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<練習試合:楽天4-12日本ハム>◇21日◇沖縄・金武
日本ハム栗山英樹監督は試合後、声が少しだけ上ずっていた。今季の実戦1号を含む3安打5打点と結果を残した清宮について「まあ、まあ、まあ…悪くはないかな。決して良くはないけど…少し前に進んでいるところがあるのかな」。
表情には出さないが、長距離砲らしい姿が見られてうれしそうだった。
20日の夜、指揮官が名護市内の宿舎内にある食事会場へ足を運ぶと、清宮も夕飯を食べていた。「どうなってんだよ、幸太郎」。その日の試合で5打数無安打に終わっていた若き大砲にハッパを掛けると、笑みを見せていたという。
栗山監督 若いとはいっても、試合に出て結果を残しにいくのは疲れが出る。けど、本当に今年頑張るのなら、疲れている中で結果を残せと選手にお願いしているわけだから。
栗山監督は清宮の可能性を誰よりも信じている。厳しい言葉は期待の裏返し。ゲキに応えた背番号21の姿に成長を感じていた。
<栗山監督の清宮評・辛口編>
「打たないとダメだろ。こんな、ゆっくりしている場合じゃないだろ。幸太郎の背中を押したつもり。痛いとか関係ない。やるんだ、と。打たないとダメだろ。後輩が入ってきて、先輩としての姿を見せないと」(1月19日、ニッポンハムグループ展示会で。右手首の違和感が回復してのフリー打撃再開を受け)
「気になることもあるんだけど、打っている感じとしては悪くないんだよ。やっぱり野球をやらなきゃダメでしょ。こんなにいいところまで来て」(1月30日、アリゾナ到着後フリー打撃を行う姿を見て)
「打者は、この時期初めて投手の球を見るから大変なのは分かるけど、幸太郎には文句が多いよね。どれだけ芯でつかまえた? みんなが思ってるより、本当にレベルが高いと思っているからこそ」(2月7日、斎藤とフリー打撃で対戦)
「ボールに入っていく感じは悪くない。でも芯に当たっていないよね。打てよ、4番だろ」(2月10日、今季初実戦となる紅白戦で宮台から詰まった中前打)
<練習試合:楽天3-8日本ハム>◇20日◇沖縄・金武
開幕スタメンあるぞ!ヤクルトから新加入の日本ハム谷内亮太内野手(28)が20日、楽天との練習試合(金武)に「9番遊撃」で先発出場。状況に応じた打撃で2打数2安打2打点、守備でも堅実なプレーを披露してアピールに成功した。最有力候補だった渡辺が負傷離脱し、レギュラー不在の二塁も守れるユーティリティープレーヤーを、栗山英樹監督(57)も高評価。新天地で勝負をかける新戦力が、一気に存在感を増してきた。
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谷内が攻守で持ち味を存分に発揮した。「結果が出たことは素直にうれしいです」。定評のある守備はもちろん、打撃では4度の打席全てで、内容があった。
2回無死一、二塁では初球で送りバントを決め、西川の3ラン本塁打を誘発。3回2死満塁の好機は、ファーストストライクを捉えて2点中前適時打を放った。技が光ったのは5回1死一塁の第3打席。走者の進塁を意識し、広く空いていた一、二塁間を狙うように右前に転がした。
谷内 1発が打てたり、盗塁ができるわけではないので、今日みたいにバントでしっかりつないだり、チャンスでしっかり走者をかえしたり、そういう小さな積み重ねで、少しずつアピールしていければいいかなと思っています。
等身大の猛アピールは、首脳陣もしっかり受け止めた。ボール球に手を出さずに四球で出塁した4打席目も含め、栗山監督は「あれが谷内のプレースタイル。守備力もあって、打撃でもチームに貢献できる、つなぎの形ができる」。金子打撃チーフ兼作戦コーチも「谷内は自分の良さを出すことで打線を引き立てる、いい“調味料”となっている。同じタイプの若い選手は谷内の姿を見て、やってほしい」と称賛した。
有力候補だった渡辺が負傷で離脱し、確固たるレギュラーがいない二塁のポジション。栗山監督は「(谷内は)もちろんレギュラーで、スタメンでも十分考えられる。思っていた通り」と、うなずいた。この日は名護で残留練習に参加した同学年の中島とともに、開幕から二遊間を組む可能性も十分ある。明るい性格でチームにもなじんでいる谷内は「プレーの面でも慣れていければ。トレードで来てチャンスをもらっている。どのポジションでも行ける準備をしたい」。日本ハムの期待の新戦力は、金子や王柏融だけではない。仕事人の背番号32に要注目だ。【木下大輔】
<谷内アラカルト>
★略歴 1991年(平3)2月3日、石川県生まれ。金沢西高3年春に県大会優勝。国学院大では4年春にリーグ2部でMVP、4年秋に遊撃手としてベストナインを獲得。12年ドラフト6位でヤクルト入団。177センチ、79キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1050万円。
★リーダー気質 5人兄弟の長男は、中高大で主将を務めてきた人格者。人望の厚さはプロ入り後も変わらない。ヤクルトでは山田哲が“ソウルメート”。寮生時代は必ず、2人一緒に車で移動。車内ではJポップを2人で歌いながら球場入りしていた。
★教員免許を保持 国学院大では人間開発学部健康体育学科に進学。高校の保健体育の教員免許を持っている。大学4年時に母校の金沢西で約1カ月間の教育実習に赴いた際の“教え子”が、昨秋のドラフト会議でソフトバンクから6位指名された泉圭輔投手(21=金沢星稜大)。同一リーグとなり、対戦を楽しみにしている。
★宮本門下生 ヤクルト宮本ヘッドコーチから薫陶を受けた。同僚だったのは新人時代の13年のみだったが、14年1月に松山での自主トレに訪れた同コーチのノックを受けて助言も受けた。目標とするプレーヤーでもある。
日本ハム白村明弘投手(27)が19日、野手へ転向した。前日18日に2軍キャンプ地の沖縄・国頭で栗山英樹監督(57)らと話し合い、再出発を決断。この日から野手組に振り分けられ、打撃練習を始めた。
◇ ◇ ◇
白村が阪神糸井の背中を追いかける。06年4月に投手から野手へ転向した先輩について「僕の中で大きな目標になっている。糸井さんも相当努力されたという話も、いろんな方から聞いている。負けないように努力して、成長していきたいと思います」。糸井は入団3年目にコンバートされ、外野手としてスター選手となった。成功例を励みにして、白村も続くつもりだ。
◆白村明弘(はくむら・あきひろ)1991年(平3)12月11日、岐阜県生まれ。慶応高、慶応大を経て13年ドラフト6位で日本ハム入団。14年6月27日楽天戦でプロ初登板、同年10月5日同戦で初勝利。187センチ、87キロ。右投げ左打ち。
日本ハム白村明弘投手(27)が19日、野手へ転向した。前日18日に2軍キャンプ地の沖縄・国頭で栗山英樹監督(57)らと話し合い、再出発を決断。この日から野手組に振り分けられ、打撃練習を始めた。球団はドラフト指名時から高い身体能力を評価し、野手としての可能性も見据えていた。投手として伸び悩んでいた6年目右腕が、大胆なコンバートをきっかけに、発揮できていない潜在能力の開花に挑む。
◇ ◇ ◇
練習スケジュールが記された用紙に、大きな決断が刻まれていた。白村の名前は投手組になかった。プロ6年目の春、野手転向に踏み切った。「昨日、監督とGMから話があって、今日から野手の練習をやらせてもらっています」。前日18日に2軍キャンプを視察した栗山監督と吉村GMから、野手転向を提案された。突然の打診に驚いたが、指揮官の言葉が心に響いた。
白村 監督から『お前の将来を考えている、ポテンシャルを評価している』と言ってもらった。素直にうれしかった。その気持ちに応えようとしか思わなかった。野球がやれるなら、頑張れるなら、どこでもいい。だからもう、投手に未練はないです。
伸び悩んでいた。中継ぎとして2年目の15年には50試合登板も、翌年以降は売りの150キロを超える剛速球が鳴りをひそめた。17年には先発も経験。首脳陣も能力を引き出そうと試行錯誤してきたが、昨季の1軍登板は3試合に終わった。
中学3年の夏までは野手だった。主に中堅を守り、遊撃手としてもプレー。パワーとスピードを兼ね備え、2試合連続で“ランニング本塁打”を放ったこともある。ただ2試合とも前の走者を追い抜いてアウトになったというオチも付いたが、並外れた運動能力を球団もかねて高く評価。入団時から野手としての可能性も視野に入れていた。
1回無失点に抑えた16日の紅白戦(国頭)から間もない打診を、栗山監督は「野球の神様が、このタイミングですと言った」と説明。「がむしゃらに何も考えないで、ボールを追っかけて、バットを思い切り振って、骨の髄から汗をかく。何か生まれると信じているので、そうしなさいと伝えた」と期待した。
白村は早速、バットを握った。国頭の室内練習場で打撃練習を始めた。育成選手の海老原のバットを借り、今季限りで現役引退する田中賢からもバットと革手袋をもらった。「簡単ではないし、自分の努力次第で変わってくる。心機一転じゃないけど、自分の頑張り次第で、これから世界が変わっていくと思う」。守備位置はこれから。まずはバットを振り込む。一心不乱に野球に打ち込み、生まれ変わる白村の姿を、みんなが期待している。【木下大輔】
◆白村明弘(はくむら・あきひろ)1991年(平3)12月11日、岐阜県生まれ。慶応高、慶応大を経て13年ドラフト6位で日本ハム入団。14年6月27日楽天戦でプロ初登板、同年10月5日同戦で初勝利。187センチ、87キロ。右投げ左打ち。
日本ハム栗山英樹監督(57)が15日、沖縄・国頭で16日に行う1、2軍合同の紅白戦で、新旧ドラフト1位対決の実現をにおわせた。白組は、今年のドラフト1位吉田輝星投手(18=金足農)の先発が決まっている。昨年のドラフト1位、清宮と対戦するかについては「ファイターズが想像することだよ。そんなの、決まってんだろ」と断言はしなかったものの、アマチュア時代を通じて初となる2人の対決に含みを持たせた。
紅白戦では、昨夏の甲子園大会準優勝投手の吉田輝と、同優勝投手のドラフト5位柿木蓮投手(18=大坂桐蔭)が、それぞれ先発予定。甲子園大会決勝マウンドを再現する。指揮官は「明日がスタートなんだっていうのは、ずっと説明してきたつもり。やんちゃに意気込んでくれれば、それでいい。自分がこういう選手だってアピールしてもらいたい」と、熱戦を期待した。
昨夏の甲子園大会決勝を、南国沖縄で再現だ。日本ハム栗山英樹監督(57)が14日、沖縄・国頭で予定している16日の1、2軍合同紅白戦で、甲子園準V右腕のドラフト1位吉田輝星投手(18=金足農)と、同V右腕のドラフト5位柿木蓮投手(18=大阪桐蔭)のルーキー2人を、それぞれ先発起用すると明かした。1イニングほどと投球回数は限定的だが、注目の対決で2人の力量を測る。
再び“夢の対決”が実現する。1次キャンプ地の米アリゾナから2次キャンプ地の沖縄・名護入りした日本ハム栗山監督が、16日紅白戦の先発に、昨夏の甲子園大会決勝で対決した2人のルーキーを指名した。準優勝に終わった吉田輝と、優勝投手の柿木だ。「夏の甲子園の再現って、あんまりないんだよね。楽しみだよね? 普通に考えて楽しみじゃない?」。指揮官の目が少年のように輝いた。
チームとともに14日早朝に帰国し、息つく間もなく車で約40~50分の国頭村へ。両ルーキーのブルペン投球を視察し「思った通り。いい時のボールはうなりを上げる」と吉田輝を評価した上で、紅白戦での“先発対決”を2人に伝達した。「(反応は)いい感じだった。驚いている感じはなかった」と、堂々とした2人の振る舞いに感心した。
米アリゾナで行った紅白戦では斎藤対清宮の“早実対決”を実現して注目を集めたが、次々に飛び出す栗山流の演出は単なる話題作りのためではない。「今年は勝ちきらないといけないシーズンで、想定通りの戦い方では一気に走れない」と新たな力の台頭を求める中で、チーム内の競争に刺激を与える狙いがある。
今回のケースでは、吉田輝や柿木以上に、若手投手陣への効果を期待。この日の2軍ブルペンでひときわ目を引いたのは、ルーキー2人と並んで投げ込んだ高卒2年目の田中瑛で「プライドがあるんだろ。すっげー、いい球を投げていた。それが大事。それがチーム力につながる」。他の選手の危機感をあおり、プラスαを生み出す構図だ。
もちろん、生粋の“野球好き”だからこそ思いついた夏の甲子園大会決勝の再現。「日本の野球界に対して、何かメッセージを送ってくれると思う」という注目の対決の陰で、知将はしっかりとチーム力を蓄える。【中島宙恵】
◆18年夏甲子園決勝VTR 大阪桐蔭は主戦柿木が、打線の援護を受けながら5安打2失点で112球の完投。甲子園の春夏連覇に大きく貢献した。秋田県勢103年ぶりの決勝進出を果たした金足農エース吉田は、5回12安打12失点。秋田大会から10戦連続で完投していたが、初の途中降板だった。
◆甲子園決勝の再現メモ 春夏の甲子園決勝で投げ合った投手がプロで先発対決した例は過去5組ある。最近は早実出身の斎藤(日本ハム)と駒大苫小牧出身の田中(楽天)が対戦。06年夏の決勝では斎藤が勝利投手になったが、プロで先発対決した3度はすべて田中に軍配が上がった。
日本ハム栗山英樹監督(57)が14日、沖縄・国頭で予定している16日の1、2軍合同紅白戦で、甲子園準V右腕のドラフト1位吉田輝星投手(18=金足農)と、同V右腕のドラフト5位柿木蓮投手(18=大阪桐蔭)のルーキー2人を、それぞれ先発起用すると明かした。
◆甲子園決勝の再現メモ 春夏の甲子園決勝で投げ合った投手がプロで先発対決した例は過去5組ある。最近は早実出身の斎藤(日本ハム)と駒大苫小牧出身の田中(楽天)が対戦。06年夏の決勝では斎藤が勝利投手になったが、プロで先発対決した3度はすべて田中に軍配が上がった。
南国沖縄で、昨夏の全国高校野球選手権大会決勝を再現だ。日本ハム栗山英樹監督(57)が14日、沖縄・国頭で予定している16日の1、2軍合同紅白戦で、甲子園準V右腕のドラフト1位吉田輝星投手(18=金足農)と、同V右腕の同5位柿木蓮投手(18=大阪桐蔭)のルーキー2人を、それぞれ先発で起用すると明かした。
栗山監督はこの日、1次キャンプ地の米アリゾナから帰国し、2次キャンプ地の沖縄・名護入りした。宿舎到着後、すぐに車で約40~50分の国頭村へ移動すると、吉田輝や柿木のブルペン投球を見学。2人に紅白戦での先発を伝えた。「2人とも驚いた顔はしていなかった。しっかり投げてくれると思う」と“名勝負”を期待した。
昨夏の甲子園大会決勝を、南国沖縄で再現だ。日本ハム栗山英樹監督(57)が14日、沖縄・国頭で予定している16日の1、2軍合同紅白戦で、甲子園準V右腕のドラフト1位吉田輝星投手(18=金足農)と、同V右腕のドラフト5位柿木蓮投手(18=大阪桐蔭)のルーキー2人を、それぞれ先発起用すると明かした。1イニングほどと投球回数は限定的だが、注目の対決で2人の力量を測る。
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再び“夢の対決”が実現する。1次キャンプ地の米アリゾナから2次キャンプ地の沖縄・名護入りした日本ハム栗山監督が、16日紅白戦の先発に、昨夏の甲子園大会決勝で対決した2人のルーキーを指名した。準優勝に終わった吉田輝と、優勝投手の柿木だ。「夏の甲子園の再現って、あんまりないんだよね。楽しみだよね? 普通に考えて楽しみじゃない?」。指揮官の目が少年のように輝いた。
チームとともに14日早朝に帰国し、息つく間もなく車で約40~50分の国頭村へ。両ルーキーのブルペン投球を視察し「思った通り。いい時のボールはうなりを上げる」と吉田輝を評価した上で、紅白戦での“先発対決”を2人に伝達した。「(反応は)いい感じだった。驚いている感じはなかった」と、堂々とした2人の振る舞いに感心した。
米アリゾナで行った紅白戦では斎藤対清宮の“早実対決”を実現して注目を集めたが、次々に飛び出す栗山流の演出は単なる話題作りのためではない。「今年は勝ちきらないといけないシーズンで、想定通りの戦い方では一気に走れない」と新たな力の台頭を求める中で、チーム内の競争に刺激を与える狙いがある。
今回のケースでは、吉田輝や柿木以上に、若手投手陣への効果を期待。この日の2軍ブルペンでひときわ目を引いたのは、ルーキー2人と並んで投げ込んだ高卒2年目の田中瑛で「プライドがあるんだろ。すっげー、いい球を投げていた。それが大事。それがチーム力につながる」。他の選手の危機感をあおり、プラスαを生み出す構図だ。
もちろん、生粋の“野球好き”だからこそ思いついた夏の甲子園大会決勝の再現。「日本の野球界に対して、何かメッセージを送ってくれると思う」という注目の対決の陰で、知将はしっかりとチーム力を蓄える。【中島宙恵】
【スコッツデール(米アリゾナ州)12日(日本時間13日)=木下大輔、田中彩友美】日本ハム上沢直之投手(25)が初の開幕投手を務めることが決まった。栗山英樹監督(57)が1、2戦の先発投手を「12日12時12分」に発表。上沢には大役を通達する手紙と、命がけの修行「千日回峰行」を達成した僧侶・塩沼亮潤氏の著書を9日に手渡しており、心身ともに成長した8年目右腕に3月29日オリックス戦(札幌ドーム)を託す。2戦目は金子弌大投手(35=オリックス)が古巣相手に先発する。
◇ ◇ ◇
米アリゾナキャンプ第3クール初日の2月9日。上沢は全ての練習を終えると、監督室に呼ばれた。一冊の本が手渡された。「本の最初の方に手紙が入っていました。『開幕戦、お願いします』と書いてあったので、うれしかったです」。記されていた日付は自身の誕生日2月6日。手紙の内容に身震いすると同時に、挟まれていた本の著者は見覚えがあった。「塩沼亮潤さんの本でした。前にテレビ番組で見て覚えていました」。
塩沼氏は生ける伝説の僧侶だ。山中を1日48キロ、年間約120日、9年をかけて1000日間歩き回る、過酷な仏教の修行「千日回峰行」を達成するなど数々の難行を成し遂げ、現在は僧侶の中でも徳が高いとされる「大阿闍梨(あじゃり)」と呼ばれる。栗山監督が尊敬し、対面を熱望する1人。命がけの修行で悟った境地が描かれる著書は、エースへの階段を上る上沢のためになる-と選んだはず。上沢は「日本へ戻る飛行機の中で読もうと思っています」と、じっくり読み解くつもりだ。
昨年9月に北海道を襲った地震明け最初の試合に先発した。自身も被災者で、調整不足ながら負け投手になった試合後、栗山監督に「初めて自分以外の人のために投げました」と言った。誰かのために身を尽くせる男が上沢だ。
16年の右肘手術からはい上がり、人としても成長したからこそ昨季はチーム最多11勝。「僕も初めての経験なので、こういう機会で自分がレベルアップするきっかけになれればと思います」と言った。開幕戦を、19年シーズンを野球界の阿闍梨になれる上沢に託す。
▽日本ハム栗山監督はこのオフに行った講演で、塩沼亮潤氏の著書から、次の言葉を紹介していた。「修行の世界でも常に精いっぱい努力したいと思って励んでいますが、心の成長というのはとてもゆっくりしたもので結果はなかなか出ません。どんな時も初心を忘れず、損得を考えず、心身を足して流れの中で清く正しく生活すること」。
<オフレコトーク ランキング>
日本ハム選手たちのユニークな発言や軽妙なトークを集め、週に1度、5位までの傑作を掲載します。1位には5点、2位4点…5位1点のポイント制で、キャンプインに合わせオフ期間の大賞を決定します。
◇ ◇
金賞:木田優夫投手Cコーチ
「みんな、城石さんに感謝するように」(6日、米アリゾナ。打撃投手を務めた斎藤が清宮と対戦した『早実対決』の仕掛け人は城石打撃コーチ。色めき立つ報道陣に向けてひと言)
銀賞:吉田輝星
「隣の人は気持ちよさそうに投げているなって思いました」(2日、沖縄・国頭の2軍キャンプ、初ブルペン後。『隣の人』とは、同期入団の柿木投手でした。自身の自己採点は50点。うらやましかったのかな?)
銅賞:清水優心
「鶴岡さんに指定された本があるので。『原因と結果の法則』(ジェームズ・アレン著)。めっちゃ難しいです」(3日、腰の手術から沖縄・国頭の2軍キャンプに合流。リハビリ期間中は読書を行うそうで…。鶴岡新コーチはグラウンド外でもきっちり指導してます)
4位:栗山英樹監督
「チヒロさん。あんな風に投げたいですよね」(7日、米アリゾナ。金子の美しい投球フォームを見て、思わず“さん”付けに)
5位:白村明弘
「若者には負けませんよ」
(7日、沖縄・国頭2軍キャンプ。吉田輝や柿木とともにランメニューをこなし、トップのタイムを記録。27歳、まだまだルーキーたちには負けません)
日本ハムが12日(日本時間13日)、米アリゾナキャンプを打ち上げた。選手会長の中島卓也内野手が音頭を取って手締めを行い、約2週間に渡った現地での調整が終了した。
栗山英樹監督は「多少、体に不安なところもある選手もいますけど、ちょっと寒かったんでね、思ったようにいかないところもありましたが、雨で全然練習が出来ないということもなく、いい形で最初のこのキャンプをスタートできた。ここからさらに、しっかり進んでいけるようにやっていきたいと思います」と総括した。
チームは帰国後に沖縄・名護を拠点に、実戦中心の2次キャンプをスタートさせる。
日本ハム栗山英樹監督(57)が米アリゾナキャンプ最終日の12日(日本時間13日)、今季の開幕1、2戦目(対オリックス、札幌ドーム)の先発投手をサプライズ発表した。「1戦目、ナオに。上沢にお願いしますと話ししました。2戦目、相手はオリックス、金子弌大(ちひろ)、行きます」。
開幕戦の3月29日は、昨季11勝の上沢直之投手(25)に初の開幕投手を託した。2戦目は昨季までオリックスに在籍した金子弌大投手(35)を先発起用することを明言。現地時間午後0時12分、デジタル時計では「12:12」と表示された時間を待って、開幕1、2戦目の先発投手を明かした。
「ちょっと早いかもしれないけど、しっかり準備してほしいので」と、このタイミングでの発表の理由を説明した。
上沢は「うれしいです。任された大役を全うしたい。僕の後に投げる人が素晴らしい投手で頼りになる先輩。気負わずに投げられそうです」と意気込みを語った。金子も「正直なところ、まだ(古巣相手に)投げるイメージは湧いてこない。でも、もしかしたら、あるんじゃないかなと思っていた。栗山監督は、そういうところがあるので」と冷静に受け止めていた。
日本ハムのドラフト1位吉田輝星投手(18=金足農)が11日、沖縄・国頭(くにがみ)の2軍キャンプ“初登板”した。いきなり4連続で制球を乱したが、元祖甲子園アイドルの荒木大輔2軍監督(54)ら首脳陣からは直球の強さを高く評価された。14日にブルペン投球を行い、16日のプロ初紅白戦で実戦での強さをアピールする。
吉田が全25球に力を込めた。少し力み過ぎた。甲子園を沸かせた150キロ超の直球には、まだまだ遠い。スライダーなど変化球も交えたが、半数以上の14球がストライクゾーンを外れた。「右バッターの外に投げられればOKだった。ボールは多かったけれど、良いフォームでは投げられたと思う」と現段階での出来には納得だった。
同期でドラフト2位の野村佑希内野手(18=花咲徳栄)が相手だった。9スイング中、安打性の当たりは右前に飛んだ1本のみ。詰まらせてファウルになる場面も多かった。「もっとバチバチやる感じかなと思いましたけれど、軽いあいさつみたいな感じでしたね」。ちゃめっ気たっぷりに笑った。
荒木2軍監督も「もともとコントロールは良いと思っていないですよ」と想定内を強調した。「強いボールもあれだけ投げられていたし、特徴は出せていたから十分です」と及第点も与えた。カーブは抜けて内角にいったが、外れた直球はすべて外。力のない球が1球もなかったことを評価した。
キャンプ初ブルペンで捕手を座らせて38球を投げた2日以降、日々状態を上げてきた。ブルペン横に設置された「輝星シート」も休日には満席。前日10日にはカットボールなど、すべての変化球を織り交ぜて4度目も上々で臨んだ打撃投手。打者に合わせる速いテンポや防御ネットなど、慣れない環境を考慮すれば、課題が見えたことも含めて大きなステップとなった。
付きっきりで目を光らせる加藤武治2軍投手コーチ(40)も精神的、肉体的な強さに賛辞を送った。「ユニホームを着て、気疲れもあるでしょうから、第2クール最初のほうは疲れを感じたけれど、表情もスッキリして立派になってきた」。体力面でもすでに2軍上位級と認め、あとは技術レベルの向上を期待した。
14日には再びブルペンに入り、16日の1軍紅白戦に登板する予定だ。荒木監督は「吉田よりも、天気予報のほうが心配。中止になったら栗山(英樹)監督が残念がるだろうね」。2軍スタートとはなったが、1軍指揮官もプロでの基盤形成を楽しみに待っている。【鎌田直秀】
米アリゾナキャンプ中の日本ハムは、11日(日本時間12日)に現地で今季初の対外試合(対韓国NC)を行う。先発は斎藤佑樹投手(30)が務める。栗山英樹監督(57)は10日(同11日)の練習後、斎藤に対する期待を言葉にした。
栗山監督 何を期待するのかというのは僕が言葉にするものではないと思いますけど、大きな思いがそこにはあるとメッセージを送ったつもりなので。それを佑樹がどう受けて投げるのか。それをしっかり見たいと思います。大きなメッセージは伝わっていると思う。いきなり大勝負をしていかないといけないと思う。まずは、チームのことも大事ですけど、自分がその勝負に勝てるようなピッチングをしてくれることを祈っています。
“開幕投手”を託した意味を受け止めてパフォーマンスに転換することを願った。
斎藤も、心の準備はできている。全体練習後には個人練習の一環としてブルペン入りし、先発登板へ備えた。気合も入っている。
斎藤 結果を出していかないといけない。何を意識するとかは今日まで。明日は結果を意識します。(無失点で?)もちろん。ヒットも打たれない方がいいし、ランナーも出さない方がいいですし。チームにとっても大事なスタートですけど、僕にとってもすごく大事な試合になる。しっかり準備して、結果を出さないと意味がない。
注目の試合は午後1時(日本時間午前5時)開始予定だ。
日本ハム栗山英樹監督(57)が9日(日本時間10日)、清宮幸太郎内野手(19)へ厳しい注文を付けた。
1次キャンプを行う米アリゾナでチームの今季初実戦となる紅白戦を実施。紅組の「4番一塁」としてスタメン出場した清宮は、初回の第1打席は先発西村から四球。3回の第2打席は宮台と対戦し、中前へポトリと落ちる安打を放った。5回終了の特別ルールで、打席は2度だけだった。
打率、出塁率とも10割スタートも、栗山監督の言葉は手厳しい。「(結果より)内容の方が大事。しっかり打ちましょう。ボールに入っていく感じは悪くない。でも、芯に当たっていないよね。打てよ。4番だろ」。あえて4番で起用したことも「意図がなければやらない」と指揮官なりのメッセージを送っていた。清宮へ対する期待度が果てしなく高いからこそ、コメントで愛のムチを入れた。