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早大がランニング講習会 元五輪代表土江氏から伝授

走る際は尻から上のあたりの筋肉を使うよう指導する土江氏(撮影・古川真弥)

東京6大学リーグの早大が“ランニング改革”に乗り出した。アトランタオリンピック(五輪)、アテネ五輪で400メートルリレー代表などを務め、現在は東洋大陸上競技部コーチや五輪強化コーチで、100メートル日本記録保持者の桐生祥秀を指導する土江寛裕氏(44)を招き、選手に「ランニング講習会」を開いてもらった。早大大学院時代に小宮山悟監督(53)が同じ研究室だった縁で実現。室内で約1時間半、「どうすれば速く走れるか」のコツを伝授した。

(1)膝、足首はロック 土江氏は「地面からの力を、どうもらうか。それしかありません。そのための姿勢作りが大事」と切り出した。速く走るためには、膝と足首はがっちり固める方がいいという。「“天然のバネ”を意識して。筋肉を使って走ろうとすると疲れます。それよりも、筋肉の弾力や腱(けん)を使って。膝と足首をロックして、バネを使うんです」。バネを意識させるため、その場でぴょんぴょん跳びはねさせた。

(2)お尻で走る 「走る時、どこを使いますか?」と問いかけた。正解は、お尻の上あたりから腰にかけての部分だ。「足首や膝で地面を押すのではなく、お尻の高い位置で押すんです」。野球にたとえた。「ホームランを打とうとして、手だけで振っても飛ばないでしょう? 野球が体の中心が大事なのと同じです」。バネである足を生かすのも、しっかりした幹があってこそだ。

(3)入足を速く 当然だが、走ることも、歩くことも両足を交互に動かすことで成り立つ。土江氏は、まず歩くことから始めた。「前の足のかかとが地面についたら、すぐに後ろの足、“入足”が前に追い付くようにしてください」。パ、パ、パと交互にくり返すことで、速く歩けるようになる。そこからスピードを上げ、走りだす。「靴の裏を後ろの人に見えないように」「後ろ足は進行方向に動かして」等々、アドバイスを加えた。

(4)インパクトで力を 再び野球にたとえた。「バッティングは、どこで力を入れますか?」。選手の答えは「インパクトの瞬間」。土江氏は、うなずいて続けた。「走るのも同じです。地面に足が当たる瞬間に、パンと力を入れる」。力んだスイングでは打球は飛ばない。走るのも、力の入れどころが大事だ。さらに、片方の足が地面を蹴った瞬間、逆の足は既に蹴った足よりも前に出しておく。そうすることで、地面を力強く蹴れる。

(5)前傾 「棒、ありますか?」。そうリクエストして、50センチほどの棒きれを持ってきてもらった。手のひらに垂直に立て、棒が倒れないよう、バランスを取りながら歩いた。スピードを上げても、棒は倒れない。なぜか? 棒の先端を進行方向に傾けたからだ。走る時の前傾姿勢になぞらえた。「前傾は加速とちょうどいい角度に」と伝えた。

講習を終えると「日々の練習で思い出して下さい。必ず足は速くなります。野球にプラスにして欲しい」と呼び掛けた。この日の内容は「いまだに桐生も意識しているポイント」で、「速く走る」ための基本的なポイントだった。

もちろん、野球と陸上競技の違いは理解している。「今日のトレーニングが、そのまま野球に使えるかというと、野球の走塁は曲がったり、止まったりがある。陸上には、ありません。ただ、速く走ることができた上で曲がる、止まるができれば。まずは速く走るための正しいパフォーマンスが大事ではないでしょうか」と訴えた。

小宮山監督の狙いもそこにある。「陸上と野球は全然違う。だが、まず基本の部分で、より速くなれば。そこからの応用です。『走る』ということが、どういうことか、それぞれが考えてくれれば」と話した。盗塁数を増やしたい、という安直な狙いではなかった。成果を確認するため、4月にも再び土江氏を招くつもりだ。

講習会を終えた加藤主将は「目からうろこでした。意識していたことが全然、違いました。足首と膝を固定する。足の裏を見せない。逆に考えてました」。現在、50メートルは6秒3。「6秒1、6秒0ぐらいになればいいですね」と、自らに期待していた。【古川真弥】

選手の走りをチェックする土江氏(撮影・古川真弥)

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