなった事態は極めて異例だ。智弁和歌山は、攻撃の手を緩めなかった。

高嶋 9回に4番が3ラン打って、ノーアウト一、二塁になって、ホームラン2本打った馬場に回ったんです。勝とう思ったら、だいたいバントです。二、三塁にして外野フライで終わりという感じですが、馬場の今までのバッティング見たらバントさすわけにいかんですよね。負けてもええ、行け行けって。そしたらレフトフライだったんですね。あそこでバントして失敗していたら、多分負けていると思いますね。

前田 でもそれがひとつの流れであって、やっぱり負けっていうのは、ちょっと違うことやると、必ず負けるね。普段やってないことをね。

高嶋 8点取られて4点差付けられたので、気持ち的にはあきらめていましたけどね。帝京さんには悪いんですけど、あの時は田中のマー君をやっつけに出たんですよ、甲子園に。2年の秋、神宮大会で見て、真っすぐが150キロ、スライダーが139キロやったかな。これは練習せんと打てん。2カ月かかりましたけどね、スライダーにも何とかついていけるようになった。だから選手に言ったんです。お前ら負けたら、次マー君とできんやないかと。

両者が共にポイントに挙げたのは、智弁和歌山・橋本に3ランが出て1点差になった直後。四球で無死一塁となった場面だ。

前田 普通はね、なかなかヒットは出ないです。仕切り直しですから。ピッチャーも投げやすい。フォアボールを出した時点で、嫌な感じはしましたよね。

高嶋 ビデオを見返したんですけど、前田監督も何とも言えない顔してるんですよ。あの野郎って、顔しているんですよ。

その直後、帝京は遊撃の杉谷を登板させたが、初球に死球を与えて降板。さらに普段は打撃投手の岡野をマウンドに送るも、同点打を浴び、なおも1死満塁から押し出し四球を与えた。甲子園史上に残る試合は、13-12で智弁和歌山がサヨナラ勝ちした。

前田 もう何十年も監督してますけど、あの時の甲子園のなんて言うのかな、怒濤(どとう)のごとく沸き上がるね、うなりというものには、鳥肌が立ちましたよ。すごいゲームをしたんだって実感が湧きましたね。(帝京の地元)十条も、電気屋さんのテレビに、人がたまって交通もストップしちゃった。そういう話聞きましたよ。やっぱり、感動与えたんでしょうかね。喜んでくれて良かった。

高嶋 ああいうゲームって甲子園じゃないとできないんです。地方大会だったら、すんなり終わりですよね。甲子園っていうのは、すごいことができるところなんですね。

今でも色あせない激戦の余韻。次第に話題は2人が出会った約20年前の出来事や、時代とともに変化していく指導法、甲子園の戦い方に及んだ。

甲子園で白星を積み重ねてきた両監督。慣れ親しんだ甲子園での戦い方にも、独特の方法がある。

高嶋 選手には「お前らと1日でも長く甲子園にいたい」と言うだけ。頼むから1回戦は勝ってくれと。1つ勝つと、その間に夜出て行けるんですよね。

前田 どこへ行くんですか(笑い)。

高嶋 それは内緒ですけどね(笑い)。甲子園で選手と一緒に晩飯を食べたことは、ほとんどないです。うちのやり方は、宿舎で、起床と消灯はないんですよ。外出自由です。天国ですよね。昼寝OKで、1人1部屋で。ただ朝飯何時、晩飯何時と、これに遅れたら和歌山に帰らせるんです。

前田 強制はしないということですね。

高嶋 明日のこと考えたら、何時に寝なあかんというのは、自分で考えなさい。それが分からないんだったら、帰れと。今までで帰らせたのは1人だけなんですね。彼らは甲子園が決まると天国なんです。

普段の練習が厳しい分、甲子園では調整に充てる。選手を大人扱いするのも、勝利を積み重ねた1つの要因なのだろう。

前田 智弁和歌山は合宿所はあるんですか。

高嶋 寮も何にもありません。みんな通いです。

前田 うちも合宿所はないからね。

高嶋 大阪桐蔭の藤浪(現阪神)とかね、あれぐらいの選手は来ない。1学年10人で、県外は2人だけ。環境は悪いんです。でもよその学校とは違うハングリー精神は持ってますからね、その代わりに。

前田 やっぱりそういうものを植え付けさせないと、合宿所を持っている学校には勝てないだろうな。うちなんか、グラウンドをサッカーと共用していた時は、グラウンドを持っている学校には負けない、非常に強いものがありましたね。優勝したのもみんなその時期ですし。ハングリー精神を、今の子たちに持たせるというのも、どんどん難しくなってきているけどね。

高嶋 あまり恵まれた環境では強くならないんですよ。精神的なものが高校野球は大きいですからね。

移りゆく時代。野球界だけにとどまらず、スポーツ界全体に“愛のむち”があったかつての時代から、今は当然ながらすべての体罰が禁じられている。

前田 高校野球も時代とともに変化してますし。タイブレークだとかね。僕らの時代は、高嶋さんなんかの時代もそうだと思いますけど、スパルタ教育で、そのうち自主性が出てきて。今はゆとりだとか、変化が出てきている。その中で、同時に指導者も変わらんといかんし。それだけね、前よりも手がかかりますよ。指導者も、体力もいるし忍耐もいる。

高嶋 今の子は聞かないですから。態度がでかい。

前田 だからね、僕ははっきり言うんですよ。足元を見るなって。一番ずるいやり方だぞって。指導者には指導者の苦しさがある。お前らにはお前らの苦しさがあるから、お互い分かり合わないと、チームはできんぞって。足元を絶対に見るな。それはなんて言うかな、ずるい考えだ。スポーツマンはずるい考えは絶対ダメ。だから言って聞かせますよ今は。根気がいるね。時間かけてやらないと。

長い指導者生活。プロに行った数多くの選手たちの高校時代を見てきた。

高嶋 マー君はすごかった。星稜の小松(辰雄=元中日)も速かったですね。

前田 やっぱり松井(秀喜)はよく打った。僕は神宮大会で5打席中、4つ敬遠させたからね(笑い)。

高嶋 神宮で良かったですね(笑い)。

前田 最後ぐらい勝負せいって言ったらね、神宮第2で、二塁打打たれましたね。で、松井が次の年に、僕は帝京でも4打席敬遠されたって言ってたんですよ。ばか、いらんこと言わなくていいって(笑い)。

高嶋 甲子園でやってくれたら、(明徳義塾)馬淵さんもあんなに騒がれなくていいのに。

尽きることのない野球談議。互いに指導者になってから、40年以上の月日が流れている。

前田 最初は40人いたのが4人になって。1学年で150人ぐらい入った年もあったから。それを1人で束ねていたんだから。若いっていうのはすごいね。

高嶋 和歌山に移った時、部員50人が、僕行ったら3人になりましたね。僕の頭の中は、箕島を倒さないと、甲子園行けないですから、そのことだけ。でも彼らは同好会です。アップいくぞって、ポールからポール100本って言ったら、次の日また誰も来ません。

前田 高嶋さんは長崎海星か。外様だ。同じだ。やっぱり母校じゃないからね、責任あるね。僕なんか4人になった時は大変でしたよ。それこそ4人対サッカー部が200人ですから。1人休んで、僕がバッティングピッチャーやって、1人バッティング、キャッチャーやったら、外野守るのが1人しかいない。それでも、無我夢中でしたね。

互いに順風満帆ではないスタートから、実績を積み重ねて今がある。2人の出会いは約20年前だった。

前田 高嶋さんは智弁学園の時は、あんまり勝ってない印象がある。それが智弁和歌山で、急に勝ち出した。それで、遠征に行ったんです。高嶋さんには執念がありましたね。智弁学園では、ベンチで仁王立ちはしてませんでしたよね。

高嶋 やってません。

前田 智弁和歌山になってあのスタイルでしょ。何かあったんですよね。

高嶋 5回連続で負けたんですよ。甲子園の1回戦で。その時は座ってたんです。監督は目立たん方がええと思って。で、6回目出たときに、もう目立ってもええって。それで勝ったんですよ。それから座れんようになったんです。

前田 やっぱり勝てなかったのが1つの土台でしょうね。そこに原点があるんじゃないかな。負けるっていうのは大切ですね。

高嶋 負けがあるから、次の勝ちがあるんですよ。

「次の勝ち」を積み重ねて、高嶋監督は甲子園最多63勝に到達。それでも自分は「亀」と繰り返す。

高嶋 PL学園の中村(順司)さん(通算58勝)は、放っておいたら150勝ぐらい行ってましたよ。こっちは、ゆっくり、ゆっくり行っているだけですから。よう辞めてくれたな、って思いますよ(笑い)。

前田 高嶋さんは、もういいんじゃないですか。もう60勝しているんだから。

高嶋 いやいや。今辞めたら、前田監督が追い掛けてくる。虎視眈々(たんたん)と狙ってますから。

前田 いやいやいや、そこまで行きませんよ。それこそ亀ですよ。

◆高嶋仁(たかしま・ひとし)1946年(昭21)5月30日、長崎県生まれ。海星(長崎)で外野手として夏の甲子園2回出場。日体大卒業後、72年から智弁学園(奈良)監督、80年から智弁和歌山監督。春1回、夏2回甲子園優勝。主な教え子はヤクルト武内晋一、日本ハム西川遥輝ら。

◆前田三夫(まえだ・みつお)1949年(昭24)6月6日、千葉県生まれ。木更津中央(現木更津総合)では三塁手で、甲子園出場なし。帝京大卒業後に、帝京野球部監督に就任。春1回、夏2回甲子園優勝。主な教え子は元ヤクルト伊東昭光、ソフトバンク中村晃ら。

※年齢など掲載当時のもの

笑顔で語り合う智弁和歌山・高嶋監督(左)と帝京・前田監督(撮影・田崎高広)

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智弁和歌山・高嶋名誉監督に!勇退決断に至った経緯

7日、全国高校野球選手権での近江戦で敗れ、甲子園球場のグラウンドを見つめる智弁和歌山・高嶋監督

ともに歴代最多の春夏甲子園通算68勝(35敗)、同38度出場を誇る智弁和歌山・高嶋仁監督(72)が勇退することが24日、分かった。後任は同校OBで元阪神、現在は同校のコーチを務めている中谷仁氏(39)が濃厚で、秋からは新監督としてチームを率いる方向。高嶋監督は名誉監督として、今後も教え子を見守るとみられるが、今夏の甲子園も出場した名将が一線を退く。

聖地で最多勝利を積み上げてきた智弁和歌山・高嶋監督が、今夏の100回大会を区切りに勇退することを決断した。

高校時代に2度夏の甲子園に出場した高嶋監督は、72年に智弁学園(奈良)の監督に就任し、77年にセンバツ4強。80年に智弁和歌山の監督に就任すると、94年センバツで初優勝。97年夏には現コーチの中谷氏や現興国(大阪)監督の喜多隆志氏(38)を擁して夏初V。00年夏の甲子園も制し、春夏3度の優勝を誇る。

歴代最多の甲子園通算68勝の勝利だけでなく、聖地を名勝負で彩ってきた。06年夏の準々決勝では帝京(東東京)と逆転に次ぐ逆転の試合を繰り広げ、サヨナラ勝ちで激戦を制した。強力な打線をつくり上げることが多く「強打の智弁和歌山」を全国にとどろかせてきた。

17年4月に中谷氏を常勤コーチとして招き、指導にあたってきたが、年を重ねても勝利への執念が衰えることはなかった。特に近年は「打倒大阪桐蔭」に燃えていた。今春のセンバツでは、決勝で大阪桐蔭と激突。準優勝に終わったが、終盤まで接戦を演じ、王者を苦しめた。

今夏も大阪桐蔭との再戦を望んでいたが、1回戦で近江(滋賀)に敗れた。今後は中谷コーチが監督として就任する模様で、高嶋氏は名誉監督となる見込み。40年近く務めてきた智弁和歌山野球部監督を教え子に託し、今後はまた異なる立場から同部をサポートしていく方向だ。

グラウンド上の勝敗だけでなく、人材育成にも情熱を注いできた。日本ハム西川遥輝ら、プロ野球に多くの選手を輩出。また、甲子園のベンチの前で仁王立ちする姿も有名だった。高校野球に、ファンに愛された名将が、後進にバトンを渡す。

<06年8月17日の帝京対智弁和歌山VTR>

両チームで7本塁打が飛び交う壮絶な打撃戦を、智弁和歌山が逆転サヨナラで制した。8-12で迎えた9回無死一、二塁から橋本の3ランで1点差。代打青石の適時打で同点とすると、最後は押し出し四球で決勝点を奪った。帝京は4点を追う9回に打者11人の猛攻で8点を挙げ逆転したが、投手陣が乱調でリードを守れなかった。

◆高嶋仁(たかしま・ひとし)1946年(昭21)5月30日、長崎県生まれ。海星(長崎)で外野手として夏の甲子園に2回出場。日体大卒業後、72年から智弁学園監督、80年から智弁和歌山監督。94年春に甲子園で初優勝し、その後97年、00年夏に全国制覇。主な教え子はヤクルト武内晋一、日本ハム西川遥輝ら。

◆中谷仁(なかたに・じん)1979年(昭54)5月5日、和歌山県生まれ。智弁和歌山では96年春に準V、97年夏に全国制覇。同年ドラフト1位で阪神入団。05年オフに楽天へ移籍。11年に戦力外となり、12年から巨人でプレーも同年に現役引退。通算111試合、28安打、4本塁打、17打点、打率1割6分2厘。17年春に智弁和歌山の専任コーチに就任。現役時代は183センチ、95キロ。ポジションは捕手で、右投げ右打ち。

1月、中谷コーチ(左)と握手する智弁和歌山・高嶋監督

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智弁和歌山・高嶋監督が勇退、後任は中谷コーチ濃厚

甲子園の監督勝利10傑

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高嶋監督は名誉監督として、今後も教え子を見守るとみられるが、今夏の甲子園も出場した名将が一線を退く。

◆高嶋仁(たかしま・ひとし)1946年(昭21)5月30日、長崎県生まれ。海星(長崎)で外野手として夏の甲子園に2回出場。日体大卒業後、72年から智弁学園監督、80年から智弁和歌山監督。94年春に甲子園で初優勝し、その後97年、00年夏に全国制覇。主な教え子はヤクルト武内晋一、日本ハム西川遥輝ら。

全国高校野球選手権の近江戦で敗れ、甲子園球場のグラウンドを見つめる智弁和歌山・高嶋監督(2018年8月7日撮影)
全国高校野球選手権の甲子園見学を終え笑顔で引き揚げる智弁和歌山・高嶋仁監督(手前)と中谷仁コーチ(2018年8月1日撮影)

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智弁和歌山・高嶋監督、林へ期待込めた厳しいエール  

近江に敗れグラウンドを後にする智弁和歌山・林(右)(撮影・加藤哉)

<全国高校野球選手権:近江7-3智弁和歌山>◇7日◇1回戦

 今秋ドラフト上位候補、智弁和歌山・林晃汰内野手(3年)の早すぎる夏が終わった。「満足はしていない。この夏は打てなくて、結果が出なかった。でも楽しくできたので、それが一番かなと思います」。

 初回1死二塁のチャンスで空振り三振。5回1死一、三塁でも三振に倒れるなど好機で1本が出なかった。7回1死から右前打を放ったが、3打数1安打2三振。「最後まで自分の感覚がつかめていなかった。それでも打たないといけない」と言い訳はなかった。

 今大会前、林は高嶋仁監督(72)と練習中に目が合うたびに「好きなように打て」と言われていた。今年のセンバツ前は反対に「3本(塁打)打て」とはっぱをかけられたが、実力通りの結果を残せず。高嶋監督は、甲子園で伸び伸びしてほしいという思いを込めて、今回は「好きにせえ」と声をかけていた。

 試合後、林は「1年生の春から出させてもらった。恩返しの気持ちでしたが、最後まで迷惑をかけて、申し訳ない気持ちです。全国制覇をプレゼントしたかったです」と高嶋監督への思いを口にした。

 高嶋監督は林に「全然だめですね。雰囲気がなかった。まだまだ未熟者。智弁のクリーンアップですから。厳しい言葉ですが、上で野球をやるなら、肝に銘じて上がっていってほしい」と厳しい言葉を並べた。林の実力に期待するからこその、温かいエールでもあった。

7回裏智弁和歌山1死、林は右前打を放つ(撮影・加藤哉)
近江に敗れグラウンドをしっかりと見つめたまま腰に手を当てる智弁和歌山の高嶋監督(撮影・加藤哉)

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センバツ準V智弁和歌山出陣/7日高校野球見どころ

智弁和歌山・高嶋仁監督

<全国高校野球選手権>◇7日◇1回戦4試合

 第100回全国高校野球選手権記念大会は、第3日の1回戦4試合が行われる。元球児による「レジェンド始球式」は鹿児島実OB定岡正二氏。エースだった定岡氏は、1974年(第56回大会)で、原辰徳氏らを擁する東海大相模を延長15回の末に破って鹿児島県勢初の4強入りに貢献した。

<見どころ>

▽1回戦

【第1試合(8:00) 佐賀商(佐賀)-高岡商(富山)】

 佐賀商が、1994年(第76回大会)に県勢初の全国制覇を果たしてから24年になるが、選手権の出場は2008年以来10年ぶりと久々だ。勝てば1997年(第79回)光星学院に10-9で勝利して以来、21年ぶりの夏1勝となる。

 佐賀大会では6試合で12失点(1試合平均2失点)と、エース木村を中心に投手陣が1試合3点以下にしのいで少ないチャンスをものにしてきた。145キロの直球と変化球のコンビネーションを武器にする木村は、6試合48イニングを投げ、被安打25、11失点と安定感は抜群、3回戦から決勝までの4試合連続完投でスタミナ面も問題ない。

 チーム打率3割1分1厘は決して高い数字ではないが、レギュラークラス5人が3割超え、特に主軸を打つ山崎は打率3割8分1厘、1本塁打、チームトップの9打点と勝負強さが光る。

 駒大苫小牧で2004、2005年の夏に連覇した香田誉士史元監督(西部ガス監督)は同校OBだが、香田氏と現役時代、主軸を組んだ森田剛史監督が名門「佐商」復活の指揮を執る。

 2年連続19度目の出場となる高岡商は、チーム打率4割1厘の打線がウリ。富山大会は1試合平均12・5得点をたたき出し、全5試合すべて2桁得点と圧倒した。打率4割6分7厘の石黒を筆頭にレギュラークラスは4割打者6人、3割打者3人と、打線に穴は見当たらない。

 地方大会は4投手で乗り切ったが、182センチの長身左腕で最速148キロを誇るプロ注目の山田が中心的存在だ。高岡商が、2008年(第90回)大府に1回戦で勝利(5-1)して以来、10年ぶりの夏1勝を目指す。

◆佐賀商のおもなOB 元西武新谷博、日本ハム田中豊樹

◆高岡商のおもなOB DeNA進藤達哉GM補佐、日本ハム紺田敏正コーチ

【第2試合(10:30) 智弁和歌山(和歌山)-近江(滋賀)】

 監督通算勝利数(68勝)で歴代1位を誇る智弁和歌山・高嶋仁監督が、2000年(第82回大会)以来、夏3度目の優勝を狙う。強力打線は今年も健在で、和歌山大会5試合で59安打60得点をマークした。準決勝まで4試合連続コールド勝ちし、チーム打率4割1分は圧巻だ。1番神先と5番冨田が同5割超、高校通算49本塁打を誇る3番林、4番文元主将も同4割超とレギュラー7人が4割超えと破壊力は半端ない。平田らを中心に6投手で県大会を勝ち上がった投手陣は5試合で11失点(1試合平均2・2失点)とまずまず。決勝の市和歌山戦では6失点しサヨナラ勝ちで辛勝となったが、今春のセンバツ大会では大阪桐蔭に敗れて準優勝。「打倒桐蔭」に燃える智弁和歌山が、ここで負けるわけにはいかない。

 今春のセンバツ大会でベスト16入りした近江が、節目の夏10勝目を目指す。滋賀大会では5試合で7失点(1試合平均1・4失点)と5投手の層も厚く、安定感がある。3試合に先発した技巧派左腕の林、140キロ台の速球を持つ金城とプロ並みの継投でつなぐ。佐合も成長し4試合13イニングを投げて2失点、21奪三振と特徴の異なる投手陣が相手打線を幻惑する。

 打線も負けてはない。チーム打率は智弁和歌山と同じ4割1分。本塁打は1本もないが、同5割3分3厘の4番北村を筆頭に上位下位とムラのない打線は穴がない。

◆智弁和歌山のおもなOB ヤクルト武内晋一、日本ハム西川遥輝

◆近江のおもなOB 阪神植田海、DeNA京山将弥

【第3試合(13:00) 前橋育英(群馬)-近大付(南大阪)】

 高橋光成(現西武)を擁し2013年の夏に全国制覇を飾った前橋育英が3年連続の夏に挑む。北原主将ら昨夏の甲子園を知るメンバーも残っており、経験も豊富で投打にまとまっている。エース恩田は群馬大会全6試合で40イニング12失点、防御率は1・58と安定感も抜群だ。チーム打率も3割9分3厘と高数字を残しており、守りでもマスクをかぶる主砲小池は打率5割4分5厘、3本塁打、8打点と攻守にけん引役を果たす。

 近大付のエース大石は最速141キロの本格派左腕で1年生から背番号1を背負ってきたプロ注目の投手。中学時代から大舞台で活躍し日の丸を背負った経験もある。速球に加え、キレ味鋭いスライダーのコンビネーションで打者を仕留める。南大阪大会では7試合中5試合に登板し43イニングを投げ被安打38、6失点と安定感は抜群。決勝の大商大堺戦では完封勝利を収めた。バックもわずか2失策と強固な守りを誇る。

 チーム打率は3割3分3厘で打率5割2分を誇る花田主将が打線をけん引する。7試合で犠打20、4盗塁の山本、3盗塁の西川ら盗塁13と小技、機動力を駆使した攻撃にはソツがない。

◆前橋育英のおもなOB 西武高橋光成、オリックス神戸文也

◆近大付のおもなOB 競泳入江陵介(ロンドン五輪200メートル背泳ぎ銀メダリスト)、巨人金城龍彦コーチ

【第4試合(15:30) 益田東(島根)-常葉大菊川(静岡)】

 18年ぶり4度目の出場となった益田東が、節目の県勢夏30勝を狙う。島根大会全5試合で先発したエース和田は39回3分の2を投げ9失点、決勝戦の石見智翠館を完封し勢いに乗る。打線は1年から4番を打つ稲林の出来が鍵。県大会では打率2割7分8厘と本来の実力を発揮できなかったが、決勝戦では先制アーチを放つなど状態も徐々に上向いている。チーム打率は3割4分6厘で、一塁手の安田が同5割2分6厘、2本塁打、11打点と大暴れした。甲子園でもバットに期待がかかる。

 2年ぶり6度目出場の常葉大菊川が、2013年(第95回大会)以来、5年ぶりの夏白星を目指す。2007年のセンバツ大会で全国制覇、2008年には夏の甲子園で準優勝した実力校。強力な打線は健在で、静岡大会は6試合で55得点(1試合当たり9・2点)をたたき出した。チーム打率は3割7分1厘で、リードオフマン奈良間は圧巻の同8割1分8厘だ。足技も武器で奈良間の9盗塁を筆頭に根来も7盗塁をマークするなどチーム計26盗塁、足を絡めた攻撃も相手には驚異となる。

 投手陣は漢人、榛村の2枚看板で、漢人は4試合で28イニングを投げ10失点、榛村は2試合13イニング投げ無失点と安定感もある。

 また、静岡勢は2014年から昨夏まで4年連続で初戦敗退しており、常葉大菊川が夏の負の連鎖をストップさせる。

◆益田東のおもなOB 元阪神三東洋、元オリックス渡辺伸彦

◆常葉大菊川のおもなOB DeNA田中健二朗、広島桑原樹

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強打の智弁和歌山が初戦/7日第2試合見どころ

智弁和歌山・文元主将(左)と近江・中尾主将(撮影・加藤哉)

 【第2試合(10:30) 智弁和歌山(和歌山)-近江(滋賀)】

 監督通算勝利数(68勝)で歴代1位を誇る智弁和歌山・高嶋仁監督が、2000年(第82回大会)以来、夏3度目の優勝を狙う。強力打線は今年も健在で、和歌山大会5試合で59安打60得点をマークした。準決勝まで4試合連続コールド勝ちし、チーム打率4割1分は圧巻だ。1番神先と5番冨田が同5割超、高校通算49本塁打を誇る3番林、4番文元主将も同4割超とレギュラー7人が4割超えと破壊力は半端ない。平田らを中心に6投手で県大会を勝ち上がった投手陣は5試合で11失点(1試合平均2・2失点)とまずまず。決勝の市和歌山戦では6失点しサヨナラ勝ちで辛勝となったが、今春のセンバツ大会では大阪桐蔭に敗れて準優勝。「打倒桐蔭」に燃える智弁和歌山が、ここで負けるわけにはいかない。

 今春のセンバツ大会でベスト16入りした近江が、節目の夏10勝目を目指す。滋賀大会では5試合で7失点(1試合平均1・4失点)と5投手の層も厚く、安定感がある。3試合に先発した技巧派左腕の林、140キロ台の速球を持つ金城とプロ並みの継投でつなぐ。佐合も成長し4試合13イニングを投げて2失点、21奪三振と特徴の異なる投手陣が相手打線を幻惑する。

 打線も負けてはない。チーム打率は智弁和歌山と同じ4割1分。本塁打は1本もないが、同5割3分3厘の4番北村を筆頭に上位下位とムラのない打線は穴がない。

◆智弁和歌山のおもなOB ヤクルト武内晋一、日本ハム西川遥輝

◆近江のおもなOB 阪神植田海、DeNA京山将弥

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智弁和歌山「やりたくなかった」近江と近畿勢対決

席に座り抽選を待つ智弁和歌山・高嶋仁監督(撮影・上田博志)

<全国高校野球選手権:組み合わせ抽選会>◇2日◇大阪フェスティバルホール

 智弁和歌山は同じ近畿勢の近江(滋賀)との初戦を引き当てた。

 公式戦での対戦は15年5月23日の春季近畿大会1回戦以来で、当時は12-9で智弁和歌山が打ち勝った。近江の多賀章仁監督(58)とは普段から連絡を取り合い、練習試合を行う間柄だけに、高嶋仁監督(72)は「やりたくなかったですね。もっと遠いところの学校がよかったのに」と苦笑いを浮かべた。

 ただ隣県対決といえば、智弁和歌山は16年10月29日の秋季近畿大会1回戦で滋賀学園に負けて以来、公式戦では大阪桐蔭以外には負け知らず。大阪桐蔭には5連敗中で「決勝で今度こそ大阪桐蔭をやっつけないといかんから、1つ1つしっかり勝っていかないと」と、高嶋監督はインタビュー場所で斜め向かいに座った大阪桐蔭・西谷浩一監督(48)にも闘志あふれる視線を向けていた。

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【復刻】逆転!逆転!智弁和歌山vs帝京9回のドラマ

智弁和歌山対帝京 壮絶な試合展開となった試合のスコアボード(2006年8月17日)

 2018年夏、全国高校野球選手権大会(甲子園)が100回大会を迎えます。これまで数多くの名勝負が繰り広げられてきました。その夏の名勝負を当時の紙面とともに振り返ります。

◇ ◇ ◇

<第88回全国高校野球選手権:智弁和歌山13-12帝京>◇2006年8月17日◇準々決勝

 真夏の甲子園が、逆転に次ぐ逆転の大熱戦に沸きに沸いた。準々決勝の第1試合は、中京商(愛知)以来73年ぶりの夏3連覇を狙う駒大苫小牧(南北海道)が、東洋大姫路(兵庫)を0-4から逆転、5-4で準決勝に進出。大会新の1試合7発の空中戦となった第2試合、智弁和歌山-帝京(東東京)は、9回の攻防で死闘が演じられた。4-8の9回表に帝京が大量8点を奪って逆転。その裏、智弁和歌山も驚異の粘りで5点を奪い逆転サヨナラ勝ちした。球史に残る激戦を制した両校は大会14日目(19日)の準決勝で激突する。

 半ば、ぼうぜんの表情だった。勝利の瞬間、前日に春夏甲子園で、現役監督最高の通算50勝を達成したばかりの名将、智弁和歌山・高嶋仁監督(60)がつぶやく。「何か、すごい試合をやってしまった」。両校合わせて29安打25点。1試合でチーム5本塁打、両チーム計7本塁打の大会新記録となった打撃戦は、最後で大きく揺れ動いた。

 8回裏終了時点で8-4と智弁和歌山リード。三塁側の帝京アルプス席では帰り支度を始める人もいた。だが、波乱のドラマは9回の攻防に潜んでいた。

 【9回表・帝京】4点差を追う9回2死。一、二塁ながら絶体絶命の状況から、帝京が怒とうの6連打で一挙8得点。5連打目となる杉谷拳士(1年)の逆転左前2点適時打で9-8。さらにこの回、代打で登場し2度目の打席となった沼田隼(3年)のダメ押し3ランで突き放した。「あれで試合が決まったと思った」と沼田は確信した。

 だが、ドラマは終わらない。一転、4点を追う立場に変わった智弁和歌山はあきらめない。帝京が、3番手登板のエース大田阿斗里(2年)に代打・沼田を送ったため、経験ある投手がいなくなった。9回裏に登板した3人は全員がこの夏初の公式戦マウンド。試合巧者の智弁和歌山は、そのスキを見逃さない。

 【9回裏・智弁和歌山】2四球で無死一、二塁。4番橋本良平(3年)が左中間への3ランを放ち1点差。息もつかせぬ展開に、場内は1球ごとに歓声と悲鳴が交錯した。さらに連続四死球で1死一、二塁から、代打・青石裕斗(3年)の中前適時打で同点。なおも満塁で、古宮克人(3年)がサヨナラの押し出し四球を選び激戦は終わった。

 壮絶なドラマに、球場内は拍手が鳴りやまない。甲子園通算51勝となった高嶋監督と、同40勝の帝京・前田三夫監督(57)。百戦錬磨の両監督が見せた土壇場でも動じない采配も、球史に残る一戦を演出した。

 高嶋監督は最後まで動かないスタイルを貫いた。1点を追う9回裏無死一、二塁。バントもあり得る場面だったが、当たっている馬場一平(3年)を強攻させた。結果は左飛。エンドランや盗塁で揺さぶることもなかった。続く代打・青石にも「自分のバッティングをしろ」と送り出した。同点適時打。最後まで選手の力を信じた。「8点取られてあきらめていました。『勝ちたかったらランナーためろ』と言ったが、まさか現実になるとは。選手たちの『負けない』という気持ちが勝たせたのでしょう」と感無量の表情だ。

 前田監督は最初から動いた。先発に、今大会初登板の1年生・高島祥平を起用する奇策に出たが、結果は2回途中で3失点。「継投で後半勝負と思っていた。チームを引き締める狙いもあった」。9回裏はかく乱作戦に出た。1点差に迫られた無死一塁から、杉谷をワンポイントで投入。初球、死球で出塁を許すと、すぐ岡野裕也(3年)をマウンドへ。何とか相手打線を断ち切ろう、ともがいた。前田監督は「あと1人投手がいれば。でも結果論ですし仕方ない。内容は勝っていたけど、詰めが甘かった。高島さんの優勝を狙ったチームと互角に戦って悔いはないです。私も高嶋さんを追いかけます」とサバサバと答えた。高嶋監督は「こんな勝ち方は初めて」と繰り返した。例年以上に熱い甲子園は残り5試合。ただならぬクライマックスの予感が漂う。

※記録と表記などは当時のもの

2006年8月18日付日刊スポーツ1面
智弁和歌山対帝京 5番手で登板する帝京・杉谷拳士(2006年8月17日)

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智弁和歌山V「大阪桐蔭出てきて」高嶋監督/和歌山

<高校野球和歌山大会:智弁和歌山7-6市和歌山>◇26日◇決勝◇紀三井寺運動公園野球場

 智弁和歌山が9回、黒川史陽内野手(2年)のサヨナラ犠飛で市和歌山を下し、2年連続23度目の甲子園出場を手にした。

 智弁和歌山は2点リードで迎えた9回表にまさかの同点2ランを浴びた。しかしその裏、高校通算49本塁打の林晃汰内野手(3年)が失策で出塁し、犠打などで三塁に進む。ここで、黒川が右翼へ犠飛を放ち、林が気迫のヘッドスライディングで生還。劇的なサヨナラ勝ちを決めた。高嶋仁監督(72)は「決勝は独特。この接戦をものにしたのは大きい」と笑顔で選手をねぎらった。センバツ決勝で敗れた大阪桐蔭について「桐蔭が(甲子園に)出てきてくれないと困る」と春の雪辱へ気合をみなぎらせた。

 ◆智弁和歌山 1978年(昭53)創立の私立校。生徒数786人(女子341人)。野球部は79年創部で部員数は34人。甲子園出場は春12度、夏は23度目。優勝は春1回、夏2回。主なOBに武内晋一(ヤクルト)西川遥輝(日本ハム)ら。所在地は和歌山市冬野2066の1。藤田清司校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦12-0高野山

3回戦14-2箕島

準々決勝16-0日高

準決勝11-3紀北工

決勝7-6市和歌山

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智弁和歌山が4強、富田満塁弾など16点/和歌山

智弁和歌山対日高 3回表智弁和歌山2死満塁、本塁打を放つ冨田(撮影・望月千草)

<高校野球和歌山大会:智弁和歌山16-0日高>◇22日◇準々決勝◇紀三井寺球場

 智弁和歌山が10安打16得点で日高を5回コールドで下した。

 初回、今秋ドラフト候補の3番林晃汰内野手(3年)が2死から右前打で好機をつくり、4番文元洸成外野手(3年)の左中間適時二塁打で先制。その後も着実に点を重ね、8点リードの3回には2死満塁から5番冨田泰生内野手(3年)が満塁本塁打を放ち、さらにリードを広げた。

 高嶋仁監督は(72)は「ランナーがたまってからのヒットは理想。エラーをもらいながら点が増えました」と静かに語った。チームはこれで4強進出となった。

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智弁和歌山が箕島下し8強!文元が打線点火/和歌山

智弁和歌山対箕島 3打数3安打2打点と活躍した智弁和歌山・文元

<高校野球和歌山大会:智弁和歌山14-2箕島>◇19日◇3回戦◇紀三井寺運動公園野球場

 センバツ準優勝校の智弁和歌山が箕島との和歌山強豪対決を5回コールドの大勝で制し、8強入りを決めた。

 1点リードの3回、先頭の4番文元洸成外野手(3年)の中前打をきっかけに、打者一巡の8安打10得点をたたき出した。

 高嶋仁監督(72)は3安打2打点と活躍した文元について「調子はだいぶ上がってきている。あとは結果が出るかどうかだったので、よかった」と評価した。

 2回戦の高野山戦で6回参考ながらノーヒットノーランを達成した先発の平田龍輝投手(3年)は、3回を投げ、2安打無失点と好投。エースの力投にも高嶋監督は「よくなかったですね。球もきてないし、コントロールも悪くて。まあ0に抑えてくれたのでホッとしてますけど」と話した。

 高校通算50号まであと1本に迫る、今秋のドラフト上位候補の林晃汰内野手(3年)は4回2死走者なしから右前打を放ち、5打席で1安打2四球と勝利に貢献した。

智弁和歌山対箕島 3回2安打無失点と好投した智弁和歌山・平田
智弁和歌山対箕島 3打数1安打2四球と奮闘した智弁和歌山・林

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智弁和歌山エース平田がノーヒットノーラン/和歌山

智弁和歌山対高野山 6回参考ながらノーヒットノーランだった智弁和歌山・平田龍輝投手(撮影・磯綾乃)

<高校野球和歌山大会:智弁和歌山12-0高野山>◇14日◇2回戦◇紀三井寺運動公園野球場

 センバツ準優勝校の智弁和歌山が、最高の形で滑り出した。打っては今秋ドラフト上位候補の林晃汰内野手(3年)が4打数3安打2打点と活躍するなど、打線が11安打12得点と爆発。投げてはエースの平田龍輝投手(3年)が6回参考ながらノーヒットノーランを達成し、わずか1時間18分で勝利を決めた。

 高嶋仁監督(72)は、54球で投げ終えた平田に「まあまあかな。甲子園を意識しながらいきなさいと、言っています」と話し、打線には「まだ調子そのものは上がっていないけど、相手ピッチャーに合わせるのがバッティング。合格点をやれるかなと思います」と評価した。林は「1戦1戦戦っていって、自分たちの目標は全国制覇なんで」と言い切る。あと1歩だった全国の頂点に、再び挑戦する夏が始まった。

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センバツ再現!近畿は智弁和歌山と大阪桐蔭が決勝へ

近畿大会準決勝 智弁和歌山対滝川二 3回表智弁和歌山無死満塁、同点となる中越え2点適時二塁打を放つ智弁和歌山・林(撮影・前田充

<高校野球春季近畿大会:智弁和歌山9-7滝川二>◇2日◇準決勝2試合◇明石トーカロ

 智弁和歌山が滝川二(兵庫2位)との打ち合いを制した。3日の決勝のカードは今年のセンバツ決勝と同じ、大阪桐蔭と智弁和歌山の対決となった。

 初回にランニングホームランで先制を許したが、0-2の3回無死満塁で今秋ドラフト上位候補の林晃汰内野手(3年)が中堅への適時三塁打で同点に。取っては取り返すシーソーゲームを制した。

 昨春近畿大会から5度目となる大阪桐蔭との対戦に、高嶋仁監督(72)は「もう負けてもいいから、と。うちもそういうところまで上がってこられる力がついてきたこと」と控えめに話しながらも「(大阪桐蔭の試合を)今日見てたら、ちょっと振れてないように見えたんで、(強化練習で)だいぶ疲れてるのかなと。そしたらチャンスもあるかいなと」とにやり。ひそかに勝機をうかがっていた。

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智弁和歌山コールド快勝、ドラフト候補林は無安打

比叡山対智弁和歌山 今秋ドラフト候補の智弁和歌山・林晃汰内野手(撮影・磯綾乃)

<高校野球春季近畿大会:智弁和歌山9-0比叡山>◇27日◇1回戦2試合◇明石トーカロ

 智弁和歌山が比叡山(滋賀)に7回コールドで快勝した。初回に4得点、5回にも相手失策がからみ5得点とビッグイニングを作った。

 今秋ドラフト候補の林晃汰内野手(3年)はこの日4打数無安打。高嶋仁監督(71)は「練習ではポンポン打ちよるんですが、今日もいきそうな雰囲気はあったんですけど。みんなの期待を背負ってるんでね」。林も「練習ではいいんですけど、試合では出ない。多分まだまだ自分が打ちたいっていう気持ちが強いんだと思います」と自己分析した。

 今大会は決勝まで勝ち進めば、センバツ決勝で敗れた大阪桐蔭と対戦する可能性がある。高嶋監督は「しゃあないでしょ、やらな!」とにやり。「みんな優勝校は覚えてるけど、準優勝校は覚えてないですからね」と静かに闘志を燃やしていた。

比叡山対智弁和歌山 智弁和歌山の先発・平田龍輝投手(撮影・磯綾乃)

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